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俺の夏!  作者: スーパー
第2章 スタート!東峰高校野球部
17/24

第16話 実力差と決め球

赤点が3教科以上あり、追試確定になった俺は必死に勉強していた。理由はもちろん、

「待ってろよ1軍!絶対に上がってやるからなー!」

1軍昇格のためである。


あれから1週間、俺は毎日4時間は勉強していた。そのおかげか追試の理科と社会は基準の60点を超えて合格した…のだが、問題もあり苦手な数学と英語がこれまた酷い点数を取ってしまった。結果再追試、1週間後に残りの2教科を60点以上取らなければならない。かなり絶望的だ。大輝に頼もうとしたが、「僕も忙しいから」と言われ断られた。

「バッテリーのことぐらい心配しろよな!」

と思っているが、口に出すことはできない。それがなぜだか俺にもよくわからない。しかし、そのことで最近気にかけていることがある、それは『実力差』だ。大輝はリードもうまく肩も良い、対して俺は球は遅く、これといった決め球もない。

「…これが実力差ってやつなのか…」

そんなことを思いながら、家に帰宅した。


「ただいま〜」

「純也、ちょっと話がある」

「え?」

俺は今の状況を理解できないまま父さんについていった。

「どうかしたの?」

「お前、最近野球について悩んでいるそうだな」

「⁉︎ なんでそれを?」

「理事長に聞いたよ」

そこで全て納得した。おそらく理事長はアドバイスをお願いしたのだろう。”余計なお世話を”

「庭に出ろ」

「なんで?」

「いいから出ろ」

父さんに押し切られそのままベランダに出た。

「お前、もしや決め球が欲しいんだろ」

「…そうだよ」

「なんでだ?」

俺にはその質問の意味がわからなかった。

「決め球ってあって当たり前のものだろ?だから俺mー」

「違う‼︎」

急に怒鳴った。

「決め球っていうのは、そいつ自身が一番自身のある球であり、ほかのものには負けないという意思のある球のことだ」

「自身…意思…」

俺は間違っていたのか?いやいやそんなわけがない。俺の言っていることも間違いではない!だが…不思議なことに…何も反論ができない。納得してしまったのだ。確かに、俺はまだ野球について何も知らなかったのかもしれない…しかし決して今までの自分を否定したくはない。今までのことが無駄になってしまうから…

「しかし、1つだけ例外がある…」

「例外?」

「伝承球、いわゆるオリジナルに近い球を生み出しそれを代々受け継いでいくというものだ」


『伝承球』俺も聞いたことはあった。なにしろ物凄いものもあれば打ちごろのやつもあるらしい。そしてそれらは伝承させることができるらしい。まるで異世界やファンタジーゲームのような言い方で現実味はないが本当のことらしい。今現在伝承球と呼ばれている球種を投げるのは全員で5人いると言われている。


1人目はメジャーリーガーのアイク・バルトンという右投げの投手。バルトンは、右投げで右に縦に大きく割れるカーブが投げられる。付いた名は『ミラーカーブ』そのままの意味である。実際この球は魔球と呼ばれている。その理由はいろいろあるが、1つとしてバルトンは左右に分けてカーブが投げられる。だから強いのだろう。バルトンはこの球の3人目の伝承者だという。昨年は14勝をマークしチームに貢献した。


2人目は俺の父さん、柳 勝也だ。父さんは伝承球の中でも1位2位を争うぐらいと言われている『ライジングライズ』と言われる浮き上がるストレートを投げる。多々の選手から「チートだ!」「あんなの打ってっこないよ」「捕る方も大変だ」などいろいろ言われている。父さんは1代目で伝承者に名を挙げる選手が多数いるとかいないとか…


残りの3人は、まだ知られていないそうだ。要するに未知の世界ということだ。

「俺の伝承球『ライジングライズ』をお前に伝承しようと思っているつもりだ」

「⁈本当に!」

「ほんとだ。しかしそれはプロになってからにしようと思っていたが、いまはそんなこと言ってる暇ではないと思ってな」

俺は唖然としていた、たった125kmしか投げられないのに…

「おれ…125kmしかdー」

「ライジングライズは投げていれば元も速くなっていく。心配するな」

「父さん…」

「だが、安易な道じゃないぞ?覚悟はあるか?」

悩んだ。悩んで悩んだ。決め球は欲しかった、しかし伝承者の責任を負えるだろうか。不安がよぎる。もし投げれたとして大輝は捕れるのか、監督はなんていうだろうか。考えた。


『やらずに後悔なんてしたくない』


誰かがそう言ってたっけ。チャレンジも成長の一つか…そうだな。やらないまま後悔はしたくない。もうあんな思いは二度としたくない。

「やるよ、おれやってみるよ!」



追試も無事に終わり、一軍昇格したおれは時期的に重なっていた合宿に即時参加になったのだった。その1日目のメニューは2試合というハードなメニュー。おれは2試合目の先発をやることになった、キャッチャーはもちろん大輝だ。

「久しぶりだね、とりあえず全力で行こう!」

「おう…見せてやる。俺のまっすぐ!」

「見せてくれよその球を!」

「任せとけ!」


「これからだ!待ってろよ、俺の夏!」


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