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〜サウザンド号〜船長室〜
「話を聞かせてくれるか?」
「いいですが、何を話したら」
「まずはそのオーブとか言う宝石について」
「それなら本人に聞いた方がいいかも」
「本人に聞く?何を言ってるんだ?」
フェイは腕輪の着けている方の手を差し出した。
「グレネリス」
「なんじゃ」
「石から声が?」
グラハムは喋ることに驚いた。
「グラハムさんがオーブのことについて聞きたいそうなんだけど」
「この石のように力の持つ石に大精霊を封じ込めたものオーブという。だが、多く存在するものではない、大精霊もそれを封じるにたる石もな」
「一体いくつあるんだ?」
「ここにあるフェイが持つ暁のオーブ、レイナの持つ蒼弓のオーブとあと一つじゃ」
「残るは一つか…集めている理由は?」
「闇の帝王の手によって滅びゆく世界を救うためじゃよ」
「世界が滅びる?そんなばかなことが」
「あるんじゃよ、既に数千年前にも滅びかけたのじゃからな」
「うそだろ…」
「事実じゃ、空にある都市を知っているか?」
「大昔、龍が棲んでいたという都市ドラグスネイドだろ?子供でも知ってるおとぎ話に出てくる空中都市だ」
「おとぎ話ではなく、曾て実在した…いや、今も実在するが滅びて誰もいない。そこが滅んだ元凶が闇の帝王ヴァルキリア、当時は魔王と呼ばれていたか…」
「………よし」
グラハムは何かを決めたようだった。
「お前達の力になってやる。それに残りの一つを探すのに脚が必要だろ?」
「それは嬉しいですけどいいですか?危険ですよ」
「世界を救うんだろ?たいしたことはないさ」
部屋の扉が突然、開いて三人組がなだれ込んできた。
「なんだお前達は!?」
「遺跡ではよくやってくれたわね」
「そう、あの後も酷い目にあったぜ」
「そうだる」
「覚悟しなさい!」
「お前達は!…誰だっけ?」
「私達のことを忘れてるなんていい度胸ね、けどもう一度教えてあげる」
三人はポーズを取り、言い始めた。
「この世にまだ見ぬ秘宝が有る限り」
「宝が俺らを呼んでいるぜ」
「……だる」
「だから、だるじゃないわよ!最後は決めるわよ」
「その名はロリック団!」
三人組は声を揃えて言う。
「グレネリス」
グレネリスは軽く炎を三人に浴びせた。
「あち!あち!誰か水」
「水を頼むぜ」
「水ならあるわよ」
次はミリアリスが大量の水を浴びせた。
三人は水圧で壁におもいっきり打ち付けられ目を回している。
「こいつらは一体なんだったんだ」
グラハムは三人組を縄で縛り上げると近くの船員に話しかけた。
「この三人を牢に閉じ込めておけ」
「グレネリス」
「なんじゃ?」
「気になってたんだけど俺が蒼弓のオーブと契約しなくてもよかったのか?だってオーブに封印された精霊は他のオーブに封印された精霊と契約することで元来の力を徐々に取り戻すだよね?」
「それなら心配いらん、オーブ同士の相互干渉でな、レイナが契約したことでわしもミリアリスも元来の力が戻りつつある」
「そうなんだ」
「グレネリスこれからどこに向かえばいいんっすか、最後の一つのオーブはどこにあるかわかんないっすよね」
「あぁ」
「そっちの精霊さんもわかんないっす」
「ミリアリスでいいわよ、私にもわからないわ」
「そうっすか」
「それなら予定通り、ハスリュカに向かうっす」
「一先ずはその方がいいじゃろうな」
「じゃあ、お願いしていいですか」
「まかせな、到着するまで部屋で休むといい」
グラハムはそれぞれを部屋へ案内した。
フェイは部屋に案内されると部屋のベットの上に乾いた自分の服が置かれていた。
「やっとこの服を脱げる」
フェイは早速、自分の服に着替え、ベットの上で大の字になった。




