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Shining Heart  作者: 201Z
29/71

7−3


〜サウザンド号〜船上〜


「いつまでこうしてるっすか!早くしないとフェイとレイナが…」


リーシュは船長のグラハムに詰め寄る。


「そんなことはわかっているだが方法が…」


どうこうしてるうちに水の壁が下がり始めた。


「水がひいていく?」


水の壁が完全に下がり無くなると水柱が上がって来た。


「フェイ!レイナ!」


水柱の上にはフェイとレイナが乗っていた。


「二人共、無事のようだな」


グラハムは安堵する。


「よいしょっと」


フェイとレイナは船に飛び乗った。


「二人共、無事でよかったっす」


リーシュはフェイとレイナに駆け寄った。


「ホントにな、いったいどうやったんだ?」

グラハムは二人に訊いた。


「海の魔物を倒したというか」


「助けたというか」


「それは全くどっちだかわからないわね」


フェイとレイナの要領を得ない言葉にクロノスは言う。


「まぁ魔物はもう現れません、あと二つ目のオーブを見つけました」


リーシュはレイナが掛けている首飾りに目をやった。


「これが二つ目のオーブっすか?」


「オーブ?いったいなんなんだそれは?ただの宝石にしか見えないが」


「オーブは不思議な力を持つ石でそれは俺達の旅の目的の一つです」


「何だか面白そうな話だな詳しく聞きたいがその前に濡れた衣服を何とかしないとな、ついて来な」


グラハムはフェイ達を連れて船内に入っていった。


「じゃあ、私は水浸しになった部屋を片付けますか、ルクトとアースも手伝って下さい」


ラスティン達も船内に入っていった。


「男どもはそっちの部屋だ、中にある服を好きに着てくれて構わない」


フェイとリーシュは扉を開け、中に入った。


「後は私の部屋に」


グラハムは突き当たりにある両開きの扉を開けると中に入った。それに続きレイナとクロノスも部屋の中に入り、扉を閉めた。


「これを着るのか…」


「………」


「何でこんなものがあるんだってもう着てるし!」


「意外に着心地がいいっすよ」


渋々フェイも着るとフェイとリーシュは部屋を出た。そこで奥の部屋から悲鳴が聞こえ、二人は急いで駆け付けてと扉を開ける。


「大丈夫か!?」


そこには着替え中のレイナ達がいた。


「あっ…」


フェイとレイナは共に声を上げる。


レイナの顔がどんどん赤くなり、フェイに向かって拳が飛んできた。フェイはそれを諸に受けて廊下に倒れると扉が閉まった。


「大丈夫っすかぁ〜?フェイ」


「ふぁんろられぇ〜(なんとかね)」


そこにラスティンがやってきた。


「さっき悲鳴はなんだっただい?まさか覗きを?」


「ちがうっすよ!俺達も悲鳴を聞いて駆け付けたけど…タイミングが悪かったっすよ」


「それでそのアザですか」


ラスティンは笑いながら言った。


「笑うなんてひどいですよ」


「すいません」


ラスティンは笑いを堪えながら謝った。


「ついてきなさい治療してあげます、でその服はウケねらいですか?」


「これは…」


フェイとリーシュの服装はクマとカエルの着ぐるみだった。


「冗談ですよ、それグラハムの趣味なんです」


フェイとリーシュはラスティンに付いて医務室に向かった。




グラハムの自室では…


「船鼠くらいで悲鳴をあげるなよ」


「だって…」


「フェイも災難だったなあの一撃は効くだろうな」


「確かにあれはキツイわね」


「あれは事故みたいものでつい手が…」


「後で謝ればきっと大丈夫よ」


「それより二人ともいい乳してるな、ほれ」


グラハムはレイナの後ろから覆いかぶさるように胸を触った。


「ちょっ……」


レイナは触られたのもあるがグラハムの大きな胸が背中に当たり頬を赤らめながら言った。


「まだまだ成長段階で若くて肌もスベスベだな」


「そろそろ放してくれませんか…」


「まだ触ってたいけどしかたがないな」


