64・最終回(後編)
が〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。
またね〜、とかバイびー、と手を振って帰って行く魔童連盟のメンバーたち。
なんか知らんが、置き去り感ハンパ無い幻想皇帝元免悟。
え?、みんなホントに帰っちゃうの?。
そんな元メンバーたちがゾロゾロと引き上げて行く中、その流れに逆行して幻想皇帝の前に進み出た者がいた、エルドウィンだ!。
そして恭しく皇帝の前で跪く。
「幻想皇帝陛下!。
恐れながら同じ敵を相手に戦った免悟閣下の戦友として、何卒我が望みをお聞き入れ下さい!。
このエルドウィン・サーバル、やられたまますごすごと引き下がっていられる程人間が出来てはおりません!。
もし許されるのなら陛下のお力を、加護をお与え下さい!。さすればこのエルドウィン、敵から受けた屈辱を見事晴らして見せると誓いましょう。
そして陛下の作られたるこのエグゼリンドに、さらなる戦国パラダイスをもたらす事をお約束します!」
突然エルドウィンが幻想皇帝の目の前で、かなりの長セリフをベシャり始めた。(しかも後半意味不明ですし)
いきなりの展開に皆付いて行けず、目が点状態だがエルドウィンは超マジだ。
「え、エルドウィンまだ続けるつもりなの?」
せっかく紛争フラグが回収されたと言うのに、自ら再び戦地に戻ろうと言う展開はカルのみならず、メンバー全員が驚く。
「いや、俺の事は気にするな、ここからはそれぞれ自由行動だ。これは俺がしたいからするだけだよ」
その言葉にホッとする皮剥ぎ団たち。(あー良かったぁ〜)←腰抜けww
「マスター、この者はなかなか礼儀を弁えておる様です。どうでしょう、さっきの『魔核連繋』、今ならまだ再利用可能ですが?」
しかしそれには魔童連盟一同も流石にギョッとする。
「いや、ちょっとそれはダメだろ?」
「いえ!、もし可能ならぜひそのスキル頂きたい!」
「だって、迷宮核と魔核連繋でも無理だったから消去した訳じゃん!?」
「心配御無用、勝算はあります。
そもそもエダルはまだ幼く戦闘には不向きなダンジョンマスターです。
しかし自分ならこの最強コンボの力を、限界まで引き出す事が可能と考えております!」
「え?、いやでもなあ、せっかく消去したスキルをわざわざ…」
「マスター?、この者は大した心意気の持ち主です、希望を叶えてやるのもまた一興ではないでしょうか?」
「ええ、私は見ていて胸を熱くしました。やられたからやり返す、いいでしょう存分におやりなさい!。サハ599667740、エルドウィン・サーバル、お前にスキル『魔核連繋』を授けます」
「おお、楽しみだ。確かにあんな小さな子供ではあのスキルを使いこなすのは難しいでしょうね。
それにせっかく作った極レアスキル。それが戦いの最前線で稼働する姿をみたいと思うのは管理者としての本能です」
「いいではないですか。私は特にその戦国パラダイスと言う言葉に強く惹かれましたよ、期待しています!」
何故か管理者の中で、次々とエルドウィン容認論が展開されて行く。実は管理者とはかなり好戦的な奴等が多かったりするのだ。
(だって、最近あんまり大きな戦いが無くてツマんないんだも〜んw)天使
ちょ、ちょっと待たんかいお前ら!。何勝手な事を…。
「えっウソ、マジで!?。
ねえねえ皇帝陛下、俺にも何か下さいな!」
エルドウィンが自分のステータスから魔核連繋を確認して狂喜乱舞する。一方、それを横から覗き込んだフェイジが身を乗り出して来た。
「もしその男の力になると言うのなら望みを語るが良い、叶えて進ぜよう」
こらこらこらーーー!。
「俺、免悟の『浮遊術』と飛剣ランサンが欲しいな〜!」
「おや?、陛下のお持ち物を貶すつもりはないが、その二つはそれほどレアリティーが高い訳では無いぞ、良いのか?」
「えっ、そうなの?、
でもあんま強すぎたって面白くないですしね!」
「フッ、子供にしては見上げた心がけだ。よろしい、多少の色を付けてやる、これを持って迷宮主の戦力として存分に暴れるがいい」
ちょっと待ちやがれやッ!!!。
「しょうがないなぁエルドウィンは〜。
分かったよ、こうなれば乗り掛かった船だ、最後まで付き合ってやるとするか?」カル
「そうだな、勝算があると言うのならまた話は別だ。この皮剥ぎ団、微力ながら力になるぜ?!」バルサン
お前らまで?!、何言ってんの…?。(元免)
一旦帰りかけた魔童連盟が、何故か戻って来てエルドウィンの戦いに参戦を表明し出した。
つーかバカ野郎!。ぶっちゃけケツまくって逃げるのはいつだって出来る!。だが管理者から特殊装備を頂くのは今でしょ?、今しかないでしょ?!。(魔童連盟一同!)
