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訳あり少女のルーフェリア冒険譚  作者: 葉山
シナリオ1 探索編
12/44

12 親方と子ども


 細く入り組んだ路地が続いていて、路地から路地へと駆けまわっている子どもたちの声が反響している。かつてはたくさんの人たちが生活していた場所だったのだろうが、今はあまり人は住んでいる様子が見られない。


「到着っと! 親方さんお疲れ様でしたー!」

「いや、大したことじゃねぇよ」


 簡単に舟留のロープで<水鳥>を固定した親方は、地図とヒントの紙片を見比べているグレンとロランへと視線を動かした。ぽん、と地面に足が着けたことを安心したような様子のタルトの背を叩き、無言でそっと促す。


「それで? 全然長靴って感じしないけど、一応ここが長靴島でいいってこと?」

「おそらくは。そして、今はこの辺りに到着したので……地形的には底の部分にあたると見て良いはずです」

「大きな長靴がここだとして、問題は続きの部分かな?」


 ロランが後半部分を読み上げると、一同は揃って首を傾げた。


「踵ってどこだろう?」

「分かるようにあるのでしょうかね?」

「いや、ジャブジャブびしょ濡れ、ってことだから、恐らくは水辺になると思うんだが……」

「とりあえず、探す?」


 タルトの一言に、ユズはロランと共に大きな川沿いの水路を覗き込んだ。

 落下防止の柵から水面を覗き込むと、後ろから腰のあたりをむんずと掴まれる。そんなに落ちそうに見えたのだろうか、とユズは気にせず身を乗り出す。大きなため息をついたのが聞こえたので、間違いなく手の主はグレンだと分かった。

 大きな川沿いに、何かが等間隔に設置されているのが見える。

なんだろう? と思い目を凝らすと、ジュゴンが模された街灯のようなものが、水中に設置されているのが分かった。


「ねえ、グレンさん。水の中に街灯みたいなのがあるよ」

「そ、そうですか……!」

「それってもしかして、水中灯のことかな? 昔は明かりが点いたみたいだけれど、<カナリスの消散>で使えなくなっちゃったんだって」

「えっと、その、カナリスのなんちゃらって?」

「ユズ。質問する前に、こちら側に戻ってください、腕が限界……です!」


 掴まれている手がプルプルし始めているのを感じ、ユズは慌てて身を乗り出すのをやめた。ロランに至っては既に柵から少し距離を置いている。

 気恥ずかしさから、てへっと舌を出して謝る。


「あ、ごめんごめん! グレンさんひ弱な神官さんだもんね、うっかりしてたよ!」

「自分が重いこと、自覚しては?」

「お、重いのは装備だもん! グレンさんったら女の子に向かってそれはないよ! 超失礼だよ!」

「知っているのですよ? 渡したガメルは、ほとんど食費に消えていることを」

「うげぇっ!? なんで知ってるの!? やだグレンさん気持ち悪いストーカーなのっ!?」

「人聞きが悪いことを言わないでください、失礼な」


 ふと、ストーカーと言えばロランをつけ狙う不審者がいると言う、シムニスの言葉を思い出した。グレンはさり気なく辺りの様子を伺うものの、特に何かの視線を感じることはなかった。

