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Shining Heart  作者: 201Z
26/71

6−6


〜???〜


「今回の件どうされますか?博士」


「全ての責任はレーデルにとらせればよかろう、奴は始めからその為の駒に過ぎんがわしらのこと喋られては困るな」


「そのことでしたらお任せをもう手配してあります」


「そうか、手が早いな。それで例の女は?」


「こちらに」


ビーゼルスは白い石で造られた檻の前に案内する。


「お久しぶりですね、冥王セレディナス」


「キルティング、何故?まさか今回の件はお前が」


博士は笑顔で返した。そして、新しく連れてきた女のいる隣の檻へと歩いて行く。


「これが」


「ずっと眠ったままですが」


「お前達の目的はなんだ?テキステル・コアを手に入れることには失敗したようだがな」


「どうしてそのことを?」


ビーゼルスはセレディナスの言葉に驚きの声を上げる。


「さずがはアンチマテリアルの中に封じられても感覚は鋭いようでそれで…目的でしたね」


「そうだ」


「創成の書を知っていますかな?」


博士は淡々と語り始める。


「かつて天空で栄華を誇っていた聖都ドラグスネイドという都市があった。だが一晩にして滅びた。その要因は…創成の書に記載されている創成の光。創成の光は虚無へと誘う大いなる力、世界を消しさるエネルギーを持っているだがそれに必要なのは三種。三神女・三宝玉・生命の息吹。私はそれらを手に入れ、古しえの大樹を復活させる」


「古しえ大樹……まさか生命の樹を!」


博士は口元だけで笑った。




〜廃墟〜


ヴァルキリアの前には黒い騎士が並んでおり、ヴァルキリアはその並びより二歩ほど前に出た黒い騎士と話していた。


「やはり奴か」


「宜しいのですか?このままあのような者を野放しにしておいて」


「奴はあれの真実には近付けん…それに手は打ってある」


「さすがはヴァルキリア様」


「すぐにお前達にも出番があるだろう」


「我等、フルヴァリーナイツ、ヴァルキリア様の為ならいつでも」


黒い騎士達は頭を垂れて敬服する。


〜???〜


「それでその娘に何をしたのかね」


博士はビーゼルスが抱えるアインを示す。


「博士もデュカスの件はご存知でしょう?」


「霊媒融合の事か?」


「えぇ、あれは帝王の闇の力を石に凝縮したものを用いて…失敗した。まぁ失敗した要因はデュカスの自我が強く出てしまっことでしょうが。だが私は霊獣側の自我を強めに引き出すよう改良を加えた。私とて帝王に生み出されし者ですから帝王と同等か…いや、それ以上の闇の力を持っていますからその程度のことは他易い」


ビーゼルスは途中から自分の言動に陶酔していく。


「それでこれからどうなるのかね?」


博士はアインを地面に寝かせているビーゼルスに言う。


「観れば分かりますよ、今に始まりますから」


ビーゼルスは寝かせたアインから離れるとアインの身体を靄のようなものが包み込んでいく。そして、暫くして靄が晴れる。


そこに現れたのは獣の要素と人が掛け合わさった姿でアインの面影は全く無かった。


「君の名は確か…霊獣ベルデ、気分はどうです?」


「悪くないわ」


ベルデは手足を動かして感触を確かめる。


〜王宮ルシファール地下留置場〜


「ここから出せ!私を誰だと思っている!」


牢に容れられたレーデルが声を張り上げ叫んでいる。


「ここではこの指輪の力も期待出来んな…」


そこにレーデルの牢に近付いてくる足音が聞こえてきた。


「やっと誰か来たか 話を聞いてく…」


足音はレーデルの牢の前で止まった。


「誰だお前は!王宮の者ではないな!なにを…やっやめろ!うわぁぁぁ…」


〜冥王宮ルシファール〜


ラズゥールとリベルはバルディの元を訪れていた。


「無事でなによりだ、レルクとクレイルはどうしたんだ?」


「分からん…」


「そうか…」


「それで城崩壊の首謀者が判明したと聞いたが」


「あぁ、首謀者はレーデルだ」


「レーデル卿が」


「でも、どうして城を」


「それはこれから判るだろう」


バルディに着けられていたミスティクが静かに消えた。そこへ衛兵が慌てて入って来た。


「どうした?」


「留置場に拘留中のレーデル卿が殺害されました」


「なんだって!?」


「これで真相は闇の中か…」


ラズゥールは衛兵の報告を聞き呟いた。


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