死
「何言ってるか、分かんないよ てか、君名前は?」
私が男の子に名前を聞くと
「田山 弘人」
「たやま...ひろと?」
「そうだよ、俺が教えたんだから 勿論君も教えるよね?」
そう言われ、何となく口ごもる。
「山崎 彩」
「やまさき あやちゃんかよろしく」
同じクラスメイトなのに嫌な雰囲気がある。
弘人はニコニコして手を出したけど、私には不気味で仕方なかった。
「で?さっきの赤い霊って?」
「だから、君の後ろについてる霊の事」
「私には、1人しかついてないよ」
「やっぱり、見えてるんだ けど、その霊祓った方がいいよ 君の家族の霊?が怖がってる」
「私には、そんな霊ついてない!!!」
大きな声を出し、ドアを開けて教室から出る。
弘人は追いかけては来なかった。
そう、私には家族の霊とは違い、赤い女の人がついている。
その人は私が中学の時、私は書道の部活をやっていて道具を片付けている時、水道のガラス越しに赤いワンピースを着た、髪の長い女の霊が後ろに立っていた。
私は慌てて後ろを見たのだがその人は居なくなっていた。でも、私には何となく分かった。
この人は私に取り憑いたのだと...
その赤い幽霊が近くにいるのは何となく分かった。当時苛められていた私には話し相手として都合が良かった。
しかし、イジメがエスカレートし始めた頃私は耐えきれなくなりその女の人に頼んだのだ
20歳になったら、死なせて欲しいと...
その時、頭の中に俯いている女の人の顔が見えた。
その女の人は少し微笑むと頷いた。
当時の私は、とても嬉しかったのだ 早く死ねると
けれど、私はどんどん歳が近くなっていくうちに怖くなりだした。
私は20歳になったら死ぬのだと実感し始めたのだった。