第14話 父さんと過去
「失礼します!」
「入りなさい」
「理事長...なんですか?」
「いや〜君が私の母を救ってくれたんだね?」
「まぁ」
「そのお礼としてなんだが、君はランダーズの壱琉って知ってるか?」
「メジャーリーグの琉輝 壱琉選手ですか?」
「そうだ、今度壱琉が帰国してくるらしい」
「え?なんでですか?」
「単なる帰宅だ」
「そうなんですか...」
「その際に、お前に合わせてやりたいと思っている」
「まっ、マジっすか?」
「あぁ、嘘はつかん。どうだ?」
「宜しくお願いしますーーえ?なんで壱琉選手のことそんなに詳しく知っててそんなこと断言出来るんですか?」
「俺の息子だからだ」
「あ〜そういう事だったんですか〜なんだ〜あはははは...ま、マジっすか?」
「本当だ、私の名前だって琉輝 大成だからな」
「そうだったんですか...」
「ん?そんなに驚いてないようだな」
「えぇまぁ、俺の父さんもメジャーリーガーで...」
「もしかして、ブルーライオンズの柳 勝也の事か?」
「えぇそうです」
「そうかーあの勝也の息子が君か」
「知ってるんですか?」
「昔高校で共に野球をしていた仲だからな」
「そうなんですか?」
「まぁな、私と勝也は昔同じ学校で野球部に入っていた。私たちはエースを目指して争っていたんだ」
「そうなんですか!んで、どっちがエースに?」
「結果私がエースナンバーの1番を付けていました」
「んじゃ父さんは...」
「勝也は中継ぎ専門だったんだよ」
「な、中継ぎですか?」
「そうだ。私が6回勝也が3回投げていたよそのおかげで3年間甲子園春夏出場できて計4回優勝している」
「凄いですね!」
「だから、今あいつがメジャーで先発でやってるのがすごいと思ってるよ」
「そう言えばそうですね」
「どんなに高校でやっててもプロに入ればどうなるか分からないからな」
「どうなるか...分からない」
「あぁそうだ。現に高校でピッチャーでもプロでは野手になってるやつもいるだろ」
「なる...ほど」
〜30分後〜
「いや〜今日はいい話ができたよ」
「いえいえこちらこそ」
「ということで君は帰るといいもう少しで暗くなるよ」
「わかりましたーー失礼しました」
そう言って理事長室から退室した。俺はすごく笑顔になっていた。
その理由は、父さんの昔の話を聞けたこと。もうひとつは未来はどうなっているか分からないこと誰にでもチャンスはあるということ。まさか理事長からこんなに大事な話を聞けるとは思ってもいなかった。でも、いい経験になったと思っていた。
「あぁーーー!壱琉選手と会える話続きすんの忘れたーーーーー!なんてことだーーーーーーーーーー!」