2−1
〜廃墟〜
「…まだ不完全だったか。だが、いいデータは採れたな」
ヴァルキリアは肘掛けを使い、頬杖をつきながら言う。
「奴らはいかがいたしますか?」
ユシードは恭しく聞いた。
「暫くは好きにさせておけ、位置は把握できている。今は他二つのオーブの探索だ」
「はい」
ユシードは暗闇へと消えた…
〜フェレストア平野〜
街を出たフェイ達は平野を歩いていた。
「まずはイフェリアの森か」
「そうっすね」
「体の方は大丈夫?フェイ」
「心配はいらんよ、多少の傷ならば立ち所に治癒する」
レイナの言葉にグレネリスが答える。
「へぇ、精霊様ってすごいんだ」
「火というのは世界を司る力の根源ですから」
クレイルはレイナに火の精霊であるグレネリスの説明していると何かに気がついた。
「おや?人がモンスターに襲われてますね」
「襲われてますねじゃないですよ、クレイルさん助けないと」
フェイは剣を構え走り出し他三人も続いて走り出した。
「大丈夫ですか?」
そういいながらフェイはその人とモンスターの間に立ちはだかり剣で切り付けるとモンスターは逃げていった。
「この度は助けて頂いてありがとうございます」
「どうやら無事だったようですね」
「見たところ商人のようっすね」
「えぇ、私ナーガと申しまして世界の珍品、名品を探し周っている商人です。まぁ普通のアイテムも扱っていますがね。これからイフェリアの森の近くのカシュア村に行く途中で」
「それだと方向がいっしょですね。私達はイフェリアの森に行く途中なんですよ」
「よかったらカシュアまで一緒に行きませんか?またモンスターに襲われるかもしれないですから」
「それはご親切にどうもありがとうございます。では、お願いします」
「それでは行きましょうか」
フェイ達は商人を送るため、カシュアに向けて平野を歩き始めた。
時が経ち日が暮れ始めフェイ達は野営することにした。
「日も落ちてきたしここらで野宿しよう」
「そうですね」
「早速、準備っす、レイナ」
「うん」
準備を終えて日が沈み、みんなが眠りにつきクレイルがひとり起きて見張りをしているとグレネリスが話しかけてきた。
「眠りから目覚めておったのじゃな、賢者クレイル」
「えぇ少し前に。それと賢者はよしてください、もう過去の話ですから。それでこの度の契約者はどうですか?」
「まだまだじゃが、エレメンタルブレードを扱える心の強さを秘めておる」
「そうですか」
「気になるのが奴らの動きじゃな 帝王の力が強まりつつある。それに霊獣との融合」
「霊獣との融合ですか…どうやらまだ不完全のようでしたが」
「あぁ 完成すれば恐ろしいほどの力を生むじゃろう」
話をしているとフェイは目を覚ましグレネリスに話しかけてきた。
「グレネリス…ふわぁぁ…何話してるんだ?」
「ただの世間話じゃ」
「そうなんだ、クレイルさん僕が見張りの交代しますからゆっくり休んでいてください」
「では、休ませて頂こう!じゃあ、頼んだよ〜見張り」
クレイルはフェイに任せて眠り就いた。
「グレネリス、この剣のこと聞いてなかったよね?」
「その剣はな、己の強い心、強い想いに鼓応して力を解放する精霊と同じようにな」
「朱く染まったのは?」
「それは暁のオーブの影響じゃ、元々この石そのものに力がある。そこに大精霊を封じ込めたのじゃ」
「そうなんだぁ、契約の時にいってたけどグレネリスの他にもいるんだよね」
「あぁ、精霊自体はこの世界にたくさん存在するが大精霊は数が限られておる」
「精霊なんておとぎ話でしか聞いたことなかったよ」
「見える者も限られておるからな」
話をしていると日が徐々に昇り始め、みんなを起こした。
「もう朝っすかぁ」
「おはよう」
「皆様、おはようございます」
フェイはなかなか起きないクレイルの身体を揺さぶりながら声をかけた。
「クレイルさん!起きてください!」
「あれっ?もう朝ですか?これは失礼」
みんなはカシュアに向けて準備をし歩き始めた。
歩くうち日は高く昇った。
「カシュアはまだっすか?」
「あと半時ほど歩けば着きますよ」
「見えた、あれじゃない?」
「ホントだ村が見える」
「相変わらずレイナは目がいいっすね」
「まぁねぇ」
レイナは自慢気な笑顔を見せる。
そして、カシュアの村に着いた。
「お送りいただきありがとうございます、皆さまのおかげで無事着くことができました」
「いいんですよ、ちょうど通り道だったので」
「御礼にこれを受け取ってください」
「そんないただけないですよ」
「どうか受け取ってください」
「じゃあ、いただきます」
フェイは断り切れず商人からオートボウガンを貰った 。
「それでは、また会う機会があればどこかで」
商人ナーガは去っていった。
「これ、どう使うだろう」
「自装式の弓矢っすね」
「よくご存知なんですねぇ」
「父ちゃんが武器を卸してるから。フェイ、俺にくれないっすか?戦いで使えると思うんだ」
「うん、わかったよ」
フェイはリーシュにオートボウガンを渡した。
「じゃあ 森に向かおう」
「ちょっと待って、フェイ」
「なに?レイナ」
「何か村の方が騒がしくない?」
「どうしたんでしょうねぇ」
