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Shining Heart  作者: 201Z
27/71

7−1


〜港町シルス〜


フェイ達は洞窟から出ると眼下に果てしなく広がる海と港町シルスが見えた。


「町へ急ごう」


「私は一足先に行ってるわ」


クロノスの背中に翼が現れ、町へと飛びさりフェイ達も町への山道を下っていく。


「えぇっとケルン診療所はと…在った」


クロノスは診療所の前に降り立つとクロノスは扉を開けて中へ入った。


「すみません、ケルンさんはいらっしゃいますか?」


「わしになにか用かのぉ〜ヒクッ!おぉカワイイねぇちゃんやないか」


酒気を帯びた鼻っ柱の赤い白衣の爺さんがでてきた。


「うぅ……あのこれ」


クロノスは何かをケルンに見せる。


「なんじゃいこれは…ん!」


酔いが冷めたのか表情が変わった。


「ちょい待っとれ」


ケルンは奥へ入って行った。


ケルンが戻って来るのを待っているとクロノスの後ろにある出入口の扉が開いた。


「すいません」


フェイ達が入ってきた。


「その娘かね、話は聞いとるこっち来んさい」


そこへケルンが戻って来てレイナを見て言った。


フェイ達は言われた通りついて行くと奥は診療室になっており、レイナを室内にあったベットに寝かせた。


するとケルンはレイナに急須のような容器で液体の薬を飲ませた。


「もう心配いらん、二、三日もすれば元気になりゃ」


「ほんとですか!?良かったぁ」


みんな、安堵の表情になった。

そんな穏やかな雰囲気の中、リーシュのお腹が鳴った。


「安心して何だかお腹が空いたっす」


「まったくお前は…」


そこでフェイのお腹も鳴った。


「なんだフェイもお腹が空いてるんじゃないっすかぁ〜」


「これはその…」


二人の会話を聞きクロノスが少し笑い言った。


「二人とも食事に行ってきたら?レイナは私が見てるから」


「でも…」


「心配なのはわかるけど看病するにも体力が要るんだから、それに二人もベットに寝込んでたら起きたレイナがびっくりしちゃうでしょ?」


「わかりました。じゃあ、行くっすよ。フェイ」


リーシュはフェイを引っ張り診療所から出て言った。


「さてと聞きたいことがあるんじゃろ?」


「えぇ、貴方は何者なんです?」


「今は町医者をしとるがな、わしは嘗て天上におった」


「追放者!?」


「そんな驚くことはない、わしのような者は沢山おる」


「そんな人達がいるなんて知らなかった」


「知らなくても当然じゃ、わしも地上に来て初めて知ったからな。どうやらこの事は賢者しかしらないらしい」


「賢者しかしらないって追放された賢者もいるんですか?」


「七人目の賢者」


「七人目?賢者は六人のはず七人目がいたなんて聞いたこともない」


「そりゃ、賢者に追放者が出たなど口が裂けても言えんじゃろうて」


「そんな…その賢者がまさか…」


クロノスは手にある先程、ケルンに見せたものを見る。


〜天上界アフロネイロ〜霊廟殿〜


絹のように滑らかな白い衣を纏った名高い天上の六賢者が円卓に一同を会している。


「あの娘で大丈夫なのかね」


枝葉のような髪の男、樹木の賢者ファーレスは言う。


「そうですわね、あの子に血縁を葬ることが出来るとは思えませんわね」


電気を帯びた跳ねた髪、三つ巴紋を瞳に宿した女、雷電の賢者テンペルトは跳ねた髪撫でつけながらファーレスに同調する。


「まぁ、この件はラファエロに一任してある訳ですしそのくらいにしておきませんか?僕はそれよりあの少年達に何故、レイファを付けたのかが気になりますね」


瞳の虹彩の色が希薄な盲目の少年、光明の賢者リネルトは顎に白い髭を蓄えた老翁、時空の賢者ラファエロに視線を向ける。


「少年の一人に興味深いものがついておってな。オルカス、あんたならよう知っておるじゃろ、大精霊グレネリスを」


緋色の髪、炎を象徴とした刺青が顔の左半分に入った男、火炎の賢者オルカスに話を向ける。


「あぁ、あれか。あれが人間に付くとはいつ以来だ?」


「災厄の日の後くらいです」


リネルトが答える。


「そうか…あの忌まわしき日の後か…」


オルカスは低い声でぼそりと言う。


その後、全員が口を閉ざし沈黙が流れる。


そして、一人の賢者が口を開く。


「ドラクマ…」


青みを帯びた地に付く程の長い髪の男、水氷の賢者アビスが呟いた。


「アビス、その名を口にすること不謹慎だぞ」


ファーレスはアビスを叱責する。


「今日、ここまでにしようぜ」


「そうですわね」


六賢者達は解散した。


「ラファエロ、ちょっといいか?」


オルカスはラファエロを引き止めた。


「それでフェルセルクは現れたのか?」


「奴の魔法の気配が少しだけ残っていた、やはり気になるか?」


「こんな事になってもあれは俺の弟子だからな、本当は俺の手でケジメをつけたい所なんだが…」


「あれ無き今、お前が此処を離れるとエレメントのバランスが崩れるからな」


〜霊廟殿〜絶対氷壁〜


氷の壁に文字の羅列が動いている、そこでアビスは独り言を呟いていた。


「…そうか…それで…」


アビスは何かについて調べている


「水氷の名を持つ君が熱心とは面白いことだな、まだ奴の事を調べてるのかね?」


絶対氷壁への入口の縁にもたれ掛かり、呆れたかのように問い掛ける。


