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Shining Heart  作者: 201Z
24/71

6−4


〜隠し部屋〜


牢獄から転移した四人は薄暗い部屋に着いた。


「ライティング」


部屋の各所に乳白色な石に明かりが灯り、部屋の中を照らし出す。

そこには異様な光景がある殴り書きされた紙が壁中に貼ってあり、色んな法具が置いてある。


「ラズゥールをそこのベットへ」


レルクの示す場所には小綺麗なベッドがあり、リベルとクレイルはラズゥールをベットの上に寝かせる。


リベルは不意に衣服のポケットに何か入ってるのに気が付き、その物を取り出してみた。すると、中から文字の刻まれた四角い箱がでてきた。


「リベル、それを何処で?」


レルクはリベルがポケットから出したものを見るなり訊ねる。


「わかりません、いつの間にかポケットに」


「見せてもらっても宜しいですか?」


リベルはクレイルに文字の刻まれた四角い箱を渡した。


クレイルは箱の全体を隈無く見たが書かれている文字は全く見たことのない文字だった。


「全く何が書かれているかわかりませんね…」


「そういえば此処って何処なんですか?」


「デア城の私の私室です、そこの扉を出ると古書室に繋がる通路がありますよ」


「私、ちょっと城内の様子を見て来ます」


「そうですね、敵が城にもいるかも知れませんしね」


「大丈夫ですか?」


クレイルはリベルの身を案じる。


「私なら大丈夫です、大体の魔法なら使えますから」


リベルは隠し部屋を出た。


「クレイルさん、私にもその箱を見せてもらえませんか?」


クレイルは箱を渡した。


「…………………」


レルクは箱を見回しながら何かを呟いている。


「どうしたんですか?」


クレイルは声を掛けるとレルクは呟き終える。すると箱が輝き出し、部屋中が光に満ち溢れる。


そんな光の中に空中に人影が現れる。


そして、光は次第に収まりと空中に浮かぶ、それが表徴する。


その姿は子狐のような容姿をした少女だった。


「…ルナ……」


眠るように目を閉じ、膝を抱えながら宙に浮かんでいる少女を見つめるレルクの口から言葉が零れ落ちる。


「何をしたんです?」


「あぁ…私はただ箱の文字を読んだだけで」


レルクの問い掛けに一瞬、生返事をするが直ぐにクレイルに意識を向けて答える。


「あの文字を読めたんですか?」


「えぇ…」


疑問気な顔をした。


『でもどうして…私はあの文字と少女の名前を…』


宙に浮かんでいた少女が床へと下りてきたのでクレイルは少女の身体を受け止めた。


『この子は一体…』


そんな時、ラズゥールが目を覚ました。


「何処だここは?」


「良かった目を覚まして。ここは城の地下にある部屋です」


そこへリベルが駆け込んできた。


「大変です、牢獄に居た奴がすぐそこまで来ています」


「何だって!?」


「クレイルさん、障壁魔法は使えますか?」


「えぇ、使えます」


「ではこの部屋の出入口にお願いします」


「分かりました」


「私は入口を別の空間と繋ぐので。リベル!」


「はい」


「君はラズゥールの傍にあとその子を」


クレイルはリベルに少女を渡した。


「この子は?」


クレイルとレルクは答えることなく呪文を唱え始め、先にクレイルの障壁の方は完成し、そこへワグとアインが近付いてくる。


「早く手に入れて帰 イテッ!」


アインは何かにぶつかった。


「なんで…こんな所に壁が!」


ワグはそっと壁に手を触れた。


「ふっ下手な小細工を」


ワグは背中に携えた大刀、デスヴァルクを抜いた。


「アニキ、ちょっと待っ」


「問題ない」


ワグは轟音と共にデスヴァルクで壁を貫き、辺りに砂埃が立ち込める。


「…全くだから待ってって言ったのに全身 埃だらけじゃない」


「それより中だ」


「それよりってちょっとアニキ!」


ワグは先に進み、アインはその後を追う。


〜マテリアル研究所〜


キルティング博士は準備の為に忙しなく動いていると名も無き書物の隙間から光が漏れているのに気付く。


「これは何が起きてる。まさか」


突然、書物が開き中から八つの光が飛び出て何処かへ消えた。


「やはり…」


博士は書物の中を見ると八つ箱が消えていた。


「コアの封印が解けたか…私の…私の研究が………」


博士は力無く机に両手をつき、空になった書物を見つめる。


「いや…まだ終わりではないな」


博士は目を見開くと顔を上げて研究室から出て行った。


〜???〜