グラハムは触ることを止め、上は水着のような胸だけ隠れるような服で下はショートパンツに着替え腰に銃とナイフの収まったベルトをした。


レイナとクロノスも着替えを終える。


三人はグラハムの部屋を出て、船長室に向かった。


「いっつ〜レイナの奴、思い切り殴らなくても」


フェイは医務室でラスティンに手当てをしてもらっている。

医務室はルクトとアースの手伝いによって綺麗に片付き壁も塞がっていた。


「彼女も悪気があった理由ではないですから」


「それは分かっています」


ラスティンはフェイの頬に湿布のような物を貼付けた。


「はい、終わりましたよ」


そこへルクトがフェイとリーシュを呼びに来た。


「船長室に来いって案内するからついてきて」


「分かった、ありがとうございました」


ラスティンに礼を言い、フェイとリーシュはルクトの後に付いて医務室を出た。


「アースと一緒じゃないんっすね」


「俺達、いつも一緒にいるわけじゃないよ」


「仲が良いからいつも一緒にいるのかと思ってたっす」


「それはアースはたった一人の家族だから…」


「何を言ってるんだ家族ならたくさん居るじゃないか」


「えっ?」


「この船にいる皆が家族じゃないのか?」


「みんなが…かぞく…うん」


船長室に着き、ルクトは部屋の扉を開けた。


「来たか、面白い服装をしてるなぁ〜」


グラハムはわざとらしく言った。


レイナとクロノスは普通の服装をしている。

レイナは半袖の白いワンピース、クロノスは黒のジャケットに白いブラウス、革のズボンを着ている。


「あの部屋にはこれしかなかったんですよ 明らかにわざとですよね?」


「まぁ、いいじゃないっすか」


「はぁ…(こいつ気にってるな)」


フェイは恨めしい目でリーシュを見たあと俯き、ため息をついた。


「フェイ」


フェイはレイナの呼ぶ声に顔を上げた。


「さっきはごめんね、心配して駆け付けてくれたのに」


「いいんだよ、もう痛みもひいたしな」


「クス…」


レイナは下を俯いて小刻みに身体を震わせる。


「もう大丈夫だからな、心配するなって」


「クスクス…」


「?」


レイナは俯きながら笑いを堪えている。


「ごめんフェイ…だってその格好…」


「レイナ、お前な!ふっ…」


フェイは怒る素振りを見せるが、まあ、この格好じゃしょうがないかと思い、フェイとレイナは一緒に笑う。


周りのリーシュやグラハム、クロノスは微笑ましい光景を見るかのような面持ちをしている。


「二人してどうしたんっすか?」


「いやちょっと…」


「昔も似たようなことがあったなぁって」


「あの時は今とは逆だったけどな」


「もしかしてあの樹に登って実をとった時ことっすか?」


「あぁ」


〜回想〜


「フェイ、あぶないよ」


「だいじょうぶだよ」


フェイはシュパールという林檎に似た実のなる樹に登っている。

フェイは上の方にある一つだけ色の違う実に向かって登っている。


「あと少し…」


レイナは心配そうにフェイを見つめていると足滑らせて樹から落ちた。

フェイは地面へと背中から落ちるとき強い風が吹き、地面との衝突を和らげた。


「フェイ!」


レイナは急いでフェイの元に駆け寄とフェイは苦しむような表情をしている。


「フェイ…どうしよう…」


フェイの苦しむ表情から変化を見せ、こう言った。


「な〜んてね」


フェイは軽々と起き上がった。


「もう!心配したじゃない!」


怒るレイナにフェイは謝る。


「ごめん…」


そこへ、一つだけ色の違うシュパールが落ちてきて謝るフェイの頭に当たる。


それを見てレイナは笑い、笑うレイナ見てフェイも笑った。


二人で笑いあっているところにリーシュがやってきた。


「何二人して笑ってるっすか?」


「いや、なんでもないよ」


「あっ!それ」


リーシュはフェイの手にあるシュパールを見つけ言った。


「よくとれたっすね」


「まぁな」


フェイの答えにレイナはクスッと笑う。


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