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日が登り、外は明るくなっていた。
部屋の中にはクレイルとフェイ、リーシュ、レイナがいた。
「よかったです、クレイルさん」
「心配かけてすまなかったね」
「そうっすよ」
「皆さんに話さなければいけないことがあります、私のことを…」
「改まってどうしたんです?」
大昔、魔法も一般的に使われた時代、天空に龍の住む聖都エルヒムという所があった。だが、ある日、聖都は地上に堕ち、世界は闇に染まり始めた…。
世界が闇に染まり始めて間もなく、黒き龍が現れて一つの問いを投げ掛ける。
光とは?
心に大切な何かを思う時に感じるキモチ。
……お前にならこれを託すことができるだろう。
黒き龍は三つのオーブを差し出した。
詳しいことは火の精霊に聞くがいい。
黒き龍は大きな翼を羽ばたかせ、彼方へと去っていった。
『この話…いつも見る夢の…でもどうして』
フェイはクレイルの話を聞き、いつも見る夢を思い出して疑問に思う。
「そして、グレネリスと出会いヴァルキリアのことを聞き、精霊とオーブ力で封印はできた。だが何者かに封印の地からオーブが持ち出され、現在ヴァルキリアは復活し、徐々に力を戻しつつあります」
「クレイルさんも契約者だったんですか!?」
「えぇ私も契約者でしたが私はヴァルキリアを封印した後、世界を監視するためフェイくんが闘った者と同じ世界の冥界にいるセレディナスと制約を交わし、私の持つ力と引き換えに何千年も生きる賢者と言われる存在になりました」
「賢者って」
「ずっと本の中だけの話だと思っていたけど」
「ホントにいたんっすね…」
「冥界のセレディナスっ何者なんですか?」
「セレディナスは罪人の住む冥界を納めていて、その住人がこちらの世界に干渉しないようにしている人物」
「なら、どうして町の人達とみんなを」
「もしかするとセレディナスの身に何か起きたのかもしれません………ここからは私は別行動で冥界に渡ろうと思います」
「冥界って死者の世界っすよね」
「どうやって」
「一度、渡っていますから大丈夫ですよ」
「でも、一人で」
「これでも君達より長く生きているんですよ」
「そっちはまかせて心配ないだろう。フェイ、こっちは一刻も早くオーブを全て集めることだ」
「うん」
フェイ、リーシュ、レイナの三人は部屋から出た。
「丁度いい機会だったかもしれませんね……」
クレイルは片手を見て言う。
見つめるその手は反対がうっすらと透けて見えていた。