「関係ない」


「彼はもう生き絶えている、諦めたまえ」


アビスはファーレスを睨んだ。


「そうだ、君宛だ」


ファーレスは懐から書簡を取り出しアビスに投げ渡すとファーレスは立ち去った。


アビスは受け取った書簡の厳重に掛かっている封を解き、中にあるものを取り出した。

中にはカードが入っていてカードにはこう書かれていた。


親愛なる友へ


失楽の地で待っている


ドラクマ


アビスは急いで絶対氷壁を出た。




〜港町シルス〜街中〜


「さぁ 何食べるっすか?」


二人は通りを歩いていると子供とぶつかった。


「大丈夫か?」


無言で頷き、そのままどこかに走り去った。


「無愛想な子供っすね」


「たぶん人見知りなんだよ」


二人は出店で何か買うことにした。

そして、お金をだそうとしたが何処にも見当たらない。


「あれ?ない!?」


「子供とぶつかったりしなかったかい?」


出店の店主が聞いてきた。


「はい、さっき…」


「それはやられたね」


店主はそういうと店の商品を見繕う。


「お前さん達、この町は初めてだろ?お代はいいからこれもってきな」


店主は揚げた魚をパンで挟んだものをくれた。


二人は店主にお礼を言ってそこを後にした。


「これからどうしよう…レイナが治るまでこの町にいるとしてここからは海越えだよね、グレネリス」


「そうじゃな」


「船代どうしようか?」


「とりあえず、港に行ってみないっすか?」


「そうしてみるか」


二人は港へ向かうとぶつかった子供が倉庫と倉庫の間の路地に入るのが見えた。


「リーシュ、あの子供!」


二人はその路地を覗いた。


「全く旅人はちょろいな、ルクト」


「そうだな、アース」


「さて、手柄の確認、確認」


アースは上機嫌でフェイとリーシュのサイフを開けた。


「二人でたったこれだけかよぉ〜」


「ハズレだったみたいだな、今回も俺の勝ち」


「ちぇっ…」


そのやり取りを見ているフェイとリーシュの後ろに近付く影が…。


「お前ら、アイツらの被害者か?」


後ろから女の声が聞こえた。


「まったく今度はスリで勝負か、懲りない奴らだな」


曲げ短刀を腰に携えた顔立ちの整った女は路地へと入り、ルクトとアースに近付いていった。


「お前達!」


「げっ!逃げろ!」


二人は声の方を見るが見知った顔に踵を返す。


「逃げるなっ」


逃げようとする二人の首根っこを掴んだ。


「さぁ盗ったものをこの子達に返すんだ」


「いぃ〜だ!」


「へぇ〜お前達、俺にそんな口をたたくとはいい度胸だな」


ルクトとアースはビクッと背筋に寒気が走り、二人は素直に盗んだ物出した。


「さてとお前らのサイフを取ってくれ」


フェイとリーシュは自分達のサイフを取り、女は二人を離し残った一つのサイフを取った。


「ありがとう」


「礼ならいい、うちのが迷惑をかけたんだ。詫びをしないとな」


「そんないいですよ、サイフが戻ってきただけ」


「遠慮することないっすよ、フェイ向こうがそう言ってくれてるんっすから」


「そうかな」


「その子が言うように遠慮は無用だ、ついて来てくれ」


顔立ちの整った女は笑顔で答える。


「さぁ、行くぞ」


ルクトとアースに言う。


「俺らもぉ〜!?」


「当たり前だ」


フェイとリーシュは三人の後に着いていくと港に停泊している大きな船に着いた。


「ようこそ、サウザンド号へ!」


フェイとリーシュを船上に案内する。


「紹介がまだだったな、私はこの船の船長グラハムだ。んでっこの悪ガキ二人はルクトとアースだ、あとはっと…」


グラハムは船上を見渡した。


「あいつらまたサボってるな…ルクトとアース、ガイの親父のとこに行って呼んで来い」


ルクトとアースは船内に走って行った。


「さてと詫びだけど何かして欲しいことはあるか?」


「んじゃ、ハスフェット大陸のハスリュカまで乗せてくれないっすか?」


「それは無理だな、最近、ハスリュカの海域で魔物が出て五十隻以上の船が襲われている」


「そうなんですか…」


「だが、バステルまでなら乗せてやるよ、バステルからならハスリュカまで歩きゃあ一日で着ける」


「徒歩で一日っすか」


「それなら何とかいけそうな距離だな お願いできますか?」


「まかせな、んじゃ出航は明朝またここに来な」


「明朝!」


「何か問題が?」


「怪我人がいるっすよ」


「それなら心配ない、優秀な船医がいる。それにこのサウザンド号はそこらの船とは違うからな」


「それなら大丈夫そうっすね」


「そうだな」


「それにしてもあいつら、遅いな」


そこへ船員達が船内から出てきた。


「すいやせん、船長」


「全くお前達はそこに並べ!」


「まぁ落ち着いてグラハム」


清潔そうな衣服に身を包んだ眼鏡の男がグラハムを宥める。


「ラスティン、お前まで…」


「たまにはいいと思いましてね、それでそちらの子たちは?」


「またルクトとアースがな、それで詫びにバステルまで乗せてやることにしたんだ」


「そうなのですか」


ラスティンは二人に近付いて言う。


「私は船医のラスティンです、よろしく」


「よろしくお願いします」


そして、フェイとリーシュは診療所へと戻った。


外はもう夕暮れになっていた。


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