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だから俺には墓がない。



「結婚は、人生の墓場である」


 そんな言葉をご存じだろうか。おそらく結婚話などそういう会話になった時、一度は誰かそう口にするのではないだろうか。現在日本全土に広まっているこの言葉だが、これはもともと日本で生まれた言葉でもなければ、意味も全く違うものだったらしい。

 これはもともと、とある著名なフランスの詩人の言葉だそうだ。


 そんな言葉が何時しか、結婚後の人生の苦労を匂わせるような、そんな表現として使われることが多くなった。

 

 この言葉が本来の言葉の形と意味を失ったのは、翻訳という言葉のどうしようもなく生まれてしまう狭間のようなものが原因らしい。

 だが、本来の意味も失ったこの言葉が独り歩きし、ここまで日本人に馴染んだ言葉になったのには、それだけこの言葉に共感できる部分が多かったのだろう。


 本来、フランスの詩人の言った言葉とはかけ離れ、日本においてはルーツの意味は失われ、その本質はもうすでに失われている。


 しかし、本質を失おうと、その言葉に人は恐らく感動し、共感してきた。


 

 俺もその一人だった。


 結婚なんぞ、それは人生の墓場だったのだ。


 もっと正確に言えば、


 結婚()、それは俺の人生において、墓場も同然だった。


「サヨナラ」


 そんな言葉だけを残して、結婚式の前日、俺が生涯を愛することを誓った最愛の人は俺の前からいなくなったのだから。



 








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