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訳あり少女のルーフェリア冒険譚  作者: 葉山
シナリオ1 導入編
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05 騒がしい二人組


 重い荷物を抱えて、ゆっくりゆっくり<水晶の欠片亭>へと向かうタルトと親方。目的地である<水晶の欠片亭>の建物が見えてくると、タルトの足取りも軽くなってきたようで、大荷物を抱えた親方の脇を通り過ぎて行く。

 現金なもんだ、と苦笑を浮かべた親方だったが、不意にタルトの足が止まる。


「どうした?」


 尋ねるも返答はない。黙り込んだまま親方が追いつくのを待って、そして何かから隠れるようにして親方の脇にぴたりとくっつく。

 何かあったのだろうかと<水晶の欠片亭>の入口の方へと顔を向ける。


「でも、グレンさんっ! こういうのって絶対お約束的なテンプレートがあるんだって!」

「馬鹿なこと言っていないで、さっさと行きますよ。私は、今晩はベッドでちゃんと寝たいんです」

「でもでもっ! アタシみたいな小娘はもう若さしかとりえないからアレだけど! グレンさんみたいな美人さんだとどう絡まれるか分からないんだよっ! 自衛って大事だと思うんだ!」

「何訳の分からないことを言っているんですか。妄言甚だしい」

「グレンさんの分からず屋ー! いいもん、アタシがグレンさんを守るしか」

「おーい。そんなとこで諍いしていると、営業妨害になるぞー」


 <水晶の欠片亭>の入口でなにやら口論をしている二人。このままでは通ることもできず、荷物を置く場所を聞きに行くこともできない。身軽なタルトを行かせようにしても、この様子ではリッタを呼んでくることもできないだろう。

 親方が仕方なしに二人に声を掛けると、エルフの男性はハッとしたように、尚も言い募ろうとしている少女を引っ張った。


「ほらっ! ほらグレンさん! 言ったじゃん!イベント発生だよ!」

「またこの子は訳のわからないことを……。人様の迷惑になることはしてはいけないと」

「絡まれイベントかとドキドキしてたけど、違ってよかったよ! ていうかおじさん凄いね! 重くないの? 一個持つよ?」

「人の話を! 最後まで! 聞いてください!」


 ああ、この男も苦労しているんだな、と苦笑を浮かべながら、マイペースに言葉を放ってくる女の子を軽くあしらう。


「大丈夫だ。人族の嬢ちゃんには重たすぎて潰れちまうかもしれないからな、気持ちだけ貰っておくよ、ありがとさん」

「そう? 残念。あ、でも目的地ここ? それならドア開けたげるよ!」

「お、おう。それは助かるぜ、ありがとうな」

「どういたしまして!」


 にかっと笑う少女に開けられた扉をくぐると、リッタが驚いたような様子で親方たちを迎え入れてくれた。タルトがほっとしたように荷物を渡すと、リッタはお疲れさまとでも言うかのように、ぽんぽんと肩を叩いた。それも先ほどの少女とエルフの青年が入って来たことで、手を振り払われてしまったのだけれど。拒まれなかった、と言う事でリッタは上機嫌そうだ。


「いらっしゃい! <水晶の欠片亭>へようこそ!」

「ようこそはいいがリッタよぉ。この荷物どこに置けばいいんだ?」

「裏にでも置いておいて。食材は地下の保管庫ね、よろしく」

「分かった。さ、嬢ちゃん行くぞ。全部終わらせてこその依頼だぜ」

「ん」


 荷物を抱えて最後のひと踏ん張りだ、とでも言うかのように、親方はタルトを促して裏手へと回る。人と関わりたくないのか、タルトは嫌な顔はしなかった。

 それどころか、保管庫へ食材を置きに往復することを自分から進んで申し出てきた。そんなに嫌か、と親方は困りながらも、そうなってしまったきっかけを知っているからこそ、あまり強くは言えない。

 何か変わるきっかけがあればな、とは思うも、親方にはどうすることもできなかった。


「さて、改めて<水晶の欠片亭>へようこそ! ご用件は、お泊り? それとも食事だけ? はたまたうちの冒険者へ依頼かしら?」

「おお……! すごい、なんか小説のワンシーンみたい……!」

「宿泊を。とりあえず一週間分、彼女と私と、一部屋ずつお願いいたします」

「食事はどうする?」

「……とりあえず今晩だけ。お恥ずかしい話、消耗品を補充したら手持ちが心細くなりそうなのです」

「あら、そういうことなら、明日からうちでの依頼……少し請けてみる? 恰好からして、えぇとそうね、キルヒア神官様、かしら?」

「ええ。あ、申し遅れました。私はキルヒア様に仕える巡礼中の神官。名はグレンと申します」

「あ、アタシは佐藤柚! ユズって言います! グレンさんの……養い……隠し子?」

「馬鹿なことを言っているんじゃありません。……ああ、この子が言っていることは半分以上聞き流してください。妄言が多いですが、剣士としての腕は確かです。常識も弁えているはずですが、いかんせん。どうにも浮かれているようで……」

「あー! あー! 傷付いたー! グレンさんひどーい! 言葉が痛いなー! 女の子に向かって、それはないと思うなー!」

「お黙りなさいお馬鹿さんが」

「わーん、陰険エルフがいじめるー!」

「あははははっ! アンタたち面白いねーっ! 依頼はちょっと選ばなくちゃならない感じだけど、うん。いいよ、明日から便宜を図ってあげるよ。だから、今日はしっかり食べてゆっくりお休みよ。はい、これ今晩の部屋の鍵ね」


 ……愉快な奴らだ。夜中に騒がしくなければいいがね。

 なんてことを考えながら、親方は裏手で荷物の仕分けをしていた。


PC3:ユズ

種族:人間 生まれ:冒険者

冒険者レベル3

技能:フェンサー3

   レンジャー1

特技:必殺攻撃 全力攻撃

言語:共通交易語 異世界語(日本語)

メモ:異世界人。めっちゃ行動的。ホラーは苦手。

髪の色:黒  / 瞳の色:黒  / 肌の色:象牙色

経歴1:恥ずかしい二つ名を持っている(いた)

経歴2:大怪我をしたことがある

経歴3:ひみつ基地を持っている(持っていた)

穢れ度:0


ユズ:これって、トラックばーんからの異世界転移しろって経歴が言ってる気がする

GM:え。いや、まあいいけど。


タグ増えたのは大体この子のせい()

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