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プロローグ
新しいお話です。
書きためた分を放出したら、不定期亀更新になります。
どうぞよろしくお付き合いください。
細く息を吐く。
目の前は暗く何も見えないが、家族が側にいる事はわかった。
母と妹が泣いているのも。
(ごめんね……)
声ももう出ない。
彼女は、息をひきとった。
はずだった。
気がついたら、ファンタジーな世界で貴族の娘として生きていた。
ミナリア・ザウアーラント。
それが今の彼女の名前。
自分が日本という国に生きていたという前世を思い出したのは、十歳の時だ。
その時に前世の自分と今の自分が混ざったのもわかった。
そして、前世の自分が強く出てしまった事も。