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イフェリア〜深き霧眠れる森〜
三人は精霊の力で空に浮いている。
眼下には陥没した大地があり、朝霧包まれた森が見える。
「陥没した大地の淵に私たちを降ろしてもらえますか?」
「分かりました」
三人を陥没した大地の淵に降すと精霊は力を解いた。そして、精霊は蛍火のようになった。
クレイルは気を失っているフェイとリーシュを木にもたれかけ、精霊にお礼を言った。
「ありがとうございます」
「いえ、それを言うのは私達の方です」
「どうして闇に囚われて」
「それは人の負の影響を受けた精霊が水晶に封じられた龍の骨へと集まり、時を経て闇に侵食され囚われてしまったためです」
『やはり精霊は人の心の影響を受けやすいようですね。光であろうと闇であろうと…』
「貴方はなぜあの時、私の力を?貴方の力なら軽く抜け出せたはず」
「気付きましたか、実は封じられて制限がされているんですよ」
「そうなのですか」
陥没した大地から闇に囚われていた精霊達が開放され無数の蛍火のように空へと舞い上がる。
「私もこれで」
助けてもらった精霊もその中へと入って行った。
そこへフィーとクドルが現れた。
「うわぁ〜綺麗」
「大丈夫だったか?」
「えぇ、まぁリーシュくんの方は気絶して眠っているだけですから。もうそろそろ目覚めるでしょう」
「んっ!いってぇ〜」
リーシュは痛みで跳び起きた。
「思いっきり飛ばされましたからね」
「うぅ…クレイルさん…ここは?」
「さぁ 何処でしょうかねぇ〜」
クレイルは微笑みながら言った。
「えぇぇ〜あっいててて…」
「はいは〜い、ここが何処だか解るよ〜ここはねぇ〜カシュア村の東にあるイフェリアの森だよ」
「ここがイフェリアの…」
「この霧が証拠だてイフェリアの森ってのは決して晴れない深い霧に覆われておるでよ」
「霧が晴れないんじゃどうやって抜けるんっすか」
「大丈夫、ここは霧が浅いからまだ入り口付近だろうで」
「ヂィーー!」
「どうしたの?ココ」
「どうやら早く脱出した方が良さそうですよ」
木の枝が折れる音がした。
「なん音っすか?」
全員、音がした方向を見た。そこには銀色の毛に覆われ、額に角が生えた狼のようなモンスターがいた。
「ガルム!」
「厄介な奴に見つかりましたね、奴らは群れで行動し脚が速く凶暴かつ残忍。そして、人を補食することもあります。ということで消しますか」
「こわっ!さらっと言うっすね」
「ちょっと待って!」
「フィーちゃん!?」
「怪我をしてるぅ」
フィーはそういうとガルムに近づいて行った。
「フィーちゃん危ないっすよ!」
「グルルゥルゥ……」
ガルムは歯を剥き出し唸り、フィーを威嚇している。
「だいじょぶだよ、そんな怖がらなくてもいいんだよ」
フィーはガルムに向かって手を伸ばすとガルムは匂いを嗅ぐ仕草をした。するとガルムは大人しくなり、フィーは怪我をしている脚に持っていたリボンを巻き付けた。
「これでよし」
ガルムは頭をフィーに擦り寄った。
「どこが凶暴なんっすか」
「そのはずなのですが…」
「フィーはものごころ付く頃から不思議とモンスターに好かれてるでよ」
「だからといって全てのモンスターがそうとは限りません。ここは早く森を出ましょう。レイナさんの事もありますし」
「でもこの霧でどう出るっすか?」
「この子に案内して貰おうよぉ〜」
「だいじょぶなんっすか」
「聞いてみるぅ」
『聞いてみるって!?』
「ここの森から出たいんだけど外まで案内してくれないかなぁ〜?」
フィーの言葉にこっちと言わんばかりに服を数回引っ張った。
「案内してくれるみたい〜」
「では、ついていってみますか」
クレイルは気を失っているフェイを担いだ。
「そうっすね」
四人はガルムの後をついて霧の中を歩き始めた。
イフェリア〜白き霧が掛かる森〜
レイナは霧に覆われた森を歩いていた。
「霧が深くなるばかりで何時になったらフェイ達の元へ」
「もう着きますよ」
声の主はそういいながらレイナの口を布で塞いだ。
「なっ!にを…す……」
いきなり口を塞がれ、レイナは抵抗したがもがくうちに意識が遠くなり気絶した。
「後はあいつらが…」
声の主はレイナを抱え、深い霧の中へと消えていった……。




