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ピアノとフォルテの日々 街の様子

カーン、カーン、カーン


どこかの建造物の工事の音がします。

一匹の灰色の小型の竜(中型のぬいぐるみサイズ)はスモッグに覆われた街の中を飛行します。

人を避けて、時には吠えるお散歩中の犬に吠えられながら、お買い物袋を口にくわえて。

スイスイと人込みを飛び回りながら小さなドラゴンは街中を観察します。


『しっかし、変わった街だ、いや変わった国か?』


ドラゴンはかつて覗き見てきた人間の文明を反芻しながら評価します。

街中を覆うのは濃い霧と人体に無害な工場排出のスモッグ(実際吸って検査済)

街中に立ち並ぶのは西暦2000年くらいに見られた高層ビルのようなモノもあれば、バルブが外部に血管のように通された古めかしくも、科学的な、いや化学的?な建物もある。

街中を歩く人々を観察してみよう。

右のスーツを着た男は白色にスマートなフォルムの、まるで元の腕と同じような機械義手を付けて、腕時計から浮かび上がる立体映像に仕切りにビジネスの話をしている。

左の男は両手に自身の足元まで届く、筋骨隆々な煤汚れだらけの機械義手を付けている。あんなものつけていたら背骨の負担も半端じゃないだろうと思ってよく見てみると、背骨にも幾つか蒸気の噴出する穴が開いており、そこから熱やら燃料を燃焼した後に噴出するガスを排出しているのがわかる。


『・・・・まるで昔の人間どもが創作していたSFってジャンルのサイバーパンクとスチームパンクを混ぜ合わせたような風景だ・・・』


そんなことを呟きますが、彼の言葉の意味を理解できる人はその場に誰もいませんでした。

竜言語は大変難しい上に、竜の知人がいて習得する必要がある人間はこの街には彼女しかいないからです。


『たしか・・・・・貧富の差だったか?富める者は科学者たちの最新鋭の電子技術を使用して、貧しい者達は富める者に見下されるのを恐れて、下町の錬金術師や工場の職人たちの力を借りて、富める者達とは全く別の技術を大成した・・・だったか?』


小さなドラゴンはパイプが一杯ついて、歯車むき出しの時計が付いた噴水公園を横切ります。


「あーふぉるてだー!!」「チビどらだー!!」「かわいー!!」

ガゥ!!(訳『寄ってくんじゃねぇクソガキども!!』)

