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ぱんつだけれど恥ずかしくないもん!

 ……我ながらひでぇサブタイトルだwww

「図星の様だね」

 おそらくは驚愕の色を隠せていないだろう僕の顔を見つめて、摩耶と名乗ったその変態は満足そうに微笑む。

 まるで『君の心中は全て見えているのだ』と、言わんばかりに。

「い、いったい、どうして……」

 恐怖すら感じている僕の、震える声。

 それは自分の心の中を知られた事よりも、更にその先の『自分の秘めた部分を引きずり出される』という事への恐れを、本能的に察知したものだったのかも知れない。

「判るのだ。私には」

 薄いブルーの色がついた眼鏡の、その奥にある彼の瞳が僕を射抜く。ヘビに睨まれた蛙さながらに、僕はその目を逸らす事ができなかった。

「聞きたまえ、伊織君――この世に『絶対の美』と言い切れるものが、一体どれだけあるだろう? 例えばモナ・リザ? 例えばミロのビーナス? いやいやそれらは所詮人の手により作られし物。確かに美しくはあるが、それを絶対究極のものとは私には思えない。人の力には限界があるからだ。ならば、大自然の光景はどうだろう? 水平線に昇る朝日、あるいは雄大にそびえる富士山。確かにそれらはとても美しいが、その根底にあるものは決して人知の及ぶ処では無いものに対する『畏れ』だ。尊崇の念を抱きこそすれ、心の温かみを覚える事は無い」

 静かで、優しい彼の口調。しかしそこには有無を言わさぬ迫力の様なものも混在している。いつの間にか、僕は摩耶さんの言葉に呑み込まれていた。

「その点を踏まえた上で、幼女たんを見てみたまえ。あの瑞々しい命の躍動を感じさせるぷにぷにの四肢と、夢と希望が詰まっているとしか思えないぽっこりお腹を。汚れの欠片も無い清らかな笑顔を。私達の心をかくも温かく癒してくれるその様は、まさに天使と言えよう。彼女達のあの姿は、神が我々に与えたもうた天からの贈り物なのだ。成熟した女性に対しては決して抱かない、そこにはエロティズムを含まない純粋な女性の美しさが有り、しかもそれはものの数年で無くなってしまう。そう、それは一瞬の宝物なのだ。だからこそ彼女達は尊く、そして美しいのだ」

 非の打ち所の無い、彼の高説。

 しかし、僕は自分の心の中に抱いたとある感情についてどうしても納得をする事ができない。

 それは、口にするのは大変に恥ずかしいことなのだけれど。

「で、でも、摩耶さん……」

 気が付いたら、僕はそう口走っていた。

「なんだね?」

 相変わらず紳士的な摩耶さん。その姿と態度はまるで僕のこの心中の答えを既に知っていると言わんばかりの、包容力すら感じさせるものだった。

 暫く躊躇した後、僕は思い切って言う事にした。

「僕は、摩耶さんが言う様に高尚な目で彼女達を見ていた訳ではありません。なぜなら……僕は、彼女達のぱんつにずっと目を奪われていたからですッ!」

 ぱんつ。

 そう。ぱんつ。

 僕は何よりも、彼女達のぱんつに目を、そして心を奪われていたのだ。

「ふむん」

 摩耶さんはそう呟くと、静かに目を閉じた。

 僕の事を軽蔑したのだろうか。彼に取って賛美する対象である幼女を汚れた目で見た僕に、深い怒りを感じているんじゃないだろうか。

 そんな恐怖を胸に抱いた、その時。

「こうやって目を閉じると、私は瞬時に彼女達のおぱんつを脳裏に浮かべる事ができる。あれは、良いものだ」

 うっとりとした口調で、摩耶さんは言った。

「…………は?」

「幼女たんのおぱんつこそ、この世の中で最も美しいもののひとつ。私はそう信じてやまない」

「そ、そうなんです?」

「ああ、そうだ。幼女たんの美しさ、その神髄は躍動感溢れるスカートの動きと時折垣間見えるおぱんつだ。そういう統計も出ている。これはすなわち幼女鑑賞を行うに当たり、一番注視すべきポイントだ。そこをいち早く見抜いた君は、やはり慧眼の持ち主と言わざるを得ない」

