第3話 戸惑いと挑戦
教室を出て帰宅した俺は、真っ直ぐに自分の部屋に向かい鞄を投げベットにダイブした。
「俺なんかが、あんな名門校に入って大丈夫だったのかな〜。MAX125kmのストレートと基本的な3球種しか投げれないピッチャーを推薦して何をしたかったろうな〜」
俺は不安を抱えて戸惑っていた。これから3年間しっかりとこの学校で過ごしていけるだろうか心配で仕方なかった。
その後の夕食の時間、俺はテンションが下がっていたのか家族に心配された。
「純也大丈夫?なんかあったの?」
「別に」
俺の母さん、名前は静子。心配性で細かいことでも気にしてくる。
「大丈夫でしょ〜純也なら。いつもこんな感じじゃなかった〜?」
「うるさいな〜姉貴!少しは心配してくれてもいいんじゃねーのかよ。」
俺の姉貴、名前は萌佳。俺のことを高校生になっても子供扱いしてくる悪魔だ。
「心配することでもないでしょ〜。それだったら私の試合の勝利を願ってほしいわ。」
「はいはいそうですねー(棒)」
姉貴は、近所の六道学園の3年生でソフトボール部のキャプテンを務めている。去年は全国大会に出場し、見事1回戦敗退。その悔しさを今年晴らしたいそうだ。
「何やその言い方ー!私の方が野球うまいのにさー!」
「なっ、なんだとー!俺だって姉貴に負けないくらい成長したし!」
そう、姉貴がムカつく理由。それは、俺より野球のセンスがあることだ。ポジションはピッチャーで、MAX140kmのストレートを投げる剛腕投手だ。強化選手にも選ばれている。
その後も言い争いは続き結局冷めた飯を食べることになった。
俺は風呂も済ませベットで寝そべっていた。ふと見ると机の上の写真が見えた。そこにはユニフォームを着ている人が写っている。名前は柳 勝也、そう俺の父さんだ。父さんはアメリカのメジャーリーグで活躍しているすごい選手だ。昨シーズンは18勝1敗2H1Sという素晴らしい成績を残していた。
もともと俺が野球を始めた理由は父さんのようになりたかったからだ。当時の父さんは日本でプレイしていて、成績は22勝0敗という神のような結果だった。それを見て憧れて野球を始めたのだ。
「父さん。俺、この後うまくやっていけるかな?球もそんなに速くないし、球種もありきたりな俺に、プロなんて目指せるかな?それが心配で心配で仕方がないんだよ。どうすればいいかなー。」
1人で喋るはずのない写真に向かって問いかけていた。
ポッ...
「ん?」
写真たての後ろから何かが落ちた。拾い上げて見てみた。
“誰だって夢は見られるし目指すことはできる。だが、その先のステージに行かなければ達成することはできない。諦めるな!人生後悔したとしても”
「これは...父さんの字...父さんからの言葉...なのか?」
それを読み俺はその紙をコルクボードに貼りつけた。そして、なぜか俺でもできると可能性を感じれるようになっていた。
翌日の朝6:00新入部員系100人程度が集まった。朝礼をして、いざ俺はブルペンに向かった。昨日の気持ちを切り替えて、全力で挑戦することにした。そして迎えてくれたのは1軍コーチの烏丸さんだった。そして、烏丸さんの口から伝えられた内容には、その場の1年生全員が驚愕していた。
「それではこれより1時間投球を行う!」