「「「かわいー!!」」」


小さなドラゴンは若干頭が痛くなりましたが、ほんの少し飛行速度を速めて公園をすりぬけました。

彼らに捕まったら夕方の六時までイジられっぱなしでピアノに帰ってきてから睨まれるからです。

彼はピアノのその恨めし気な顔が見てて酷く疲れるので嫌いでした。


『えーと、たしか、このあたりだな・・・・』


小さなドラゴンは少し慣れてきたこの街の地理を頭の中で反芻し、ようやく目的地のお店を見つけます。

そのお店の前にはラフな格好をした褐色肌と髪を編み込んだ、妙齢の女性が一人立っていました。

右手には何か紙袋のようなモノを持っているようです。


「おー、よーやく来たな、チビ助ー!!」

『む?ようやく?』


小さなドラゴンはチラッとこの街のどこからでも、例え霧やスモッグに遮られようとなぜか確認できる大きな時計台の文字盤を確認します。


『・・・・まだ一時間前だが』

「おっそいよー、電話したら一瞬で来い、一瞬で!!」

『・・・無茶言うな・・・いや実際に一瞬でテメェんちの来てやろうか?多分クレーター状に綺麗さっぱりなくなるけどなぁ!!』

「あー、もうほらほら、怒るな怒るな、全く、チビ助のくせに態度だけはデカいんだから」

『クッソ!!あいつさえいりゃあ通訳してくれるのにぃ!!』


などと叫んでも普通の人にはガウーッ、だとかグアーッ、程度にしか聞こえません。

竜言語は難しいのです。

しばらく女性は小さなドラゴンをイジって遊ぶと、右手の紙袋をひょいっと小さなドラゴンの顔の前に出しました。


「ほらっ、頼まれてたお薬と魔術薬の材料、海鉱石と代官バッタの脚もおまけしといたから」

『さっさと出しやがれこのクソ女!!』


遊ばれすぎて怒りの臨界点スレスレの小さなドラゴンは乱暴に受け取るとそのまま帰ろうとします。

そこに、


「こらー、チビ助ー、誰も料金までサービスしてねーぞ?」

『あ、そうだったそうだった・・・』


やはり慣れないと小さなドラゴンは思います。

小さなドラゴンはクル、っとUターンすると買い物かごに紙袋を丁寧に入れて、ヤケにリアルな蛙型のお財布を取り出します。


「マズロ銀貨3枚、コルナー銅貨、もしくはアルグナステン貨10枚で勘弁したげるよ、にひひ」

『・・・・前はなんとか金貨二枚だったはずだが・・・ってクソ、マズロ?コルナー?アルグナ?いったい何種類の貨幣あるんだよこの時代は!!』

「はっは、やっぱ二千年ぶりの世界には悪戦苦闘中みたいだねぇー、百色(ひゃくいろ)の竜さんは、あはは」


そういうと妙齢の女性はガシャガシャ財布の中身をかき回してた小さなドラゴンから財布を受け取ると、手早く十三枚の硬貨を取り出して手のひらの上に載せました。


「こっちがマズロ銀貨、こっちがコルナー銅貨、こっちがアルグナステン貨、お買い上げありがとうございまーす、つ、い、でに」

「前に教えなかったっけ?じゃあもう一度、基本は金貨1枚は銀貨10枚、銀貨1枚は銅貨、ステン貨、鉄貨10枚、その三つの貨幣はアルミ貨10枚分、いろんな偉人や政治家の名前が付くけど、基本はこのくらいの交換比率、あと紙幣もあるけど、基本国の興り廃りが激しいから、信用しないこと、ここまでOK?」


