第15話 努力と赤点
バン!バン!
「はぁはぁ、あと50球…」
あの日の理事長との話から2日がたった。あれからというもの俺は、将来に向けて毎日200球程度投げ込んでいる。もちろん肩にはしっかりと気を配っている。
俺は、高校は中継ぎ優先で頑張り、将来はその時に考えることにした。まるであの時の父さんのように…
「これからどうして行けばいいんだろうか…」
実のところ色々と不安でいっぱいだった。実際に中継ぎでうまくいく保証はない、ましてやレギュラーを取ることさえ簡単ではないのに、先のことも踏まえながらやっていっていいのだろうか。父さんには「大丈夫だ!やればできる」といつも言われるばかりだ。
「とりあえず後50球頑張るか…」
バン!バン!
その後もひたすら投げ続け結局100球近く投げてしまった。
「ふ〜、やっぱし風呂が一番落ち着くな」
30分ぐらいの入浴を後に部屋に戻ろうとした時だった。
「純也!あんた、明日テストでしょ!勉強してるの?」
「…」
「?純也〜」
「今からやりまーす!」
そう言い、階段を勢いよく駆け上がっていった。
チュンチュン
「ん?もう朝か…」
時計を見てみると、6時を指していた。昨日は22時から勉強を始めたのでおそらく6時間ぐらい勉強していたと思っていた…のだが、
「ん?何だこれ。変化球の投げ方入門?何だ俺の本か……何で⁈」
そこには、ピッチャーに関する本が3冊広がっていた。
「まさか俺…途中から脱線してたのか〜⁉︎」
全くその通りで、実際に22時から始めた勉強も2時間で飽きてしまい、そこからの4時間はずっと握りやフォームの研究をしていたのだ。そして2時間の睡眠をえて今に至る。
「終わった…今回にのテストもまた赤点だらけで部活禁止か〜」
この学校では、定期考査で5教科中3教科赤点を取ると追試合格まで、部活動中止となる。
「ってことは、1軍昇格が伸びちまうじゃねーーかー‼︎」
それだけはと思い、家を出る10分前まで勉強した。やっぱり色々とこれから不安で仕方がない。
ちなみにテストの結果はお察しの通りです。
国語:63点
数学:18点 赤点
英語:7点 赤点
理科:36点 赤点
社会:28点 赤点
結果:追試確定