第5話 結果と実力
「ん?あ〜、ここは...どこだ?」
あたりを見回してみると保健室のようなところにいた。
「あっ、起きたんだ。ここは、本校舎の保健室だよ。僕もさっき起きて詳しくはわからないんだけど、さっきまで総監督がいたからある程度は教えてもらったよ。」
「そうだったのか。」
話しかけてきたのは凛だった。他には俺と卓也ともう1人の系4人がいた。
「総監督は何て言ってたんだ?」
「え〜っと。総監督は、『お前たちの実力はよくわかった。お前ら4人は明日から2軍で練習しろ!これが明日からの練習スケジュールだ。辛い時もあるだろうが頑張れ!』って言ってたよ。」
「マジで⁉︎」
俺はある程度の大声を出した。無理はないんじゃないか、あの名門校の2軍からスタートできるということはそうそうあることではないと俺は思っていた。しかし1つ疑問に思うことがある...
「でも〜あと1人は?3軍からか?」
「...」
凛は黙り込んでいた。俺は疑問に思い首をかしげた。
「もう1人の子は1軍スタートだってさ...」
俺は驚愕した、言葉も出ないくらい。
「い、1軍だと⁉︎なんでだよ!」
「僕ら4人は280〜300球多くて320球ぐらい投げていたけど、その子は10秒で1球のペース、つまり360球投げていたらしい。」
「360球⁉︎」
「あぁ、それで球速もあり球種も多彩でスタミナがあるということで、1軍スタートだってさ。」
「マジかよ...そいつについて知ってることはなんかあるか?」
「僕も気になって総監督にある程度教えてもらったよ。名前は泉 麟太郎、右投げの投手。今回の記録だと、MAXは151kmで球種はストレート、ナックルカーブ、フォーク、シンカーが記録されているそうだよ。」
「...泉...」
知っているような名前だった。だが、思い出すことはできなかった。
「まっ、それぐらい僕たちとの実力の差があったってことだろうね。」
「そうなるのか...」
認めるのは悔しい。だが、これが現実である。そう感じていくことが人生だということを今までの15年間でよく学んできた。
「柳君だったよね?君に総監督から預かりものがあるから、はいどうぞ。」
「え?俺に?」
渡されたのは小さめの封筒だった。中を開けて見てみると、メッセージのようなものが書かれていた。
『今日の16:30に進路指導室』
俺はなんなのか理解しないまま、紙を封筒に戻し、ポケットの中にしまった。