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訳あり少女のルーフェリア冒険譚  作者: 葉山
シナリオ1 探索編
21/44

21 ヒント4


 一度空気を求めて三人が水上へと顔を出すと、ロランがほっとした様子で顔を緩ませた。


「俺は嬢ちゃんが心配だから戻らねぇぞ」

「ええ、助力ありがとうございました。タルトさんも」


 親方が乗り込むために大きく揺れた<水鳥>。振り落とされないように必死にしがみつくタルトに、グレンの言葉に返す余裕はない。

 その様子は水面からでも分かったので、グレンは苦笑だけして再びユズと水中へと潜って行った。


 ごぽりごぽりと顔を撫でて水上へと向かう空気の泡が心地いい。浮力によって持ち上げられようとする体を、水中に滑り込ませるようにして進んだ。

 水の中の方が心地いいと言ったら、おかしいだろうか。エルフの血が、加護が、そう思わせているのだろうか。

 ふと、ユズの姿が見えないことに気付く。

 置いていってしまっただろうか。慌ててその場で制止して振り返ると、ユズは良い笑顔でキラキラと輝く鱗を手にしていた。


「……剥ぎ取りをするなら、一言声を掛けて下さい」


 呆れながら、思わず声に出してしまうと、ユズはごめんごめん! とでも言うかのようにして拝んできた。水中で声が出せないことを失念していたグレンは、気恥ずかしそうにしながらユズが追いつくのを待っていた。

 二人が揃って、一番近くにある水中灯へと近付く。

点々と水路に並んでいる水中灯。イルカの装飾が施されているそれは、明かりが灯る部分が大きく破損している。これでは明かりを灯すのは、確かに難しい。支えとなる燭台部分に、絡みつくようにして施されているイルカの彫刻。生き生きと水の中を泳いでいる姿を模して彫られているソレは、一様に水路の南側を向いている。

 見て、とユズがグレンの服を引っ張る。


「鎖、ですね」


 二人が調べようとした手前の水中灯に、鎖が取り付けられていることが分かる。ゆらゆらと揺れる鎖の先に、何かが括り付けられていることも。

 グレンは何が括り付けられているか確認してから、と思ったものの、それよりも先にユズがするすると鎖を引き上げてしまった。

 罠かもしれないと言うのに、と慌てて止めようとするも既に遅く、鎖に取り付けられていた小箱は、ユズの手の中に納まっていた。せめて開けられる前に、とまさに開こうとしていたユズの手を握り止める。

 きょとんとした顔で不思議そうに見上げてくるユズに小さく首を振ってこたえる。


「開けるのは、<水鳥>で」


 簡潔に伝えられた言葉に、ユズは素直に頷いた。早く開けたい気持ちを体現しているかのように、軽やかに水上へ向かっていく。水を蹴って、グレンもそのあとを追った。


「あったよ! あった!」


 息も絶え絶えに水中から小箱を掲げるユズの出現に、ロランと親方はぎょっと身をすくめた。


「水中灯に、括り付けられてた!」


 ユズが<水鳥>にあがりやすいよう、親方は一時的に小箱を預かる。水がしたたり落ちるそれは、拳一つ分くらいの小さな小箱で、ぴたりと密封されている。水が中に及んでいることはないだろうことが分かる。開け口は留め金を緩めるだけで肝がんに開く仕組みとなっているようで、罠が仕掛けられている様子もない。

 無造作に拭うのを窘め、しっかりと水を拭きとるように告げると、ユズはしょぼんと肩を落とした。


「大丈夫だ、罠はないからこいつは逃げない」

「ふふっ、ユズ姉さん早く開けたい! って顔してる」

「だってぇ……」


 ごねるユズに、それなら私が開けますよとグレンが告げると、ユズは大慌てで髪を拭いていた。その様子を笑って見ていた親方は、水がしたたり落ちてこないことを確認すると、小箱をユズに手渡した。

 ユズの瞳があからさまに輝くと、ロランはユズの傍へと移動する。


「それじゃ開けるよ! ぱかっ、と!」


 小箱の中には、綺麗に四つ折りにされた紙片が一枚。丁寧に開くと、交易共通語で書かれた二文。

 新しいヒントだ、とユズは意気揚々とそれを読み上げた。


【別れを告げる少女たち 愛と勇気に白い花の贈り物】



GM:ええと、ではブルーキラーの群れを退けたので、

  イルカの水中灯を調べましょうかね

  ちなみに、北と南、どちら側から調べているのでしたっけ?

ユズ:え?

   ええー

グレン:もうどっちでもいいよー

    ていうのがユズの本音でしょう?

タルト:えっと…

    キルヒア神殿に近い方、だから、南側、じゃないかな

GM:では、南側のイルカの水中灯から調べます。

  一番先頭を向いているイルカですね

ユズ:あっ!そっか!

グレン:なにが?

ユズ:隊長!

   隊長イルカだから先頭でいいんだ!よかった!

GM:そういうこと。

  一番先頭の水中灯に、鎖が取り付けられていることが分かります。

  引っ張れそうですよ

ユズ:じゃ、引っ張る!

グレン:待って、罠かも

GM:あいにくと罠はなく、するすると手元に引き寄せられる。

  鎖の先に、小さな箱がつながれています

ユズ:隊長イルカの宝物!

グレン:待って。まだ明けないで!すとっぷ!すてい!

ユズ:わんっ

タルト:www

親方:www

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