 子どもが走り回っている声が、細い水路に反響している。甲高い、楽しそうな笑い声。

現地の人間に聞いた方が早いのではないか、と考えたグレンは、ユズたちを伴って距離を置いていた親方たちの方へと合流することにした。

 水路を覗き込んでいた三人と距離を置いていた親方だが、眺めているよりは、と走り回っている子どもに聞くことにしたようだ。


「おーい、ちょっと聞きたいことがあるんだが」

「うわー! 変なちっちゃいおっさんだー!」

「誰がちっちゃいおっさんだごら!」


 近くを通りかかった子どもに声を掛けると、笑い声をあげて走り去られる。親方にはどうしても許せない言葉が聞こえてしまったので、大人げなくも小さな姿を追いかけ始めた。

 あながち、間違ってない、と思う。

 呆れたような目で親方を見送ったタルトは、深く肩を落としてため息をついた。


「おっさんは許す。だが、ちっちゃいは許さん!」

「うわっ! やばい、このちっさいおっさんはやい!」

「馬鹿! もっと速く走れよ! 捕まっちまう!」

「足は遅いが、これでも冒険者だからな! ガキには負けん!」

「横にでっかいのに! なんで、こんなにはやんだよ! おかしいだろ!」

「よし、お前は捕まえたらグリグリの刑だ」

「うわっ、父ちゃんのより痛そっ、うわあっ!?」

「ジョーンッ!」


 慌てるあまりに足がもつれたのか、一人の子どもが派手に転んだ。悲痛な叫び声をあげて、もう一人が助け起こそうと足を止めたその瞬間。

 がしり、と頭を鷲掴みにされる。太い指が、みしみしとこめかみを圧迫してくる。あまりの痛さに子どもたちは親方の手を外そうと躍起になりながらもがいている。


「ぎゃー! 変なおっさんに捕まったー!」

「人聞きの悪いこと言うんじゃねぇ!」

「あででででででっ! 痛い痛いっ!」

「俺に、何か言うことあるよな? なあ?」

「「ごめんなさいっ!」」


 子どもたちが叫ぶようにして謝ると、親方は満足そうにして良し、と解放した。解放されてからも、痛みに呻いている子どもたち。

 その様子を少し離れたところで眺めていたタルトたち。いつの間にか合流していたユズやグレンも含めて、その視線は少し引いていた。


「絵面、完全に、誘拐犯」

「おい、嬢ちゃんやめろっつーの」

「通報案件だね、おまわりさんこっちです、的な」

「貴方たちも災難でしたね……」

「お前ら……。はあ、もういい」


 あとは任せたぞ、とロランの肩を叩き、親方は拗ねたようにして距離を置いた。タルトが置いていかれては困る徒でも言うかのように、ぽてぽてと後を追いかける。

 ガキなんか嫌いだ、と呟いた親方の背中を、可哀想な人を見る目で生あたたく見守りながら、ぽんと小さな手で優しく叩いてあげていた。

 ロランは少し困ったように眉を下げながらも、紙片を開いて、子どもたちに向かって見せた。


「ごめん、ちょっと聞きたいんだけど、この手紙の意味、分からないかな?」

「【大きな長靴 踵が破れてジャブジャブびしょ濡れ】?」

「それって地下水路のことかな?」


 こめかみを押さえながらも答えた子どもたちの言葉に、パッとユズの顔が輝く。


「地下水路? それってどこにあるのっ?」

「長靴島の踵の部分にぽっかり口を開けてて、川の水が入ってきてるんだよ」

「踵だから、あの辺だよ」

「おおおおお! グレンさん、グレンさん! これはもう、どんぴしゃじゃないですかっ!」


 そうですね、とおざなりに頷いて、しきりに袖を引っ張ってくるユズの手を振り払う。グレンは腰をかがめて、子どもたちに視線を合わせた。


「申し訳ないのですが、そこまで案内していただけませんか?」

「別に、案内くらいはいいけどさ」

「でも、地下水路には魔物が住み着いてて危険だから、入っちゃダメって父ちゃん言ってたぞ」

「大丈夫! アタシたち冒険者だし、観光客じゃないから! 何の問題ないって!」

(さっきまで観光する気満々だった人の台詞には思えませんね)


