表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A・w・T  作者: 遠藤れいじ
3/64

3・異世界街

 免悟は街の外壁に近づき、壁伝いに歩いて街の入り口を見つけた。裸足で…。


 時刻はいつの間にか夕暮れ時で、巨大な門の入り口は街の中に入って行く人ばかりだった。何となく皆家に帰っていく感じだ。

 思わず立ち止まってしまった免悟は、その流れに乗って一緒に門をくぐろうとする。が、何故かさっきからずっと目が合う門番に呼び止められてしまう。


「おいお前、ステータスを見せろ」


「はあ?、ステータスゥ?!、何それ食えるの?」


「…いいから見せろ」


 何故か免悟だけが止められて、他の人は普通に通り過ぎて行く。


 免悟は焦った。ステータスってよくあるアレか?。なんか知らんがどうしよう、逃げるか?、いや別に今の所なんもおかしな事してねえ…。つか普通に言葉が通じてるし!。


 はっきり言って情報が無さすぎて何が正解で何が間違いかさっぱり分からない。そんな感じで免悟が固まっていると、他の門番たちがやって来て通行の邪魔だからって門の詰め所に連れて行かれた…(泣)。


 結局、別に免悟が何かした訳ではなく、ただ単に免悟があまり見たこと無い格好をしてたので、ちょっとステータス確認されただけだった。

 基本的にこの門は人通りが多いので、よっぽど不審な人物だけを職質しているらしい。


 あ〜びっくりした。まあ確かに少し浮いてる気はしてた…。


 ちなみにステータス=【詳開】は、ステータス魔法と言う超簡単魔法の一つで、いくらでもコピー、譲渡が可能な誰もが持てる魔法の機能だ。免悟もいつの間にか所持していて、喚ぶと大気に反射して光るホログラムのウィンドウが現れた。


 その開示用のステータス表はこんなだった。


 コウサカ メンゴ、15歳、ヒューマン、所属:外界人、罪状:なし。


 ファンタジーを忘れたかの様なハイテクが表示する内容は、ぶっちゃけ大した中身じゃなかった。が、外界人と言う表示を見た門番は、一人で勝手に納得してくれた。

 つーかこの世界には「別次元の世界」と言う概念が広く認知されていて、また外界から様々な生き物がやって来るのは珍しくないらしい。マジかい…。


 ちなみに、非開示のスキル欄はこうなってた。


 スキル:基本言語、魔導書(魔法を10個以上所有で、自動取得)


 ところでこの街、ガルナリーの街は「白都市国家」、通称シルシティーの施政下にある。この国では市民権の取得が税金代わりになっていて、基本的には市民権を持たない人間は街に入れない。

 まあ実際は市民権を持たない者も結構紛れているのだが、衛兵としては不法滞在者を発見したら正しい対応を取らねばならない。そう言う訳で免悟は短期滞在用の仮身分証か、正式な市民権の取得を求められた。

 だが流石に今、異世界に来たばかりでこの先どう転ぶか全く分からないので、免悟はとりあえず一ヶ月間の短期滞在用の身分証を買った。

 値段は8000Gで、さっそくステータスの「所属」は「外界人、(仮・白都市国家)」になった。


 取れないの?、この「外界人」…。


 ちなみにこの世界にも一週間、一ヶ月と言う概念がある。と言うかそもそも一日24時間で、一年365日の地球と全く同じだった。

 当然の事ながら、一瞬免悟はこの世界が本当は異世界ではなく、地球の何処かに在るんじゃないだろうか?と思った。だがふと詰め所の窓から見えた夕日を目にして、ここが異世界であると言う事を思い知らされてしまった。


 山際に差し掛かろうとするその太陽は、あり得ないデカさだった。


 後でゲームの説明書で知ったのだが、この太陽は人工太陽で、地球と同じサイクルで動いているらしい。

 つーか裏設定みたいなものをぶっちゃける説明書には免悟ですらどうかと思うし、現実に人工の太陽を設置してしまうこの世界にも開いた口が塞がらない。

 とにもかくにも、日照量自体は地球の太陽と同じみたいだが、この世界の太陽は大きさが違う。手のひらを太陽に翳してみても、それより一回り太陽の方が大きい。しかも少し頑張って目を凝らせば、ちゃんと太陽の外縁が見えてしまうのだ。


 なんか見ちゃいけないものを見た感じだ…。

 そもそもこの世界自体が、唯一の絶対神により創造されたと言うんだからもうなんも言う事はねえよ…。


 と言う訳で、さっそく不審者として事情聴取を受けた訳だが、結果的には逆に助かった。と言うのも、免悟に対応してくれた門番は意外と気さくな男で、この街について色々と説明してくれたのだ。


 この街は白都市国家・シルシティーの最前線都市の一つで、他国の軍隊や未開領域のモンスターに対抗する為に、多くの傭兵やハンターが集まる場所だ。その為に様々な階層や使用用途に合わせた宿泊施設が多数存在するらしい。なので免悟はこれから泊まるのに丁度良い宿屋を紹介して貰えたのだった。

 門番にサンキューを言って別れると免悟は街に入った。


 おし、やっと異世界初の街だぜ。


 ガルナリーの街は煉瓦と木で出来たテンプレ中世風の古臭い街並だった。それでも夕暮れ時の異世界の街並みは新鮮で美しく見えた。

 街の大通りはかなりの活気に溢れていて、標準的な人間種以外の亜人や獣人風な住人もチラホラ見掛けられた。

 いつの間にか免悟のテンションも上がっていたが、かと言って何をする訳でもないので、ここはグッと我慢する(何をだ?)。

 途中、屋台でスリッパ的なモノがあったので買う。いいかげん裸足は嫌だ。


 とりあえず今日は宿屋を見つけて、明日から動く事にしよう。



(設定:

 聖金貨1枚=百万G。

 金貨1枚=10万G。

 銀貨1枚=1万G。

 大、中、小貨がそれぞれ千、百、十G。

 通貨の単位はG=ゴールドでほぼ円と等価。)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