「行ってみよう」
フェイ達は何が起こっているのか気になり、カシュア村へと足を踏み入れるといきなり前からピエロのような仮面を付けた三人組が走って来た。
「どけどけぇ〜」
三人組の一人がフェイとぶつかり仮面が落ちた
「やべぇ!」
「そんなの放っておきなさい!早く行きますわよ!」
「わかってますって!」
仮面を置いたまま走り去っていった。
「一体何なんだ?」
「この仮面は何なのかしら」
「居たぞ〜」
「観念しろ泥棒め!」
フェイ達は村人に取り押さえられ捕まってしまった。
〜カシュア村〜
フェイ達はほの暗く薄明かりの地下牢に入れられていた。
「出してください」
「私たちが何をしたってゆうの?」
「とぼけるでねぇ」
「おめらも盗賊団の仲間だろうが」
「私たちはただぶつかっていった人が落とした仮面を拾っただけで」
「入れ代わりに逃げていった奴らが犯人っす」
「その仮面を付けた奴が家から出てくるとこ見た奴がいるんだ!」
「まぁ 落ち着きなさい」
そう村人達を宥めながら老人が姿を現した。
「村長!」
「若者よ、その者達はどこへ逃げたか分かるか?」
「それはわかりません、ぶつかってすぐ村の人達に来たので僕たちは断じて泥棒はしていません」
「そうか、どうやらこの若者達は犯人ではないようだ。目を見れば分かるこの目は真実をのべておる目だ」
「んじゃ、出してもらえるっすか?」
「すまんがそれは無理じゃ、村の者達はまだ疑っておるからな。このところ盗賊団がよく出て、みな気がたっているのじゃよ」
「では盗賊団を退治してくるってのは?」
「そうじゃのぉ」
村長は少し考え込んだ。
「お前らそんなこと言って逃げるつもりだろ!」
「まぁ落ち着きなさい。では、この者達の中から一人を置いて残りの三人で盗賊団の退治とゆうことでどうじゃ」
村長は村人達に提案する。
「…それならば」
「君達もそれでいいかね?」
「はい」
「今日はもう日が暮れる朝までに退治に行く三人を決めるといい」
村長はフェイ達にそう言い、村人に選ばれた三人を自分の元へ連れてくるように言った。
数時間後…
「フェイくん、どうするんだい?」
「ん〜戦いになるのは確実だし…ここはクレイルさん、リーシュと僕で行こうと思う、レイナはここで待っていて」
「分かったわ…」
「メンバーも決まったことだし早く寝て明日に備えるっす」
「そうですね」
フェイ達は眠りにつきそして…朝。
「お前達!起きろ!」
村人は牢の鍵を開けた。
「退治に行く三人出ろ!」
クレイル、リーシュ、フェイの三人は牢から出た。
「フェイ!気をつけてね!」
「大丈夫だよ、グレネリスもいるんだし」
「ぐずぐずするな早く来い!」
三人は村人に連れられて地下から出て村長の家に到着した。
「連れてきました」
「さて、まずは武器を返えそう」
村人がフェイ達に武器を返す。
「あと盗賊団のねぐらじゃが前に一度さらわれた者がおってなその者から聞いた話じゃとどうやらここから北にあるクラビ洞窟のどこかにあるそうじゃ」
フェイ達は北にあるという盗賊団のアジトのクラビ洞窟へと向った。
〜クラビ洞窟〜
「全く面倒なことに巻き込まれおって」
「グレネリス、まぁそうゆうなって村の人達も困ってる訳だしさ。それにレイナを助けるには盗賊団を退治しないと」
洞窟内はひんやりしていて、奥の方は暗く闇に包まれており、天井にある鍾乳石から水滴が落ちる音が聞こえてくる。
「真っ暗で明かりがないと見えないっすね」
「しょうがない、我が明かりを出してやろう」
腕輪のオーブが朱く光り、オーブの上に火の球が現れて辺りを照らし出した。
「これで先に進めますね」
「なんだか入り組んだ洞窟っすね」
「皆さん、気をつけて下さい!何か来ます」
そこに現れたのは掌に乗るほどの大きさの生き物がだった。
「どうやらシュクリスのようですね」
「なんですか?」
「きわめて温厚な小型のモンスターですよ。でもおかしいですね」
「なにがっすか?」
「シュクリスはこのような場所に棲息するモンスターではないのですが」
「ココ〜どこいったの?ココ〜」
「子供の声?」
シュクリスは声を聞き洞窟の奥へと走って行った。
「行ってみよう」
シュクリスの後を追ってフェイ達も奥へと進んだ。
「あれ?何処に行ったたんだろ?」
ランタンを持った女の子が現れる。
「あ!こんなとこにいた。ココ、勝手に出歩いちゃだめでしょ」
女の子はしゃがみ込み、足元にいるシュクリスに片手を差し伸べる。するとシュクリスは女の子の手を伝い、肩まで駆け上がる。
「君は?」
「おにさんたち誰?」
「僕たちはその…」
「あっ分かったぁ〜入団希望者ですねぇ〜」
フェイ達は小声で話を始めた。
「どうやらこの子は盗賊団と関係があるようです、ここはこの子に話を合わせましょう」
「そうっすね」
「はい」
「あれ〜どうしたんですかぁ〜?」
「いえ、なんでもありませんよ」
「そうそう俺達、入団希望できたんっすよ」
「よかったら案内してもらえるかな」
「は〜い、わかりましたぁ〜」
フェイ達は女の子にアジトまで案内してもらうため入団希望者のフリをして女の子の後をついていく。




