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プロローグ
その瞬間――彼らの足下に魔法陣、みたいなものが出現した。
それは、正三角形、正方形の二つの図形を多様に変化させ配置した、幾何学模様だった。
模様をふちどり、そして構成する線は、黄金色に輝いていた。輝く線から幾重にも連なる光が彼らを包む。光はむくむくと膨れ上がり、直径五メートル程度の球形になると、みるみる収束していった。
光に包まれている間、彼らは神秘的な感動と同時に、警戒心を働かせていた。ただなすすべがなかっただけだ。
光が収束し、あとには何も残っていない。魔法陣があった形跡すら消え失せ、空気も淀んだりはせずに、そこは日常の延長でしかなくなっていた。
その日、七名の生徒が行方不明になった。
その内五名が生徒会役員、一名が図書委員長だった。彼らは青春を謳歌していた者たちだ。
最後の一人は、友人のいない美術部員、つまりはこの物語の主人公であった。