表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/22

Школа вход церемония 入学式

『………………』

『………………』


 お互いに顔を合わせず無言のまま自転車で進むこと十分。

 大きな坂を登るとようやく校舎が見えてきた。


「あの新入生の方ですよね」

「はい。そうです」

「そちらの銀髪の方は?」

「あ、彼女も俺と同じで新入生です」

「そうですか。では自転車はあちらの駐輪場に停めてから、体育館に向かってください」



 響が受付を済ませてから数十秒後、


『……響、今なんて言ってたの?』

『……あそこの駐輪場に自転車を停めてから体育館に向かってくれだってさ』

『……へー』


 ……気まずい。


 何とかさっきのことを忘れようと、受付から少し歩いた辺りで自分から訊ねてみるが、恥ずかしくて顔もろくに見れない。


 ……らしくないなぁ、ホント僕一体どうしちゃったんだ……誰か教えてよ……


 しかし、僕の問い掛けに答える者がいるはずもなく……

 結局、目を合わすことなく展開された会話はすぐに終了し、気まずい雰囲気は解消されないまま僕たちは入学式が行われるという体育館へと向かった。





「おっ、響くんとアリフィヤちゃんじゃーん」

「お久しぶり~。一ヶ月ぶりくらいかな? 卒業式以来だね」

「元気にしてた~?」

「お久。結構元気だったよ。ところでこれどういう並び順なんだ?」

「各小学校毎に固まって四列に並べだってさ。来た順でいいらしいよ」


 体育館に入ると見知った顔がたくさんあった。

 言わずもがな、小学校の頃の同級生達だ。


 それにしても……卒業式を終えたからだろうか。

 一ヶ月間ぐらいしか離れていなかったのに、夏休みなどの長期休日明けとはまた違ってどこか懐かしさを感じた。


 だが、僕はその感傷に浸ることはせず、ジッと響に話しかける女子達を見つめていく。



 この中に響をタブらかした奴がいるかもしれない……


 そう考えると目を離さずにはいられなかった。

 絶対に響は譲らないからな! 誰であろうと負けないから!


「あー、それでは話をやめてください」


 宣戦布告をするつもりで響に近寄る女子に片っ端から目で戦意をぶつけていたら、壇上にスーツを着た男性の先生が現れた。

 先生はゴホンと咳払いをして、沈黙を促すと話を続けた。

 

「ではこれより入学式を始めます―――」






 入学式は滞ることなく順調に終わった。

 式が終わるといよいよクラス割り振りの発表だ。


 全生徒のクラスが記入されたプリントが配られた。


 僕は自分のクラスと響のクラスが同じ二組の事を確認すると安堵の息を漏らした。

 事前にお義父さんから同じクラスと聞いていても、不安は少しあったのだ。


 よかった……と思いつつ、次に同小学校の女子で僕と同じクラスの人を見ていく。


 五人いた。

 この五人の中に例の子がいる確証はないが、とりあえず同じクラスになったからには目を光らせておこう。


 クラスが判明すると、今度は実際に使うことになる教室に担任の先生先導のもと向かった。

 一年生の教室は校舎の一階で、廊下手前から一組、二組、三組、四組、五組、六組と分かりやすい並びをしていた。

 

「ほら……あの子……」

「銀髪…………可愛いな…」


 教室に入ると、あちこちからそんな声が耳に入った。

 他の小学校から来た人たちだ。皆僕に視線を向けている。


 まぁ、銀髪だもんね。初見は驚くか。


 久々に向けられる新鮮な反応に表情には出さないものの内心苦笑しながら、黒板に書かれた座席場所を見て着席をする。


 やがて、ざわめきも収まり全員着席したところで担任の先生が学校の説明を始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