小さなドラゴンは長い尻尾を上に掲げて器用に丸を作りました。


「ははは、チビ助は頭いいね!!はい、ついでにあたしの名前、ちゃんと覚えたかチェック!!」


そういうと今度はメモ帳とペンを差し出しました。

小さなドラゴンは尻尾でペンを器用に掴むとメモ帳にペンを走らせます。


『あー、畜生、頭良いとか褒めるなら、こんな犬みたいな反復学習させるんじゃねぇよ、クソシェリーが!!』


ガリガリと乱雑に文字を書き込むと、これも丁寧に女性に返しました。


「おっ、文字はもう覚えたね、んで・・・・」

〝いつもありがとう、魔導工学義肢屋のクソシェリーさん、昨日娘さんに追い回されたので慰謝料払え〟

「・・・・あー、やっぱ口悪いタイプなのねチビ助は・・・」

『よーやく伝わったか、これに懲りたら・・・』

「あはは、よけい可愛く見えてきたよチビ助めー!!」


ガシッ!!ワシャワシャっとシェリーと呼ばれる女性は小さなドラゴンを抱きしめ、頭を掴んで撫でまわします。

無論この小さなドラゴンは必死に逃げようと抵抗しますが、色んな工具を扱う彼女の力はそれなりにあるようですぐに頭を激しく揺さぶられ抵抗できなくなりました。


「いやーチビ助がピアノちゃんに連れられて来てから、もう一か月かー、長いねー、短いねー」

『・・・・・』


小さなドラゴン、フォルテと呼ばれる、かつての百色の竜は目を回しながらほんの一か月前、このアーカムと呼ばれる地に来る時の記憶を思い起こしました。


******

膨大な閃光と共に、その封印の剣は壊れました。

静かに、静かに。

魔法を放ったピアノはガクッっと崩れ落ちます。


フゥゥゥ・・・・・・。


同時に目の前の、彼女が使い魔の契約をした銀のドラゴン。

かつて、百色の竜と呼ばれ、フォルテと名付けた存在はゆっくりと呼吸をし、全身の四肢と翼に力を限界まで込めると、咆哮を上げました。


『ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』


ピアノが右手しか無いので耳を塞げないと思ったのでとりあえずピアノの方向には翼を広げて音が直接いかないようにしました。

とは言っても、洞窟全体を震撼させる咆哮にどれほどの意味があるかはわかりませんでしたが。

ひとしきり叫び終わると、地面にへたり込んでるピアノを長い尾でぐるぐる巻きにします。

そして洞窟の天井に首を向けると、ゆっくり口を開き、広げた翼に周囲の魔力を集め、その口内と両手にバチバチっと真っ白な、あるいは蒼白な膨大な雷が発生させます。

そして、


雲竜雷豪滅障咆(インドラス・アンセム)!!』


それを放たれました。

放たれたそれは、巨大な荷電粒子砲を両手から投げつけた雷の巨大な矢にぶつけて威力を上げると、音すら生まず、地下数百メートルの岩盤を焼き尽くし、一瞬の後には青空が洞窟の内部から見えていました。


『ふん、これならブレスだけでよかったか・・・』


そして、フォルテはその青空に向かって、バボンッ、っと空気を翼で叩き飛び上がりました。

途中、ようやくゴロゴロッ、っと雷のなる音がしました。


洞窟から出てさらに数百メートルほど上空に昇るとフォルテはピアノに話しかけました。


『くっく、あいピアノ、テメェには感謝する、まさかあの姫の封印を俺の力を使ったとはいえぶっ壊すたぁ、やるじゃねーか!!・・・・って・・・あれ?』

「・・・・・(泡噴いて気絶中)」

『・・・さすがに俺の咆哮とあんな速度で飛行したら気絶するか・・・おい、起きろ、大丈夫か!?』

「・・・・はっ!!?パンプキンパイ大好き!!」

『・・・いや、どんな夢見てたんだよ!!?あーもー、まぁいいや、いいかピアノ?』

「ん?えっと・・・・百色、じゃ無いね、フォルテ、ごめん、勢いで名付けちゃって・・・・」

『いや、わりと嫌いじゃねーよこの名、喜んで頂戴しよう、さて、そんじゃまず恩人、いやご主人様には手に入れた力の凄さってやつをお披露目しようか・・・』


ピッ、っとフォルテが上空から洞窟があったクレーターを指さしながら、ピアノを背に乗せます。


『見えるか?お前と俺が今さっきまでいた洞窟だ・・・・ってよくあんな砂漠超えてきたな!!?一本足で!?・・・あ、落ちるなよ?』

「うん、ごめん落ちそうだから尻尾に捕まらせて・・あんがと、あと砂漠超えは十日かかった・・・」

『・・・たしかあの洞窟って地下数百メートルの大迷宮の先にあるって知ってた?』

「・・・・不眠不休で進んでたから気が付かなかった・・・・」

『・・・なんか歓迎の一言でも言えばよかったな、すまん・・・』

「えへへ・・・」

『えへへって、はぁ、なーんか根性の塊みたいな奴な、お前。まぁ、いいや、おめでとう、お前は見事この俺を口説き落としたんだ、だから』


瞬間、フォルテの全身から肉と骨をかき回すような音が鳴りました。


『・・・・・見せてやるよ、俺様の能力チカラの一端をな、《転星マグナ蒼天神速竜皇グランブルーエデンツァ》・・・・』


バキバキ、っとフォルテの全身が変形します。全身を覆う、銀の鱗は蒼色の鱗に、腕はみるみる縮小し、遂には無くなり、代わりに羽根が巨大化、やがて羽根も翼膜から白い羽毛の生えた翼に変わります、さらに、体つきも以前より細身になり、背の左右から計六つの噴射口のような穴が出現しました。


『これが俺が百色の竜と呼ばれた所以、転星マグナ、つまり変形能力だ、驚いたか?』

「お、落ちるー!」

『・・・そこ、話の腰おらなーい、はぁ・・・・変形したら性能も変わる、俺は、イメージさえ確立すればあらゆるドラゴンの姿に成れる、一度見た他のドラゴンにもな、さっきのは万能形態だったが、今は大気操作や速力特化、どんなことができるかっつーと…すぅー』


