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Shining Heart  作者: 201Z
51/71

11−4


〜???〜


「ここは…」


「何ボーっとしてるっすか」


リーシュはフェイを押し退けた。そこへ黒い光弾が飛んで来た。


「大丈夫?」


レイナはフェイに駆け寄り怪我がないか看た。


「あぁ…うん」


フェイは二人の方を見ると大分、疲弊している。


「強いっすね…」


「さすがはヴァルキリア…」


「そうか、俺はヴァルキリア戦って」


フェイは漆黒の鎧甲と剣を着た人物の方を見た。


「レイナ、オーブを」


「もうそれしかなさそうね」


レイナはリーシュに蒼弓のオーブを渡した。


リーシュは地面に落ちている暁のオーブが埋め込まれたエレメンタルブレードを拾い、疾風のオーブを暁のオーブの隣に嵌め、蒼弓のオーブをその隣に嵌め込んだ。


「リーシュ!」


「受け取れ!フェイ」


リーシュはフェイに向かってエレメンタルブレードを投げた。フェイはその柄を掴むと刃が光り輝き、すぐさまヴァルキリアに立ち向かった。

ヴァルキリアも漆黒の剣を構え、フェイに向かって行くと二人が一刀のもとに擦れ違う…。


ヴァルキリアの鎧の脇腹辺りに亀裂が入り、砕け黒血が吹き出た。


「やった!あのビクともしなかった鎧を敗ったっす」


「いや…」


オーブの全てに亀裂が入り、エレメンタルブレードが一気に砕け散った。


「フェイ!」


フェイは膝から力が抜けるように崩れ落ち地面に伏せる。二人はすぐさまフェイに駆け寄った。




冥界〜星降りの湖〜


「起きてフェイ」


レイナの声にフェイは瞼を開けると枯れた大樹とその大樹の枝の隙間から見える夜空に光る星があった。起き上がり周りを見ると周囲を囲む湖の波一つない水面に星が写っている。


「ここが異世界?」


「私もさっき目が覚めたばかりだからよくわからないけどたぶん…」


「確かにここは冥界じゃ」


「冥界特有の力が満ちているわ」


辺りには細かな光が瞬いている。


「だが此処は異常なくらいだな」


「これでは向こうの世界に影響を及ぼしているのも納得がいくわね」


「どうにか出来ないの?」


「単純な事、元凶を何とかすればいいだけじゃ」


「それくらいは分かるよ」


「仕方がないの、オーブを外してエレメンタルブレードの窪みに嵌めるんじゃ」


「でも、これって外れないじゃ?」


「今のお前なら外せる」


フェイは試しにやってみると思いの外、簡単に外れて驚く。


「あっ!」


「レイナのオーブも渡してくれんか?」


レイナはグレネリスの言われた通りに首から掛かる首飾りからオーブだけを外してフェイに渡した。


フェイはそれと自分のオーブをエレメンタルブレードの窪みに嵌めた。すると刃がほのかに輝き始め、満ちていた力が刃に吸い込まれていく。


湖を囲む森の茂みから何かが蠢く音が聞こえてきた。


「なに?」


レイナは森の暗闇に目を凝らす。


「元凶が出て来たか」


蠢く音が止み、黒紫色の霧が森から出てきて二人がいる枯れた大樹がある浮島を取り囲む。するとその霧は不気味な獣の姿へと成り、島に足を踏み入れる。


その獣の身体の一部にはひび割れた髑髏の仮面を身に着けていた。


「アーデルリンガー、やはり此処は愚者の森の深部か」


アーデルリンガーは鋭く尖った爪でレイナに襲い掛かかる。


突然、レイナの様子が変わり、片手を襲い掛かってきたアーデルリンガーの方に突き出した。


「法錬結守」


レイナがそう呟くとアーデルリンガーは何かに阻まれて弾き飛ばされた。


「なに?」


レイナは我に返り、何が起きたのか理解出来ず、困惑している。


「今のは…?」


弾き飛ばされたアーデルリンガーは肉体が崩壊し髑髏の仮面だけが残された。


『契約者としての資質の片鱗が目覚めたようね』


『だが、自覚を持つにはもう少し時が必要じゃな』


『そうね』


フェイは遺された髑髏の仮面を拾いあげた。


「不気味な仮面…」


言った後…フェイの瞳が少し翳る。


『…何だろうこの感じ…何か…』


「どうした、フェイ」


「…いや、何でもない」


グレネリスの声にフェイは仮面から視線を上げると瞳から翳りが消えた。


「大丈夫か?」


フェイはレイナに声を掛ける。


「うん…」


「そういえば、さっきのは?」


「わからない…(でも…確かあの時…声が…)」


「そう…か」


「もうオーブを外していいぞ、魔力も影響が出ない程に減った」


「あぁ、分かった」


フェイはグレネリスの言うとおり、オーブをエレメンタルブレードから外して腕輪に戻すと蒼弓のオーブも外してをレイナに差し出す。


「レイナ?」


「…あっうん」


レイナは上の空でフェイに名前を呼ばれたことに気付き、差し出されたオーブを受け取り、首飾りに戻すと誰となく聞いた。


「これからどうするの?此処が何処だか分からないし」


「此処はフーレスト(愚者の森)深くにあるマティオス(星降湖)よ」


ミリアリスが答える。


「じゃあ、さっきのは?」


「この森に住人よ、外界には干渉せず、温厚な者達のはず」


「それならどうして」


「教えてやろうかの、異界の者達よ」


程近い場所から声が聞こえた。


「誰だ」


フェイとレイナは周囲を見回したが誰もいない。


「こっちじゃ」


声は近くにある大樹から聞こえた。二人は大樹をじっと見ていると目、鼻、口が現れ、顔となった。


「儂の名はエンドラ」


二人と大精霊も名前を告げる。


「アーデルリンガー達があの様になったのは絶大な力を持った初代冥王ルナ様の記憶のカケラ、コア・フラグメントの影響じゃ」


「冥王って悪者なの?」


「なんと失礼なことを!初代冥王ルナ様はこの冥界を統一した最初の王じゃ」


エンドラは強く否定した。


「儂等、木の精霊にも何の隔たりもなく接してくれた。若い頃見た、あの麗しい姿はまさに女神じゃったな」


エンドラは昔を思い出しながらしみじみと言った。


「あのどうして、僕等にそんな話を教えてくれるんですか?」


「ん〜お前さん達なら何かやってくれる気がしてな、それにお嬢さんがルナ様に似ていてな」


「私に?」


「雰囲気がな」


「レイナが王様に似てるのか、ん〜」


フェイは想像してみた。


「なんか似合わないな」


「それはどういうことかな」


レイナはフェイの頬を抓る。その表情は笑顔だが目が笑っていない。


「お爺さん、私達に任せて」


レイナはエンドラにそう言うとフェイの頬から手を離し、森の方に向かった。


「待てよ、レイナ」


フェイはすぐさまレイナを追った。


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