 やれやれ、と息をつきながらも、グレンは大きく胸を張るユズの姿に苦笑を浮かべて、ゆっくりと子どもたちの後を追いかけて行った。

 石組みの川岸の下、川面にわずかに沈むようにして地下水路がぽっかりと黒い口を開いていた。地下水路の入口までは、川岸の壁に設置された梯子で降りることができるようだ。

 梯子の手前で子どもたちが止まり、水路を指さした。


「ここが入口だよ、行くなら気を付けてね……」

「大丈夫だって! こう見えても、冒険者だし? なによりアタシ、強いしね!」

「ま、俺に関しては強かった、ってことになるが。まあ、一般人よりは強いから間違いねぇか」


 心配そうに見上げる子どもたちに、元気よく答えるユズと、苦笑しながら頭を雑に撫でる親方。言ってる意味が分からないよ、との苦言の言葉には、多少強めに撫でて黙らせた。

 ふと、どや顔をしていたユズが真面目な顔して子どもたちに聞いた。


「ちなみに、魔物って、大きい? 多い?」

「さあ、わかんねー」

「だって行っちゃダメって言われてるから行ったことないし」

「見たことなんかないよ」

「あ、そりゃそうか」


 そりゃ失礼、と己の頭をこつんと叩いて小さく舌を出しておどけたユズに、本当に気を付けてね、と念押しして、子どもたちは去って行った。

 礼を述べたグレンは、さてと水路を見下ろす。

 ごうごうと流れている水路は、暗闇の中へと消えていく。梯子を下りた先には足場があるようだが、中の様子は暗くて見えない。

 下りれば多少の暗さは気にならないだろう、と思ったものの、ふと己以外の者は皆種族が異なることに気付く。


「私は、暗闇はそこまで苦には思わないのですが、苦手な方はいらっしゃいますか?」

「暗いの怖いって? やだなー、グレンさん子どもじゃないから」

「俺は問題ないが、嬢ちゃんと坊ちゃんは暗視がないから、厳しいだろうな」

「え、何。暗視って」


 茶化そうとしたユズは、親方が真面目に返した言葉に驚いたように目を丸くした。

 何を当然のことを聞いているんだろう? とタルトは不思議に思ったが、口には出さなかった。


「ドワーフとエルフは、暗闇の中でも問題なく見える目を持ってるんだ。あとは、シーンの加護を受けてる神官とかシャドウとかか」

「へえ、便利なんだねー。いいなー、明かりなくても全然問題ないの羨ましい」


 そんな会話を交わした後、四人は集まってその後の流れを話し合った。互いのスキルを擦り合わせ、得意なこと、苦手なことを補い伸ばせるような隊列を考える。魔物がいるとなれば、万が一のことを考えておいてもいいはずだ。

 ふと、親方は真面目な顔で話し合いに参加するロランを真正面から見つめた。


「おい、坊ちゃん」

「うん、何?」

「お前さんも、行くんだよな?」

「当たり前だよ! だって、これは僕の宝探しだから、ボクが行かないと意味がないんだ」

「まあ、そういうと思ってたが」


 ここで終わる、なんて。そんな単純そうな宝探しじゃなさそうだけど。

 じっとロランを見つめながら内心そんなことを考えていたタルトだったが、やがて小さく首を振って思考を散らした。

 やがて結論に至った彼らの隊列は決まった。

 暗視持ちの親方にタルトが肩車で乗って先導する形で、後ろにグレンとロラン。殿にユズが進む形に決まった。危機感値能力はドンよりもタルトの方が高いのと、水に濡れたくない頑なな主張による陣形である。


「ええー! アタシが一番最後なのー!?」

「文句を言わないで下さい。それに殿は、一番大切な役なのですから」

「むう」

「バックアタックが怖いってのと、逃げ道塞がれたら元も子もないだろ? 先頭と同じくらいに重要な役目だからな」

「そ、そういうことなら、仕方ないなぁ。最後の役目、務めさせていただきまーす!」


 と、些細な問題もあったのだが、あっさりと解決した。

 先頭を進む予定の親方が、ゆっくりと梯子を下りて続くタルトを肩に乗せる。グレン、ロランと続き、ユズが数段足を踏み外したことを除けば問題なく皆が水路へと足を踏み入れるのだった。


親方:おっさんは許す。だが、ちっちゃいは許さん!

   言ったがきを捕まえる!!捕まえたい!

GM:ほう?

  敏捷度勝負するか? 子供は平目なのに?

タルト:大人げない

親方:なんとでも言え!

   大丈夫だ、このGM、こういう事には時間を掛けない

GM:まあ、否定しませんが。

  そうですね、2D6+敏捷度のみでお願いします

親方:まかせ…職業ボーナスないと。1なんだが


親方:2D6+1 冒険者:敏捷 → 10[5,5]+1 → 11


子ども:2d6 → 3[2,1] → 3


GM:出目ェ…

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