 キラリと白い歯を輝かせ、彼が僕の肩にぽんと手を乗せる。

 そ、そか……そうだったのか……

 でも。

「でも、摩耶さん。いくら幼女と言っても、相手は女性ですよ? 彼女達のぱんつを覗き見る事は失礼に当たるんじゃあないのですか?」

 僕の反論に、摩耶さんは大学の教授みたいな口調になって答えた。

「いいかい伊織君。本来、女性に取って下着を見られるという事はとても恥ずかしい事なのだろう。扇情的なまでに短いスカートを履いておきながら、階段を昇る時にはバッグで臀部を隠す女子高生達の理不尽な行動を見れば、その事が簡単に推測できる」

「はい、そうですね」

「しかし!」

 摩耶さんはぐっと拳を握りしめる。彼の熱い論調に、僕は固い唾を飲み込んだ。

「幼女たん達は、恥ずかしげも無くおぱんつを披露し続ける。何故か? それは彼女達に取って、何ら恥ずかしい事では無いからだ!」

「と、いいますと?」

「つまり、下着を見られて羞恥するという事は、自分が異性から性的な目を向けられていると自覚しているからだ。しかし彼女達は違う。そんな事は微塵も考えていない。性的という概念を幼女たんは持っていないからだ。彼女達に取っておぱんつは単なる衣類のひとつに過ぎない。それは、誰もが知っている国民的アットホームアニメに出て来る刈り上げの妹が堂々とおぱんつを露出させている事からも見て取れる。『ぱんつだけれど別に恥ずかしくないもん!』と幼女たん達は思っているのだ」

「ぱ、ぱんつだけれど……恥ずかしく……ない……」

「そう。彼女達が恥ずかしいと感じていない以上、私達がそれを鑑賞する事は失礼に値しない。むしろ神聖なる幼女たんにその様な思いを抱く事こそが、失礼なのだ」

「そ、そうなの、でしょうか」

「うむ、そうなのだ」

 コクリと力強く頷く摩耶さん。その瞳に、一切の迷いは見えない。

 つまり……僕は、間違っていなかったという事なのか?

 彼女達の姿に、そしてぱんつに目を奪われたという事は、僕が優れた美的センスを持っていたからだと、自信を持って良い事だったのか?

 でも。だけど。

 それでも僕は尚、自分を信じる事ができない。

 彼女達のぱんつを見てときめいたあの心に性的なものが含まれていないと、年齢=彼女いない歴のチェリーボーイな僕は言い切れないんだ。

 僕のそんな葛藤を見抜いたのだろうか。

 摩耶さんはフっと無駄に良い笑顔を浮かべながら、再び語り出した。

「伊織君、鶏肉は好きかね?」

「は? はい。好きか嫌いかと言われれば、好きだと思います」

「そうだろう。唐揚げに焼き鳥、水炊き、ローストチキン。鶏肉はとても美味しい。しかし、そんな君もひよこを見て『美味しそう』とは思わないだろう? その愛らしさに目を細めたとしても、食べ物とは認識するまい。幼女たんのおぱんつもそれと一緒だ。どうだね? 彼女達の無垢で純真なおぱんつ姿を思い浮かべて、君の股間にぶら下がっている5インチ砲はその仰角を上げるのかね?」

「……た、確かに」

 言われてみると確かに、あの時僕は性的興奮を抱いてはいなかった。ただ、美しい物を見る事ができた悦びに打ち震えていた様に、今なら思える。

 摩耶さんが少し前屈みになっているのがちょっとだけ気になるけれど、それでも彼の言葉は納得のできるものだった。

「君は優れた審美眼を持ち、幼女たんの姿に天使を見出す素晴らしい感受性を持っている。それ程の才能を、ただ眠らせておくのは幼女鑑賞界において大きな損失と私は言い切れる」

「摩耶さん……」

「私と共に、この道を歩んでくれるね?」

 僕に右手を差し出して、摩耶さんが言う。

「はい。未熟者ですが、よろしくお願いします……師匠」

 気が付いたら、僕はそう言って彼の手を両手で硬く握りしめていた。


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