フォルテは一気に空気を吸い上げます、細身だった竜の胸だけが風船のように膨れます、それは通常の呼吸とはまるで別次元のものです。

まず、砂漠の砂嵐が一瞬で止みました、クレーター全体の大気が一瞬で奪われたのです。

続けてクレーター全域にクレーター外部から無くなった大気を補うため暴風を伴って大気が押し寄せます。

それがやがて中心の洞窟に凄まじい威力を伴った風の壁となって衝突しようとしてました。


『まずは立つ鳥跡を濁さず、ってな、お掃除してやるよ』


フォルテの羽毛がパキパキと音を立て、刃物のように先鋭化し、硬化します。


嵐竜斬山乱刃咆ヴァーユカルロスト!!!』


フォルテは口腔から極限まで圧縮された大気を吐き出しました、発射と同時にフォルテとピアノの周囲に巨大な竜巻が発生し、その竜巻の中心を球状の暴風の球が凄まじい速度で地面に向かっていきます。

それで終わりではありませんでした。

フォルテは硬化した羽毛を弾丸のように発射し、暴風の塊にぶつけます、そして


キィィィィィィィィ…!!!


シュ………………………ドガガガガガガガガガガガガガッ!!!!


と暴風の塊は羽毛の弾丸で拡散し、それらは一つ一つが山脈を断ち切るほどの威力を持って地面に降り注ぎました、結果。


「…す、すごい…!」

『イッツ、クリーンネス!!ビューティフォー!!』


かつてクレーターだった場所は見るも無残な谷に変わっていました、谷底には溶岩が流れるのが見えており、谷底に向かって砂漠の砂が落ちてゆく様はまるで地獄の風景でした。


『ハッ、忌々しい、元が大草原、次は砂漠、今は地獄、泣けるわ、コンチクショウ!!』

「…好きだったんだよね、草原?」

『……たりめーだろ』

「うん、ところでさ、フォルテ?」

『ん?どしたピアノ嬢ちゃん?』

「…百色って事はもっと色々バリエーションあるんだよね?水操作とか、光操作とか?」

『あるには、あるが、おい見せねーぞ?何度も転星マグナすんの疲れるんだよ』

「…そうじゃなくて、植物操作や植物生成のモード無かったの?フォルテは木竜ウッドドラゴン草竜グリーンドラゴンって中級竜種とか知らない?」

『……あっ……』


どうやら百色の竜、フォルテは結構なおバカさんだったようです。


「……ゴメンね?もっと速く言えばよかった?」

『……そだな、もちっと速ければ大草原復活できたろーが、さすがに下がマグマじゃ…』

「無理」

『だろうなぁ、はぁ…』


おバカなフォルテは溜息を吐きます。


「…とりあえず、日が暮れて来たから、私の家まで送って?」

『…うん』

「落ち込まないで、何年かすればきっと草原復活する」

『うん…』

「…フォルテ?」

『わかったよ、あー、どっちだ、テメーの家はー、言っとくが今はヤル気皆無だからバリ低速で行くぜー…』

「ここから真東…あー、速度特化のカッコイイフォルテが見たいー!」

『ぃよっしゃ!!任しとけ!!』

「わー!フレーフレー!!」


おまけに乗せられやすいのでした。

ボンッ、っと一瞬で大気の壁を破壊するとそのまま音を36倍ほど超えた速度で空を駆け抜けましたが、勢いあまりすぎて別の大陸まで行き過ぎたり、途中、ピアノが酔ってフォルテの背中にビチャビチャとゲロッたり、謎の飛行大陸に迷い込んだおかげで一週間ほど帰路の旅が続き、やっとその日、目的地の上空に到着したのです。


