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Shining Heart  作者: 201Z
17/71

5−1


フェイ、レイナ、リーシュの三人が部屋から出ると外にはレイがいた。


「お話したいことが…」


「どうしたんですか?」


「フィーに私が母親だとゆうことを黙っていてもらえませんか」


「えっ!?この人がフィーちゃん母親だったんすか!」


「うん、でもどうしてですか?」


リーシュの言葉に頷き、レイに理由を訊ねた。


「折をみて私から話をしたいので」


「わかりました」


「いいんすか?」


「しょうがないよ、親子のことなんだからさ」


「そうだよ、リーシュ」


「うっうん」


リーシュは二人に言われて気圧される。


「じゃあ、フィーちゃんとはお別れなんだね」


「そうなるかな」


そこへフィーがやって来た。


「みんな!」


「フィーちゃん、俺たちは出発するよ」


「だからここでお別れっす」


「えぇ〜お別れなのぉ〜」


フィーは目を潤ませた。


「大丈夫、きっとまた会えるから」


「うん…」


「これからはここにいるレイさんが一緒にいてくれるから」


「わかった」


フィーはフェイ、リーシュ、レイナに手を振り、三人も手を振り返しながら教会を出た。


三人は宿の部屋から荷物を取りに一階に降りて来ていた。


三人が階段を降りてくると裏からカウンターへと老人が出てきた。


「おじいさん、良かった無事だったんすね」


リーシュがカウンターにいる老人に話し掛ける。


「すまなかったな…もう立つのか?」


「うん」


「そうか、宿代はそこにでも置いておいてくれ」


老人はそう言うと後ろを向いて裏へと歩みを進める。


「じゃあ、気を付けてな」


老人は去り際にそう言い残した。


リーシュは無言のまま感慨深く老人を見送る。そんなリーシュを横目にフェイはカウンターに硬貨を数枚置く。


「リーシュ、行くぞ」


フェイはリーシュの肩に軽く手を置いて声を掛けるとリーシュは無言で頷く。そして、レイナ、リーシュと先に宿を出る。


フェイはふと何かを感じ振り返ると裏への出入口の向こうに一つの青白い球が何処かへ消えるのが見えた。


フェイは向き直り、少し俯いた後に顔を上げて宿を出た。


「ここから馬車が出てるんっすよね」


「たぶん、小さかったからあまりよく覚えてないな」


「あそこにいる人に聞いてみよう」


フェイは指で示す方には一人の男が居た。


「ここが馬車乗り場ですよね」


「そうだよ」


「いつ来るかわかりますか?」


「君達、馬車に乗るのかい?」


「はい」


「そうか…残念だが二、三日前から行き来していないだよ。一本しかない山道で崖崩れがあってね」


「そんなぁ〜」


「他に道はないっすか?」


「あるにはあるんだが…」


男はあまり気乗りしないような口調で言う。


「どうしたんですか?」


「山の向こうに繋がる洞窟があるんだが、そこは昔から幽霊が出ると言われていて町の者も誰も近付きしない場所なんだ」


「幽霊っ!?」


リーシュは裏返ったような声をあげる。


「あぁそこを抜ければ港町に簡単に出られるだがな」


「どうする?フェイ」


「そこしか道がないなら行こう」


「ででも幽霊っすよ」


「あれ、リーシュ怖いのかぁ〜?」


「誰がそんなことないっすよよ」


「声が震えてるよ」


「き、気のせいっすよ」


強がるリーシュを見て、レイナとフェイは笑った。


「それでその洞窟の場所はどこなんですか?」


「本当に行くのか?」


「はい」


「何があっても俺は知らんぞ…」


男はそう言うと続けて場所を教える。


「…洞窟は教会の東にある雑木林の中さ、気をつけて行きな」


三人は男に礼を言い、その洞窟に向かった。



叫びの洞窟〜亡霊達の晩餐〜


フェイ達、三人が洞窟の前に着いた。


「来てみるとちょっと不気味だな」


洞窟の入口は人が叫び声をあげたような形をした口を開けている。そこへ冷たい風が三人の背後から洞窟へと吹き抜ける。


三人は背筋をひんやりとした手に撫でられた感覚を感じ、怖気に背筋が凍る。


