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訳あり少女のルーフェリア冒険譚  作者: 葉山
シナリオ1 探索編
22/44

22 作戦会議


 タルトの顔が真っ青になっていたため、一度<水鳥>を岸辺に寄せ、地上でゆっくりと考察することにした一同。ユズが手にしたヒントの前で、顔を突き合わせていた。


「これ、魔動機文明語と入り混じってるが、同じヒントでいいんだよな?」

「どうかな? 名探偵タルトちゃん」

「……筆跡が同じ、かな」


 たぶん、と自信なさそうに付け加えられた言葉を聞き流し、同じだって! と断言するユズ。胡乱気な視線をタルトから向けられていることに、微塵にも気付かないでいる。

 呆れたように一つ息をついてから、タルトはそっと紙片を撫でた。


「渡した人が、同じヒントを隠した?」


 考え込むようにして、じっと綺麗な文字を見つめた。


(ロランは、宝探し、と言っていた。でも、何のために?)


 そう、目的が分からないのだ。彼は最初に『三百年前に滅んだイズマル王国に関係のある宝物』と言っていた。それを一介の神官見習いである少年が欲しかるものなのか。いや、欲しがっている様子は言葉の端々に見受けられた。それが、当人が欲しがっているのか、欲しがっている人にあげたいのか。


(少年に宝探しをさせる? その理由は?)


 考えても、考えても、答えは出る気配がなかった。

 タルトが別のことを考えていることは露知らず、他の四人は地図を広げて顔を突き合わせていた。


「でも、少女かー…」

「セリーヌ水路と言い、レンナの伝説と言い、このカリナスには少女、女性にまつわる伝説が多いようですね……」


 グレンがとん、とんと水路の名称が書き記されている部分を指し示す。親方が髭を撫でながら、地図上へと視線を走らせる。やがて一つ頷いた。


「どれ、名称からそれっぽいのを抜き出してみるか」

「そうするとー、レンナ水路、セリーヌ水路、乙女桟橋、誓いの水路ってとこかな? でも、別れを告げるってあるなら、神殿も視野に入れた方がいいかも?」

「……墓地、ですか?」

「ざっつ、らいと!」

「それなら、神殿じゃなくてミルダオ島かな。墓地はそっちにあるから」


 ざっつ、らいと? と首を傾げたロランにてへっと舌を出して誤魔化し、ユズは地図を見ながら指折り数を数えた。

 候補として挙げられる箇所が多くて、どこを目指して進めばいいのか分からない。グレンも親方も難しい顔をして地図を睨んでいた。

埒が明かない、とユズは大きく両手を上にあげた。降参のポーズ、らしい。


「うーん、わかんないなー。ロラーン、なんか現地人として分からないのー?」


 同じように悩んでいたロランは、困ったように首を傾げながら、書かれていた文字を復唱した。やがて、はっと何かに気付くような表情で地図の一か所を指さした。


「複数の女の子……。それなら、ここに五人の少女の像があるよ」


 北北西にある、嘆きの桟橋と書かれた場所。そこから点線でミルダオ島へ繋がっている。ここから船が出ている、と言う事なのだろう。

 ロランは言葉を続ける。


「むかし、カリナスに疫病が流行ったときに、自らを犠牲にして病人たちを看護したと伝えられている人たち。まあ、結局、みんな死んじゃったらしいけどね」

「それは……なんとも、重い話だねぇ……」

「まあね。この人たちが病人を看護した施療院がミルダオ島の墓地の近くにあるんだ。聞いた話だと、その時に死んだ人たちを埋葬したところが、後々、墓地になったらしいよ」

「……薔薇園跡があるしな。案外、そこから白い花持ってって弔いをする、とかありそうだな」

「ええええ、墓地行くのー?」


 引きつり笑みを浮かべていたユズだったが、行き先がそこに決定しそうになった途端に、たちまち嫌そうに顔をゆがめた。


「まあ、弔いの気持ちを持っていけば大丈夫でしょう」

「ほら、アンデッドとか出たら……!」

「明るいから、大丈夫」


 しぶるユズに、グレンだけではなくタルトもぽつりと擁護の言葉を掛ける。その様子を見て、親方は緩やかに口元に笑みを浮かべた。


「嬢ちゃん、もう大丈夫だな」

「ん。ごめん、迷惑かけた」


 体調の問題だけじゃないんだがな、と苦笑を浮かべたものの、口には出さなかった。


「それで、とりあえず嘆きの桟橋まで行ってみる?」

「えー…」

「嬢ちゃんが我慢してきたんだから、剣士の嬢ちゃんもある程度我慢できるよな?」

「うわ、やだそのお姉ちゃんだから我慢できるよね? 的なことで諭す親みたいなこと言うのー」

「なんだそりゃ」

「大丈夫です、本当に嫌なら桟橋で待機してもらうだけですから」

「それは嫌ああああ! 頑張る。頑張るからあ!」


 なら最初からそう言えばいいものを。そんなことを思いながら、グレンは懐中時計を取り出した。

 時刻は現在、十時丁度を示していた。


「確か、<水鳥>の現在使用料は……八Gでしたか」

「そんなもんだったか? ツケだと、酒と一緒でどれだけ使ったか分からねぇもんだなぁ」

「じゃあさ、じゃあさ! 気分転換に、歩こう! 歩いていこう!」


 はい、決定! とでも言わんばかりにロランの手を引っ張って歩き始めるユズ。その後ろ姿を見て、グレンと親方は苦笑を浮かべた、



親方:GM、今何時だ? ついでに付けはいくらだ?

GM:10時ですね。あとツケくらい自分で覚えておいてください

   ……8Gですね、一人当たり

親方:歩くか。三マス先だ

ユズ:ま、この調子なら大丈夫だと思うんだけど

   門限、忘れないようにね!

タルト:問題ない、計算してる

親方:優秀な嬢ちゃんで、俺は鼻が高いぜ

タルト:親方がずぼらすぎるだけ



タルトには心情もとりあえず発言しておいて! あとで編集するときにぶち込むから、と多めにするように言ってあります。

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