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訳あり少女のルーフェリア冒険譚  作者: 葉山
シナリオ1 探索編
20/44

20 キラーフィッシュの群れ


「こりゃ、ちょっとマズいな……」

「えっ? うわっ! 魚に襲われそうだよ!」


 二人の様子を見守ろうと水中を見つめていた親方とロランが顔をしかめた。水中の二人はまだ気付いてはいないようだが、そう遠くない距離に銀色に光る魚の大群が見える。その進みは迷いなく二人へと近付いているように見えた。


「普通の魚じゃなさそうだな……、嬢ちゃん分かるか?」

「分からない」


 水中の様子を見ることもできずに、タルトは即答した。そんなことだろうとは思った、と親方はやれやれとでも言いたそうにして肩をすくめる。それからロランに櫂を持つように告げ、ぐるりと肩を一つ回した。


「坊ちゃん、<水鳥>頼むぞ」

「えっ。ええ、親方さん行っちゃうの?」

「あの二人だけじゃ火力が足りねえだろ。息も続かなくなる危険性もある」


 さっさと倒すに越したことはないだろ、と櫂をロランに押し付けた親方は、いざ飛び込もうとしたものの、真っ青な顔でこちらを見上げるタルトの視線に気づいた。


「嬢ちゃん、お前は坊ちゃんとここにいろ。無理に戦闘に参加しなくてもいい。むしろゴンドラの真ん中にいろ」

「ん、で、でも……」

「大丈夫だ、こっちまでは絶対に揺らさないし、嬢ちゃんも落ちない」


 不安そうに揺れる瞳を真っすぐに見つめ、安心させるように大丈夫だと繰り返す。普段は嫌がる頭を撫でても、この時のタルトは嫌がらなかった。


「坊ちゃん、悪いが任せるぞ。ゴンドラの舵だけしっかり握っててくれ。水中の敵以外なら、嬢ちゃんが全部対処してくれるからよ」

「分かった。親方さん、気を付けて」


 しっかりと櫂を握ったロランに満足そうに頷くと、親方は今度こそ縁に手を掛けた。


(ザス)第一階位の付(ヴァスト・フ・ルド)威力(レーティル)強靭(スクルル)――強刃(エーチェポン)


 飛び込もうとしたその時、タルトのか細くもしっかりとした詠唱が背中を押してくる。ヘビーアックスがぼんやりと輝いた。

 タルトなりの応援なのだろう。任せろ、とにやりと笑った親方は、今度こそ水中へと身を滑り込ませた。

 ぼこぼこぼこ、と大きな白い泡がいくつも地上に向けて登っていく。金属鎧の重さもあってか、沈むのは早かった。急に地上から飛び込んできた親方の姿に驚くも、呪文を唱えていたグレンは即座に親方も呪文の対象へ組み込んだ。


「【フィールド・プロテクション】」


 三人の身体に淡い光が纏われる。それを確認したユズは一目散に魚へと襲い掛かろうとするも、慣れない水中で上手くレイピアが扱えないようだ。大群だと言うのにするりと躱され、その刃が届くことはなかった。

 グレンが親方に手を伸ばす。不思議に思いながらも手を取ると、呼吸が楽になったのを感じる。


「キラーフィッシュです。弱点はなく、魔法誘導も効きません。大群ですから避けるのも、難しいかと」


 エルフと言う種族が剣の加護により、水中での行動を苦としないと言うのは知っていたが、実際に目にすると驚きを隠せない。

 きますよ、と声を掛けられる。正面には、魚の大群が攻めよって来ていた。


「っ!?」

「ぐぅっ!?」

「ごぼぼっ!?」


 すれ違いざまに鋭いヒレが細かな傷を負わせてくる。金属鎧や革製の鎧を身に着けている親方やユズは軽傷なのだが、驚きで口元から空気が零れた。

 神官たるグレンはあまり前線に出ることがないからか、襲い来る視界の暴力と痛みに動揺が大きく見られた。

 ユズが慌ててグレンの手にすがりつくと、顔をしかめたものの振り払う事はしなかった。

 対称的に親方は通り過ぎた直後の魚の群れに向かってヘビーアックスを振りかざした。タルトが掛けてくれた魔法……操霊魔法の【エンチャントウェポン】……がいつもより刃を鋭利に見せる。

 これは、外すわけにはいかねぇな。

 苦笑を浮かべながら、親方はマギスフィアを変形し、【ターゲットサイト】を起動した。

 踏ん張る地面がない中、体の筋力全部を使ってヘビーアックスを振りかぶった。大群の中を通り抜けた跡がはっきりと残る程、キラーフィッシュを巻き込んで下へと落ちて行く。

 半分も削れないことを落ち込むべきか、悔やむべきか。舌打ち一つ打って、グレンの伸ばされた手を掴んだ。大きく深呼吸をする。

 入れ替わりに出たユズが、素早い動きで追撃を掛ける。ユズのレイピアが最初の大群の量を半分以下に減らす。

 旋回してきたキラーフィッシュを見れば、一目でそれが分かる。繋がれた手を引き、思わずグレンを後方に庇う。抜けられたキラーフィッシュは親方をすり抜けてグレンへのダメージを許してしまうのだが、条件反射にも近いものだった。