そして、再び冷たい風が吹き抜ける。今度は先程よりも強く吹き抜けて、三人は洞窟の中へと吸い込まれた。



三人はうっすらとした光の中、目を覚ますと三人の周りを取り囲むように黄色く光る触手のようなものがクネクネと動いていた。


「きゃ…」


フェイは叫び声をあげようとしたレイナの口を押さえた。


「レイナ、静かに」


フェイは口許に人差し指を当てて小声で言った。


フェイの言葉にレイナが頷くとフェイはレイナの口から手を離した。


フェイ達は小声で話し始めた。


「一体なんっすかこれ?」


「奴等はグワール」


グレネリスが答える。


「グワール?」


「そうじゃ。どうやら奴等はこっちには気付いていないようじゃな」


「これで気付いてないって」


「気付いておったら我らはもう生きてはおらぬよ」


黄色く光る触手は洞窟の奥へと消えて行き、暗闇に包まれた。


フェイは一呼吸置くと腕輪に火を点した。


「何やら何かを探していたようだが」


「やっぱり他の道探さないっすか?」


「他に何処があるんだよ。それに戻るにしても此処が何処かもわからない」


三人は洞窟の奥、グワールが消えた方へと足を進めた。


奥はジメジメと湿っていて静寂に包まれているが時偶、鍾乳石から落ちる水滴が水溜まりに落ちて幻想的な音の波紋が洞窟内に反響する。


「何か聞こえる」


反響する音に混ざって声のようなものが聞こえてくる。


「本当だ」


「何処から聞こえるかわかんないっすね」


フェイ達はその声を気にしながらも奥へと進んで行く。すると暫くして少し開けた場所に出た。

その場所の中心には光に照らされた岩が山積みになっていおり、洞窟の天井を見上げると崩れた跡と亀裂から光が筋のように差し込んできている。


「綺麗ね」


差し込む光の中に無数の小さな何かが輝いている。


「なんなんすかね」


「わからないけど今は先へ進もう」


「先って言っても何処にも進めそうな所はないっすよ」


「どうするの?」


「少し調べてみよう」


フェイは崩れ落ちた岩を、リーシュとレイナは周囲の壁を調べ始めた。


「リーシュ、レイナ」


暫くしてフェイは二人を呼ぶ。


「何か発見したっすか?」


「ここを見て」


フェイは崩れ落ちた岩の間を指差した。


「あな?でもなんの」


「この岩を退かしてみれば解るっすよ」


「退かすったてどうやって?」


「それは……」


「なにも考えずに言ったみたいね」


「まぁそこはみんなで考えればいいじゃないっすか」


「しょうがないやるか、グレネリス」


「何をじゃ」


フェイはグレネリスの言葉に拍子抜けした。


「話を聞いてなかったのか?この岩を退かそうって話、だから炎斬で退かそうと」


「そうか、だがあまり強い力を加えるとあの天井が崩落しかねんぞ」


「分かってる、そこは何とか加減してみるよ」


フェイはエレメンタルブレードを構えて集中する。


『ほう、制御することも身に付けつつあるか』


フェイは炎斬を放つ、朱い刃が岩に直撃して辺りに砂埃が立ち込めた。


砂埃が晴れると山積みの岩の一部だけが綺麗になくなっており、地面に小さな穴があらわになっていた。


「岩は無くなったけど何の穴かわからないな」


フェイは穴が何処まで深いかエレメンタルブレードを突き刺してるみるとブレードがスーッと入ってゆき、刀身がスッポリ入った。そして、カチッと音が聞こえた。


「何か音がしたっすね」


地面に刺さるエレメンタルブレードから縦横無尽に広がるように光の線が地面を走った。


「なにが起きてるの?」


「わからない」


洞窟内が振動して壁に次々と亀裂が走っていき、壁ががらがらと崩れて壁のしたから碧い水晶の壁が現れた。


そして、縦横無尽に走った線が壁からエレメンタルブレードの刺さっている所へと収束する。


「すごいっすね〜」


「うん」


「あぁ…」


地面の一部が下がり地下へ続く階段が出来たすると光の中に在った無数に輝く何かが下へと流れ込んでいったがフェイ達は気付いていなかった。


フェイはエレメンタルブレードを抜き三人は地下へ降りて行った。


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