「動きだしたようだね」


フェイクを囲むように八つの光が浮いている。


「さぁ、お行き、居るべき場所へ」


八つの光はそれぞれ別の方へ消えた。


「行こうか」


フェイクはその場から霞のようになって消えた。


〜???〜


何処からか一つの光がセレディナスの前に現れた。


「目覚めたようね、これで私を此処に連れてきた連中の思惑通りにはいかないでしょう。行きなさい彼女の元へ」


そして、光は何処かへ消えた。


〜亜空間ソレイド〜


アインとワグは先程までいた場所とは異なる空間に足を踏み入れていた。


「ここはどこ?」


「厄介な所に引き込まれたな」


そこは蒼い空と何処まで行っても砂礫の大地が続く空間。


「でっどこなのよ、アニキ」


「神に造られしソレイドか…」


「どうするの?」


「…」


ワグはいつものように空間を開こうとしたができなかった。


「駄目か、扉は出ないな」


「じゃあ、僕達出れないの!?…あっ」


誰かが此方に歩いてくるのにアインは気付いた。


「こんな所に人がいるの?」


ワグはデスヴァルクを構えた。


「こんな所に誰か来るなんて珍しいわね……」


大鎌を携えた修道女が言う。


「その格好、グリムレイド?」


「何故知っている?」


「教えて上げてもいいけど貴方の力量どれだけの物か試させてもらうわよ」


修道女は笑みを浮かべながら大鎌を軽々と振り回して玩ぶ。


「アイン下がれ」


修道女の玩んでいた大鎌の動きが止まり、ワグの前に瞬く間に現れた。


『速いな…でもこれくらい大丈夫だ』


ワグはデスヴァルクで大鎌を受け止めた。


「全く飽きもしないで 誰にでも勝負をしたがりますね」


「止めなくていいのか?」


「もう少し見てから止めますよ」


顔の上半分を銀の仮面で覆った男と目に傷のある男が離れた所から戦いの様子を眺めている。


「よく止めたわね、でも…」


デスヴァルクで受け止めていた大鎌が重くなる。徐々に大鎌の刃がワグに迫る。


「何処まで耐えれるかしら?」


修道女は愉しそうな笑みを見せながら言う。

ワグは力を逃がすようにデスヴァルクを傾けると大鎌の刃がデスヴァルクの刃に沿うように火花を散らしながら流れ落ち、大鎌の鋒が地面に刺さる。


そして、ワグは後ろへ跳び退くとデスヴァルクと右腕を一体化させた。


「いきなり来て好き勝手に」


デスヴァルクを数回振るうと刃が空を切り、修道女へと飛んでいく。修道女は大鎌を振るい突風を起こし、全ての刃を消し去った。


「そろそろとっておきを見せてあげる」


キースが大鎌の石突きで地面を突くと石突きを中心に魔法陣が広がり、三枚の刃を持つ大鎌の形へと変化した。

そして、修道女は変化した大鎌を振るうと大鎌の刃からは無数の衝撃波が放たれた。


「くっ!こんなもの」


ワグはデスヴァルクを縦に振り下ろした。


「はい、そこまでです」


顔の上半分を銀の仮面で覆った男の言葉と同時に無数の衝撃波を掻き消え、手でデスヴァルクを受け止めていた。


「ちっ」


「さすがはセリウスだな」


「すまないな、仲間が非礼を」


「そうよ、アニキ大丈夫か?」


「あぁ…」


「私達は冥界の住人です」


「冥界か…」


「この場所は神の庭ソレイド、亜空間に存在しどの世界にも属しませんが、ただし、冥界とは繋がりやすいようで」


「それで冥界の住人が何の用よ」


「キルティング博士が御呼びです」


「どうして博士を知ってるのよ」


「我等が父ですから」


そう言うとセリウスは手で空を十字に切った。すると地中から扉が現れ開いた。


「さぁ、どうぞ」


ワグとアインは言われるままに扉へと入った。


〜隠し部屋〜


「上手くソレイドに誘導できたか」


レルクは安堵の表情を浮かべていると少女の元へ一つの光が現れた。


四人は突然、現れた光に驚き、状況の赴くままを見つめる。


現れた光は少女の胸へと入っていき、少女は覚醒する。


「ここは…?」


「冥界、デア城の私の私室です」


「そう…」


「レルク様、この子は何者なんですか?」


「全く検討が…ない…くっ頭が」


レルクは頭を押さえた。


「レルク様!?大丈夫で……」


レルクの周囲の音が遠退いていく。


『お前は私を知っている…』


レルクの頭の中に声が響いた。


『頭の中に何か…』


膨大な力が流れ込んで来た。


「うわぁぁぁぁぁぁ…」


レルクは叫び声を上げ、膨大な魔力が放出されて視界全てが光に消える。


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