オイオイオイオイ!。
(俺さっきから頭悪そうなツッコミばっかだな…)元免
「いい加減にしやがれ!、お前ら何考えてんの?!。言っとくけど俺はもう助けてやらないからな?!、絶対だぞ、もう知らねーんだからな!」
幻想皇帝元免悟がブチ切れた。しかしそれぞれ勝手に管理者がエサをバラ撒くもんだから、みんな皇帝の事は無視だ。
魔童連盟のメンバーは適当に管理者を捕まえては個別に希望を述べ始めた。
ちなみに幻想皇帝はいつの間にか、また免悟の姿に戻っていた。
「つーか、おいエダル!、お前まで何やってんだ?!。
お前はもう危ないから引っ込んでろって!」
あちこちで個別交渉が行われる中、その姿を見つけた免悟がエダルを捕まえて言った。
「あ、免悟!。
でもさ、みんなやるって言うし…」
「おっ前は相変わらず人任せだな!」
その時、免悟の肩をポンと叩く者がいた。
「よっ免悟閣下、サンキューな!」
「エルドウィーーーン!」
免悟がかなり複雑な表情でエルドウィンを睨む。だって確かにエルドウィンがみんなを唆した訳ではないからだ。ただ、結果的にはこいつのせいでヘンな事になってるのは間違いない。
「心配すんな!、俺は決着つくまでとことんやるつもりだが、こいつらは危なくなったらすぐに逃がしてやるよ。
まあ、負ける気は全くしないけどな!。
とりあえずフリーの集団を片っ端から寄せ集めて、数だけでも揃えたら速攻で全面戦争だ!。
ハッ!、死を恐れないダンマスがどれ程恐ろしいか、このエルドウィンがとくと思い知らせてくれるぜッ!」
ここ数年来、ダンマスの力を間近で眺めて来たエルドウィンには、その力の長所と短所をはっきりと認識出来ていた。ただそれを使いこなせなかった原因はダンマス・エダルにある。
ダンマス・エダルの問題点は、個体としてあまりにも脆弱すぎる事だ。エダル単体の対応力が酷すぎて、ほんの僅かなリスク管理も激ムズなのだ。
簡単に捕まったり浚われたり身柄を拘束されたり、騙されたり怪我させられたり、さらには殺されたり。そう言う事が容易に出来てしまうのがエダルと言う子なのである。
そのおかげで味方を増やす事すら儘ならなかったのだ。
しかし、戦士としても優秀なエルドウィンがダンマスになったのなら、そんな心配は全く必要ない。むしろ近寄る方が心配しなきゃならないほど、逆にダンマス・エルドウィンの方が危険な存在だ。
本来ならダンジョンマスターとは替えの効かない存在。なので普通は危険の少ない後方支援がメイン業務になるのだが、エルドウィンは滅多に死ぬ様なタイプじゃない。けっこう過激な戦略が実行できる。
つまりエルドウィンは従来とは違う戦い方をするつもりなのである。
例えるならば、本来型のダンマスが軍師、諸葛孔明であるとすれば、エルドウィンの考えるダンマスタイプは赤兎馬に乗った呂布、と言った所だ。
ぶっちゃけ呂布と孔明どっちが強いかは分からない。だが単純にダンマスと言う視点で見た場合、最前線でリスクを大きく取ってる分、前衛型の方がリターンも大きい。(攻撃力がUP)
大将であるダンマスが最前線に身を置くのだ、間違いなく敵の攻撃が集中するだろう。しかしそれ故にダンマスとしての能力は否応なく引き出される。
エルドウィンの前衛型は、自分本位の先手必勝タイプだ。自分のタイミングで魔法が打てる。
それに対し通常の後方支援型ダンマスは、どちらかと言えば敵の動きに合わせて対応する待ちの姿勢。
それ故に、相手に合わせて無駄な待ち時間を作り、ダンマスとしての稼働率を下げる事が少なくなかった。
とは言え、やはりダンマスが死んだら終わりなので、どう考えても命知らずな戦闘狂にしか出来ない戦い方だ。無謀としか言い様が無いが、ある意味画期的であるのは間違いない。