「っ、【キュア・ウーンズ】」


 慌てて回復魔法を自分に掛けて、空気の補給しかできない自分に歯がゆさを覚える。水中で攻撃がなかなか当たらないユズや親方も、もどかしく思っているのか顔が険しくなっている。

 グレンが時折己に【キュア・ウーンズ】を掛けてしのぐものの、数が少なくなり、的が小さくなってきたキラーフィッシュの群れはすいすいと刃先を避けてしまう。徐々に劣勢に追い込まれていく状況に、三人は焦燥感を覚えていた。

 そんな時、水上から黒い光がキラーフィッシュに降り注いだ。


(ヴェス)第一階位の衰(ヴァスト・リ・ドム)弱体(ドゥル)鈍化(ラクマナ)――鈍刃(ドントード)


 抵抗されることなく降り注いだ魔法に、キラーフィッシュの群れは戸惑うように、一瞬動きを止めた。


「真語魔法……タルトさんの【ブラント・ウェポン】ですね! これなら……!」


 己に掛けていた【キュア・ウーンズ】を、傷が増えてきていたユズへと掛ける。驚きに目を丸くしたユズだったが、グレンの視線がこれで決めてしまえと言っている。


(さすが俺の見込んだ嬢ちゃんだ!)


 流れが変わったのを感じ取った親方は、ヘビーアックスを握り直す。突撃してくるキラーフィッシュの群れをぐっと我慢して耐える。


「うおおおおおおおおおっ!」


 空気がなくなろうとも、当てる気合いを入れるようにして思いっきり振りかぶる。

 当たれ、当たれ……当てる!

 水を切り裂き、空気の塊として、ぶつける。斬るんじゃない。叩きつけるんだ。

 どうっと当てる。何匹か逃したのを感じたが、ユズが背後から鋭い突きを素早い動きで放っているのが分かる。

 当てる。逃がさない。これで終わらせる。

 その思いは同じで、二人の気迫あふれる攻撃はついにキラーフィッシュの群れを全滅させた。



<戦闘前>


タルト:ごめん、飛び込めない…

親方:こりゃ、ピンチだな…

GM:魔物知識判定をどうぞ、8、12です


タルト:2D6+4+1 魔物知識 → 2[1,1]+4+1 → 7


グレン:2D6+3+2 ペネトレイト → 9[6,3]+3+2 → 14


グレン:2D6+3+1+2 魔物知識 → 5[2,3]+3+1+2 → 11


タルト:ご、ごめん…

    動揺しすぎて、分からない

ドン:おう、おめでとうさん(弱点だもんな、水…)

ユズ:いちぞろー!?

グレン:すみません、弱点は抜けませんでした

GM:タルトに50点差し上げよう

タルト:PC的には、ものすごく、美味しい

親方:分かるwww

ユズ:www

グレン:www

GM:出目が空気読んだってやつだねw


<開始直後>

親方:つーことで、俺も前線入りだ。命中が下がるんだっけか、さっきと同じだな


グレン:2D6+3+2 フィールド・プロテクション → 7[1,6]+3+2 → 12


グレン:参戦したから、これでバフ重ね崖になるでしょう

ユズ:えっと、じゃ、アタシはとりあえず殴ってくる!


ユズ:2D6+2+3-2 命中 → 2[1,1]+2+3-2 → 5


親方:あ

グレン:あらら

ユズ:うそおおおおおおおお!!!??

GM:50点、おめでとうございます!!



<終盤>

親方:こりゃ、ちっとまずいな…

タルト:……

    支援くらい、なら


タルト:2D6+4+1 [真,第一階位の衰。弱体,鈍化――鈍刃] → 10[4,6]+4+1 → 15


GM:精神抵抗11を抜いてきた、だと…?

タルト:物理-4!

親方:さすが俺の見込んだ嬢ちゃんだ!

グレン:これなら!ユズに!


グレン:2D6+3+2 行使判定 → 8[4,4]+3+2 → 13


グレン:k10@13+3+2 キュア・ウーンズ → 2D:[6,6]=12 → 7+5 → 12


GM:グレンが本気出した…

親方:いくぜ


親方:2D6+3+2 命中 → 7[2,5]+3+2 → 12


親方:っし!当たった!!

GM:げぇ


親方:K25@11+3+2 威力 → 2D:[5,6 5,6 5,1]=11,11,6 → 9,9,5+5 → 2回転 → 28


ユズ:おおおおおおおお!

タルト:すごい!

グレン:おおおおおおおおお!!

GM:ちょ、おま、待てって。嘘。

  クリティカルなくてよかったあああああああ!!!!!



尚こちらの戦闘、詰みになるまで6ターン掛かりましたw

笑えるほど、攻撃が当たらないのw

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