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Shining Heart  作者: 201Z
14/71

4−2


ストレイヤ山脈〜麓町ゼルゼ〜


リーシュは一階へ降りるとカウンターにいた宿屋の主人である老人が入口のドアの横で外を伺いながら銃を構えていた。


「表はどんな様子っすか」


リーシュはその老人に近付いて聞いた。


「ガルムでいっぱいじゃよ」


「そうっすか」


「さっきは無愛想な態度をとってすまんかったの。先だって来たガルムに息子が襲われてな意気消沈しておったのじゃ」


「いいんっすよ。そんなことがあったんじゃ誰だってそうなるっす」


話しているとガラスの割れる音がした。


「きゃ〜」


「レイナとフィーちゃんの声!」


急いで部屋に向かい扉を開けるとガルムが窓を壊して入ってきていた。

リーシュはボーガンでガルムに矢を放ち、ガルムは倒す。


「大丈夫っすか?二人とも」


「うん」


「大丈夫だよ」


倒れたガルムから青白い球が浮き現れる。


そして、青白い球は何かに導かれるように壊れた窓から出ていきガルムは煙りとなり霧散する。


「今のは一体なんっすか!」


「多分、魂だと思う」


「魂…今のが」


「でもどうして体が消えたんだろう」


「怪我はなかったかね」


「無事っすよ」


「これでは中も安全ではないようじゃな」


「どこか安全な所はないっすか」


「恐らく教会なら…ここらで堅牢で神聖な建物じゃからな」


「ガルムがうろついている中どうやって教会まで」


「大丈夫!俺が守りながら行くっすよ」


「でも町の人達はどうするの?」


「それなら心配ないほとんどの者は奴らが来る少し前に教会に避難した」


「おじいさんはどうして残ったの?」


「それはあんた等がいたからな、それに…いや、何でもないでは教会に向かうか」


老人は外を伺いながら扉の取っ手に手を掛ける。


「さあ、いくっす」


四人は宿から出ると数匹のガルムの視線が四人を捉える。


「いきなりまずいっすね。教会まで走るっす」


四人は教会へと走る。

リーシュはボーガンで老人は銃を撃ち、ガルムを牽制しながら走るが前からもガルムが現れ、飛び掛かって来た。


「挟み撃ちっすか…」


リーシュはボーガンを構えたが横から銀毛のガルムが飛び掛かり、リーシュ達に飛び掛かるガルムに体当たりをする。


「仲間割れっすか?」


「うん、わかった。ありがとうね」


フィーは銀毛のガルムの言葉を読み取る。


「今のうちに行こ」


フィーはレイナの手を掴んで銀毛のガルムと一緒に教会へ駆けていき、リーシュと老人も後へ続いた。


「ここが教会」


「すごいっすね」


「またきよった」


老人は撃鉄を起こす。


「二人とも早く中へ入るっす」


「うん」


レイナとフィー、銀毛のガルムは教会の扉を開けて中へ入った。


「二人も早く中へ」


「あいつは!」


老人の視線の先には数十匹のガルムを従えた目に傷の入ったガルムが一匹いた。


「さあ、おじいさんも早く入るっす」


「わしはいい」


「どうしてっすか」


「息子が襲われたことは言っただろ。それはあの傷のやつに…だから仇を取ってやりたくてな」


「そうだったすか…でもここでやり合ったらおじいさんまでも…」


「いいんじゃ、老い先短いこの身」


「良くないっす 俺も残るっすよ」


「なぜじゃ!お前さんには関係なかろう!」


「俺は目の前で誰かが傷付くのが嫌なんっすよ」


「…優しいなお前さんは…わしの息子にそっくりじゃ…分かった入ろう」


その言葉を聞き、リーシュは先に中へ入る。

「すまんな…」


老人の扉の取っ手に手を掛ける。


リーシュはその言葉に振り返ると扉が閉まる。


老人はすぐに近くにあった棒で扉が開かないように固定した。


「!!おじいさん!なんで…」


扉が開けようとしたが開かずドンドンっと叩いたが返答がなく数発の銃声が響いた後、静寂が訪れた。




ストレイヤ山脈〜麓町ゼルゼ〜


フェイ、クレイル、レイの三人はゼルゼに着くとガルムの群は何処にもいなかった。


「どうしたんでしょうか?やけに静かです」


「ガルム達がいない」


三人は宿に向かった。


「みんな無事か!?……!!」


フェイは宿の部屋の中を見るとガラスが散乱して誰も居なかった。


「どこへ行ったんだ」


「宿の主人もいないですね」


「町の中にも人の気配がありません それにガイを呼んでも来ないんです」


「クレイル、感じておるか」


「えぇ」


「なにを?」


「フェイ、お前も何か感じるはずじゃ」


フェイは瞼を閉じて集中する。すると波紋が広がるような感じで何等かの力を感じた。


「うん、感じる…」


「その場所に行けば何か分かるかも知れませんね」


「行ってみよう」


力を強く感じる場所に向かって歩いて行くと教会に着いた。


「ここは」


「さっき訪れた時には何も感じなかったのですが」


クレイルは扉を開けようと手を伸ばしたら見えない壁に阻まれた。


「結界のようですね、これでは中に…」


フェイも結界に触ってみるとクレイルの懐にあったエラネークから渡された石が光りを発しながら出てきてオーブの中に吸い込まれる。

結界に触れているフェイの手が透り抜けて教会の中に入っていく。


「えぇ…!!」


「フェイくん!」


クレイルは手を伸ばすがフェイの全身が結界を透り抜け、伸ばした手は結界に阻まれる。


「まずいわね」


レイの言葉にクレイルはレイの方向を見ると煙が何処からともなく現れてガルムへと変わっていき、群れを成していく。


「これは…レイさんは下がっていてください」


クレイルは剣を引き抜きながらレイの前に出て構えるとガルムの群が襲ってきた。

クレイルは襲い掛かってくるガルムを次々に一刀のもと斬り伏せていった。

クレイルに斬られたガルムは煙りのように霧散してまた群れの後方でガルムが現れる。


『これではキリがありませんね、なにか…』


クレイルは何かいい方法はないかと戦いながら探っていると一匹だけ目に傷の入ったガルムが目に入った。


『あれは』


ガルム達の動きが止まり、ガルムの群れが煙のように消えると声が聞こえた。


「人間よ、この程度か?つまらんな」


「何処にいるんです。隠れてないで出て来たらどうですか?」


「ここですよ」


クレイルは首元に冷たい感触を感じ、視線を落とすと首に沿うように鎌の刃がを突き立てられていた。


「貴様の魂を頂くとしよう」


「ようやく本体が出てきましたか」


「余裕だな、人間」


「私はこの時を待っていたんですよ」


「うっ…自分の身体ごと…」


自分の身体に剣を突き刺し、後ろにいた声の主ごと刺した。


「私は理由あって特殊な身体でして」


「そうか…だがまだ終わりではない」


声の主は消え、クレイルの背後から青白い球がゆらゆらと結界を透り抜けて教会へと入っていった。


「大丈夫ですか!?すぐ手当てを」


「大丈夫ですよ」


クレイルは刺さっている剣を抜くと傷はすぐ消え、それを見たレイは驚いた。


「このことは黙っていてください」


「えぇ、分かりました」


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