『ぜはー、ぜはー、ぜはー…』

「ぅえ、っぷ!!」

『オイゴラ、吐くなよ?絶対吐くなよ!?もう背中汚されるのも釣られゲロも嫌だぞオレァ!?』

「そ、そんなこと言ったって、ぅぷ、マッハ100で飛ばれたら、無理…」

『耐風圧、耐慣性の薬は持ってるくせになんで酔い止めが無いんだよ!?馬鹿か!?』

「…ここに来るまでに星を5周したフォルテに言われたく無いかな…」

『…サーセン』

「…うん許す、だから吐かせて?ぅぷ!?」

『やめろバカ!?今から降下すっからちょっと待て!!』


などとおバカな二人が上空で口論してる間、下の街では警察や軍が大慌てでした。


その頃の街の小さな交番の中、デスクに一人の女性が座りながら画面に向かい合って書類を作成してます。

背に一本芯の入ったような姿勢の正しさ、年齢は20台前半、女性にしては高めな身長、明るい茶髪を後ろでバレッタ一つで止め、サイドに一束三つ編みにしています。体つきも女優顔負けな胸やヒップを備えてますが、残念なことに女性の全身を覆っているのは黒い軍服であり、下もタイトスカートなどではなく、軍服の黒いズボンと長く黒いブーツのみでした。

そして今まさに、横に置いていたコーヒーをズズッ、っと口の中に含んだ瞬間です。

バンッ、と乱暴にドアが開けられました。


「た、大変です、ど、ど、ドラゴンが街の領空に出現しました!!?」

「ボブッ!!?ゲホッゲホッ、な、なに!?ドラゴンが領空に!?」


その机に座った女性は驚きのあまり、コーヒーを作業中のパソコンの画面にぶちまけてせき込んでいます。

机の先に敬礼したままの同じような黒い軍服を着た少年は肩で息をしており、今まさに全速力で駆け込んで来たという風です。


「ごふっごふっ、き、気管入ったじゃない!た、確かなのか!!?」

「ハッ!!シャーリー警部補、約67分前、ドラゴンはアーカム領空に突如出現し、今現在ゆっくりと下降しております、軍も公式警察も戦争の準備に入っています!!」

「・・・・やめさせろ」

「はっ?」

「竜種はただのモンスターじゃない、人間以上の知性を持つ〝生きた災害〟だ、ましてやこの街の、超斥力バリヤシールドシステムを警報を発生させず破るなんて、ただの竜種じゃない、おそらくシン祖吸血鬼の一族(オリジン・ヴァンプ)、古の巨神人(エンシェント・ジャイアント)に並ぶクラスの竜種、間違いなく竜王(エンペラー・ドラグーン)クラスの怪物だ、公式警察や軍にもたされた兵器じゃ話にならん、下手したらドラゴンの怒りを買って街民皆殺しだよ、街政府も機械神の使用を認めてないのだろう?」

「・・・・現在審議中です」

「だろうな、なにせ、ドラゴンの目的も不明なんだ・・・・どちらにせよ機械神一機くらい発進許可くらい即断で出せボケジジイどもめ、軍や公式警察なんざ出してどうするんだ・・・」

「わ、私に言われましても・・・・」

「・・・・他の民間警察の者には出るなと言っておけ、ウォーカー」

「うぇ!?で、ですが、今動かないと、お、おそらく後で他の民衆に嫌味を・・・」

「嫌味なら、軍も公式警察も後で言われるさ・・・ここからは民間警察のシャーリー警部補ではなく、魔導審問官のシャーリーとして処理します、命令以上、持ち場に戻って、ウォーカー」

「わ、わかりました、き、気を付けてくださいね?シャーリーさん」

「合点了解」


そうして少年警官はパタパタと慌ただしく一礼して出ていきました。


「はぁ・・・・」

「ピアノも帰らないのにドラゴンとは、彼女がいれば交渉できたろうに、ついてないな、シャーリー?」


女性の机の下から目と口をくり抜いたカボチャに長く黒いシルクハットを被せ、長いマントをぶら下げた物体がフワフワと浮き上がりシャーリーにダンディな声で話しかけてきました。


「全くよ、ジャコ・・・あなたはイケそう?」

「残念ながら、ピアノがいねーんじゃ無理だ、ドラゴン相手じゃ魔力が足りん、弾が足りん」

「・・・・じゃあ、私一人で殴ってくるしかないか・・・・」

「だな、が、ここはアーカムだ、誰か勝手にやりそうでもある・・・・」

「ヒーローの登場は待ってられない、私はせっかちだからね」

「そうか、気を付けろよ?」

「ええ」


そういうと女性は机から立ち上がり、交番から出ていきました。

残されたカボチャ頭は、ふと気が付きました。


「・・・・あれ?この空にある魔力・・・・ピアノか!!?」


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