そんな訳で、エルドウィンが魔核連繋を手に入れた高揚感のまま、今後の破天荒な計画の演説をおっ始めた。
だが今はそんなのどうでもいい。(免)
ナチュラルハイでブッ飛び中のエルドウィンを置き去りにし、免悟はその身を翻した。すると、目の前にはホノが立っていた。
「免悟!」
「うおぅ。ホノ!。
つーーかお前は分かってるよな?、あんまり変な、ノリに、便乗…、どした?」
「免悟、あのね?。わたし……」
「うん……?」
「あの、わたし免悟の……、
免悟のぉ……、
免悟の装甲服が欲しいっ!」
「はあッ?!。
俺の装甲服ゥ?。
装甲服ってこれか?」「うん」
「この超高かったこれ?」「うん」
この装甲服は、大殻蟻の上位種討伐の際、褒賞金をチョロまかした金で作ったオーダーメイドのレア装備だ。
と言うか、その時にそれまで着ていたお気に入りのローブは、捨てる所をホノが欲しいと言うからくれてやったのだ。
穴の空いた所を上手く修繕して着こなしていたので、免悟も少し複雑な気持ちになったのを覚えている。
なのに、まだ服いるのか…?。(実際ホノは今もそのローブを身に付けている)
上着二着もどうすんの?、着回すの?。
それともあれか?。なんか卒業式で上着のボタンをくれ的な流れか?。ボタンどころか服丸ごと全部な訳だが…。
て言うか、これってもしかして新手の追い剥ぎとかじゃないよね?。まさか「追い剥ぎ団」が結成されたりするのだろうか?、皮剥ぎ団に対抗して…。ってそれは無いか。
それよりさ、いっつも思うんだが、これ恥ずかしそうに顔真っ赤にして言う事だろうか?、相変わらず謎だ。
まあ服をくれてやるか、くれてやらないか?、と言えばくれてやるのだが……。
結局お互い無言のまま、免悟の装甲服の授与式が行われた。(どぞ→あざす)
「免悟は一緒に来ないの?」
去り際にそうホノが尋ねる。
「俺は世界神なんだぜ、勝つと分かってる戦いなんかつまんねえよ」
だから記憶を封印して別キャラで活動したのだ。だが遊びの時間はもう終わった。
「でも時々みんなに会いに行く。
それにコレやるから、もし何かあったら言うんだぞ?、すぐに駆け付ける」
そう言うと、免悟は「魔王雛の漆黒」の小さい版を取り出した。
ウズラ卵程のサイズで、良く見ると片耳と口しか付いていない。そしてその耳たぶに空いた穴に、チェーンが通されてネックレスになっていた。
ピアス穴にチェーンを通して釣り下げると言うのは、かなりカオスな案配だが免悟に他意はない。それは確かだ。
しばしホノは戸惑って顔色を曇らせたが、すぐに笑顔で礼を言うと、振り返る事なく去って行った。
ごめんなホノ、俺は神なのだ、人間ではない。
しかし、かと言って全能でもない。
間違いを犯し、苦悩するただの神だ。
だから俺はお前らが望む様な俺にはなれないし、俺が望む様な形でしかお前らと関わる事が出来ない。
幻想皇帝とは、ただの人間が超偶然的運命によって、神にも似た力を手にした突然変異だった。
自力で業を克服した訳でも、世界の根源的な謎を解明した結果でもない。突然アンバランスな力を手に入れた特異な存在、ただそれだけだ。
だから免悟・幻想皇帝はタメ息をついた。
魔童連盟の皆は完全に戦闘を再開する気満々だ。そして幻想皇帝にそれを止める力は無いw。じゃあ出来る事は彼らが死なない様に手を貸す事くらいだ。
てな訳で免悟は、幻想皇帝直々に加護を与える事にした。
だって心配なんだもん!。
そして仕方なく幻想皇帝免悟は加護を乱発した。
例えば、エダルには称号「気獣を統べる者」を与えた。
これで魔法契約関係なしに気獣を従える事が出来る。(親愛パラメーターが無条件で上昇するので、気獣たちが帰って来た)
