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Shining Heart  作者: 201Z
66/71

14ー5


〜黄昏の方舟〜


「皆さん、力を貸して下さい」


「改まってどうっ……」


リーシュとレイナは変化したフェイの姿を見て驚いた。


「…その…」


「その姿、どうしたの?」


「今は説明している暇はありません、貴方達四人でノア・クロニクルの表層を覆っている輪廻を排除して下さい。私は真光の鍵エレメンタルブレードに力を注ぎ、ノア・クロニクルを討ちます」


四人は納得する間もなく、ノア・クロニクルの覆っている輪廻が動き出した。


輪廻の中央に麗しい女性が中から上半身だけ浮き出るように現れて美声を響かせた。


「耳を塞げ!」


リーシュとレイナはアヴァロンがいう通りに耳を塞ぐとアルティミウスは現れた麗しい女性に素早く近付き、喉元を何かで切り裂いた。


麗しい女性はのけ反るように倒れ、そのまま輪廻に沈み込んだ。


リーシュとレイナは塞いだ耳から手を下ろした。


「何なんっすか」


「セイレーンの歌声、滅びの序曲にはお似合いね、次は何が来るのかしら」


アルティミウスが不謹慎でありながらも少し笑みを見せているとレイナが皆に向かって言う。


「次が来ます」


輪廻から右半分に出ている三つ又の(ケリュケイオン)が別種の鳴き声を同時にあげた。

すると赤い月の瞳と逆立つような鱗を持つ白い大蛇が現れた。


「次はバジリスクか…有名処が次々と対処がわかりやすい」


アヴァロンは術式を唱えた。


「白刃の霧よ、彼者を取り巻け…ミラーブレイク」


バジリスクの頭上に鏡が現れ、粉々に砕けた。


「これならばバジリスクの瞳の効果を無効化できる」


バジリスクは鏡の粒子を振り払おうと鱗を震わせた。


「さあ、その矢で瞳を狙って」


アルティミウスはリーシュに向かって言った。


「えっ、あっ分かったっす」


リーシュはボーガンを構え、バジリスクの両の眼に狙いを定め、矢を連続で放った。


放たれた矢はバジリスクの瞳を掠めるように抜け、瞳を切り裂くとバジリスクは叫び声をあげてのたうちまわる。


それを余所にケリュケイオンがまた鳴き声をあげる。すると周囲に土埃が発生し、フェイ達を覆い隠した。


「ケリュケイオンをまずは何とかしなければいけない」


「それなら私にまかせて」


レイナはそう言うと呪文を唱える。


「蒼弓より出し、水の息吹よ、我が前に立ち開かる全ての者を斥けよ…」


レイナの身体から水球のような光が溢れ、杖へと集まっていく。


「…ブルーミスト」


そして、杖からやらかな蒼い光が広がり、土埃を徐々に消し去っていくと額に眼のあるバジリスクの姿を現した。


「(…あれはアルバジリスク)見るな!」


アヴァロンが全員に呼び掛けるが間に合わず、リーシュが石へと変わった。


「遅かったか…」


「リーシュ!」


レイナは目を伏せて輪廻に向かって杖を構え、氷結の呪文を唱え始めた。


「深蒼より深き蒼、揺蕩う水の息吹よ、我が前に立ち開かる全ての者を斥けよ…」


そして、唱える毎にレイナの身体から水球のような光が溢れ、杖へと集まると力を発動させる。


「…ラムダ・クリスタル!」


すると杖からケリュケイオンに向かって蒼い閃光が走った。

ケリュケイオンは叫び声をあげると身体は結晶化して脆くも崩れ去った。


召喚したケリュケイオンが消えたことにより、アルバジリスクは石へと変わった。


今度は輪廻の左半分から出ている大きな鬼の顔が動き出した。

鬼は輪廻の表面でうごめく複数の怪物を取り込み、身体を作り上げると輪廻から離れてフェイ達の前に立ちはだかった。


「ようやく俺様、デュナス様の出番か」


「お喋りなグリムデーモンが出て来たものだな」


「久し振りの対面になるか、アイズ・オブ・ダークネス」


「死葬のデュナスだったか?」


「お前を倒すために滅びゆく者達の力を借りて戻って来た」


「知り合い?」


「昔の友…いや、ただの死念の塊だ…」


「そう…でもあのグリムデーモンで最後のようね」


ノア・クロニクルが纏う輪廻が少なくなっていた。


「あれは私が相手する、貴方はそこの者と石化の解呪を施すといい」


アヴァロンはアルティミウスに向かって言った。


「分かりましたわ」


アルティミウスは石化したリーシュを見た。


「リーシュ…どうしたら元に」


「レイナ、力を貸すわ」


「お願いします」


「始めよう…」


デュナスがそう言うとデュナスの身体は見る見るうちに縮んでいき、身体はアヴァロンと同じくらいの大きさへとなった。


「そうだな…」


アヴァロンは虚空の瞳を開いた。


「鳴懴剣」


デュナスは天に向けて右手を挙げるとデュナスの右手に身の丈の何十倍もある巨大な剣が現れた。


デュナスは鳴懴剣を握りしめるとアヴァロンに向けて振り下ろした。


アヴァロンは振り下ろされた鳴懴剣に対して掌に黒い弾球を作り放った。


黒い弾球は鳴懴剣の刃に当たると一旦、膨張した後、すぐに収縮して触れた物質を全て消し去った。


すると鳴懴剣の巨大な切っ先はフェイの背後に突き刺さった。


「少しは静かにやってはくれないか、力を籠めるのに気が散る」


フェイは白く淡い光を放つエレメンタルブレードを握りながら言った。


「それは済まなかったな」


「そいつでノア・クロニクルを破壊するつもりか…」


デュナスは輪廻に左手を翳すと輪廻が収縮しながらデュナスの左手に近付いていき、掌へと吸収された。


「これで何をしようとも無駄だ」


「器ごとノア・クロニクルを破壊すればいいだけのこと」


「出来るものならやってみるがいい」


「ならばその身で受けろ」


フェイは飛び上がりエレメンタルブレードを頭上に振り上げた。するとエレメンタルブレードの刃の周囲に光の粒が現れて刃へと集まっていく。


「白閃一光」


エレメンタルブレードの刃が白金のように輝く。

フェイは落下する勢いのまま、デュナスに向けてエレメンタルブレードを振り下ろした。


振り下ろされた刃はデュナスの頭上で止まり、衝撃波が広がった。


「通らない!?」


フェイは力を籠めて刃を押し込めた。だが、エレメンタルブレードから亀裂が入るような音が聞こえた。


「なんだ今の…」


突然、エレメンタルブレードから白金の輝きが消え、刃がバラバラに砕けた。


「なぜ…」


「古びた鍵で葬ることなど無理なのだよ」


デュナスはフェイの頭を掴み、アヴァロンの方に向けて投げ飛ばした。


投げ飛ばされたフェイはアヴァロンとぶつかり、二人は地面に身体を打ち付けながら転がっていく。


「さあ、次はお前達だ」


デュナスはレイナ、アルティミウスを見て言った。そして、その傍らには石化の解けたリーシュが横たわっていた。


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