Средняя школа 中学校
ジ――ジリジリジリジリッ!
けたたましく鳴り響くアラーム音で僕は目を覚ました。
アラームで目覚めるなんていつぶりだろうか。
少なくても小学校に上がってからは毎朝アラームが鳴る前に響が起こしに来てくれたから聞くことはなかった。
『それにしても入学式の日くらいは起こしに来てくれてもいいのに……』
多分起こしに来てくれないだろうなと予想はしていたが、それでも愚痴を溢さずにはいられない。
僕は耳元でうるさかったアラームを止めると、大きく伸びをしてベッドから抜け出し、立ち上がる。
そして水玉のパジャマを脱ぎ捨て、制服であるセーラー服とミニスカートに手を掛けた。
『はぁ……まさかこんなものを着ることになるとはね……』
小さく溜め息を吐きながら、鏡で身嗜みをチェックする。
『うん、寝癖なし! 服の乱れなし! 汚れなし! スマイルオッケー! 今日も完璧!』
クルリとその場で一回転してからビシッと鏡の自分に向かって指を差すと、僕はスクールバッグを持って急ぎ足で部屋を出た。
『おはようアリフィーユシュカ。今日はちょっと遅かったわね』
『おはようママ。いろいろあってね――あっ……』
お母さんと朝の挨拶をしてると、既にテーブルについて朝食のトーストを食べていた響が気まずそうに顔を背けたのが見えたので、横の席にストンと腰を下ろした。
『お、おはようアリフィヤ。いい朝だな……』
『うん、おはよう響。おかげさまで久しぶりにアラームが聞けてバッチリ目を覚ますことができたいい朝になったよ。せめて来ないなら来ないで前日に教えて欲しかったかな』
『……確かにそうだな。言っとくべきだった、ごめん』
『明日から僕を起こしてくれるなら許してあげないこともないけどさ』
『ゴメン、それは無理だ。じゃあご飯食べ終わったら外に出てきてくれよ。待ってるからさ』
『はい、アリフィーユシュカ。朝ごはん。時間が時間だから……急いで食べた方が――何で怒ってるの?』
『怒ってなんかない』
『え、響と何かあったの?』
『あんなやつ知らない。ごちそうさま、行ってきます』
僕はコップに注がれた牛乳を一気に飲むと、トーストを咥えてリビングを出る。
『なっ!? パンを口に咥えて行くなんてはしたないわよ。こら! ちゃんと飲み込んでから行きなさい――』
後ろからお母さんの諌める声が聞こえてきたが、無視してそのまま玄関へと向かい、置いてあった新品のローファーを履いて玄関の外へと飛び出した。
雲一つない晴天。
春の暖かな陽射しに身を浴びせながら、響は自転車に跨がって待っていた。
今日から通う中学校は小学校と違って家から少し距離がある。
そのため自転車での通学が許可されていた。
僕は無言で咥えていたトーストを食べ終えてから、自分の自転車を引っ張り出すと、鍵を解錠して跨がる。
僕の準備が調ったことを確認してから、響はゆっくりとペダルを踏み込んだ。
『このままじゃ時間的に危ないから少しペースをあげていくよ』
『……わかった』
暫くして、響がそう言って加速を始めた。
加速した響に追い付くために、ぐっと足に力を入れて加速させる。
ビュンビュンと流れ抜ける風が気持ちいい。
自転車を漕ぐのは今世では二回目だった。
前世の経験から一回目から乗りこなせた僕は練習などする必要はないと考えていた。
だからだろう。他意はなかったのだ。
ただ、ついつい風をもっと感じたいと思って、その……立ち漕ぎをしようと……
かなり加速している状態で、ミニスカートの僕が立ち上がったら。もはや言うまでもなく……一瞬スカートが上に舞い上がった。
『あ……』
『え……』
『あ、その……ゴメン』
慌ててサドルに腰を下ろすが、隣にいた響はバッチリ見ていたようで顔を赤面させていた。
うん、確かに僕のことを意識させることには成功したみたいだけど……
こんな形は望んでなかった……っ!!
たかだか下着を見られただけなのに……何でこんなに恥ずかしいんだ……
尋常じゃないほど沸き上がる羞恥心に、中学校に着くまで響の顔を見ることができず、ひたすら悶え苦しんだ。