他のメンバーには「大魔術師」とか「暗殺者」とか「破壊神」とか「団長」等の称号を付けてみた。
ちょっと遊び心溢れたが補正効果はマジだ。
それからうるさいネビエラには「愚者」の称号と、額に第三の眼、魔眼をくれてやった。
眼を開くと瞳孔に「肉」の文字が浮かび上がるネタ仕様になっているw。(車輪眼風に)
まあネビエラは漢字なんか知らないので、称号はともかく魔眼は喜んでくれたww。
「ちょっとオイ!。ウチの姉の体に変なのくっ付けないでくれるかな!?、それから俺の称号も!」←破壊神シントーヤ
こうしてエルドウィンはみんなを引き連れ、意気揚々と戦場に戻って行った。
はぁ……。
その後エルドウィンは半年もの間、各国の派遣部隊全てを相手取りこれを撃退した。
結果的に森迷宮は甚大な被害を被ったが、エルドウィンは称号「覇王樹の支配者」を手に入れ、森迷宮に自らの王国を樹立した。
こうして建国された「サーバルク覇王国」はそれから数年で国家としての体勢を整えると、周辺各国への侵略を開始して行ったと言う。
魔童連盟のメンバーたちが立ち去ると、残されたハイエルフたちは自らが仕出かした行いに身震いした。
そりゃあ皇帝陛下を無視し、ずいぶん暴走しちゃったからねw。
元メンバーたちを見送った幻想皇帝は、天使たちを振り返ってジロッ、と睨んだ。
「君たちィ、良くもまあ好き勝手してくれたよねぇ〜」
ギクッ………。
「う、うう…、我が君よ!。いえ、違うのです、あくまでも我々はマスターの真意を汲み取っただけで…」
「そ、そうです、慈悲深きマスターはどうせ彼らに加護をお与えになると思い、ですね…」
「わ、私は何もしてません!、私は関係ありません!」
「で、でもマスターが悪いのです!。153年もの間、我々を放り出して姿を眩ますのは、い、いけない事だと思います!」
「そ、その通りです!。
私たちを放ったらかしにして、一体今まで何をされていたのですか?、お聞かせ下さい!」
絶対的な境地に陥った筈の天使たちは、そこからまさかの反撃に転じた。
さすがの幻想皇帝も、ここで逆襲を喰らう展開は想像していなかった。しかも多少は心苦しい過去に覚えがある。
(ちゃんと書き置き残しただろ?)
((((我らの関係はメモ1枚ぽっきりですか?!))))
「ふん!、まあいい…。
そんな事より話があると言っただろう?、今からその話をしよう」
(ホッとする天使たち)
「わかりました、我らも過去の事に拘るつもりはありません」
「ええ。マスターが帰って来られたなら、それに優るものは御座いません」
「何なりとお申し付け下さい、我が君よ!」
「えーー、では…(なーんかやりにくいなぁ…)、
早速だが、結論から言おう。
別キャラ、高坂 免悟として観察したこの魔法世界エグゼリンドは既に完成した。もはや我が手を出す余地は存在しない。
よって我々はこの世界を卒業する事に相成った!」
…………?。
天使たちの頭上に?の輪がピヨピヨ舞い踊る。
「卒業…ですか?」
「この世界を?」
「つまりだ、ぶっちゃけて言うと、
この世界もう飽きた。
だから他に新しい世界を作ろうと思う。
そしてもう作った。(オイ?)
なので、今からみんなにその世界を管理して貰おうと思う!」
流石の天使もこの流れは予想外だった。正直こんな展開に付いて行けたらダメな気もしたが、何故か付いて行けそうな自分らの力が恐ろしい。
「さあ行くぞ!。神である我に時間的な制約は存在しないが、無駄にしていい時間もまた存在しない!」
「「「「「ハイハイハイ、仰せのままに!!!」」」」」
ほんと完結できてホッとしてます。
最後はかなり端折りましたし、こんなエンディングどうなのか分かりませんが、最後まで見てくれた方ほんっとーにありがとうございました。




