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花畑

作者: だくさん




「残念だね、僕はあまり人が信じられないんだ」


僕は昔、僕に言った


――言ったって誰もそんなこと信じないんでしょう?


過去の少年、未来の少女。


なにかが崩れれば、二人はきっと壊れなかった。


天井のシャンデリア、足元の鎖、追想の記憶。


瞳を閉じたのは夢だと思いたかったから


1つの過去を小さく切って、昨日へ投げる。

1つの過去を2つに切って、自分の中へと仕舞い込んだ。


僕はきっと空を愛せばいい。


世界が浮遊するように僕は歩きだした


――刹那、僕の喘ぐ風が凪いだ気がした


錯覚、世界は嗤う。


1つ過去を捨てて、得ようとした未来は1度消えた。

その過去を捨てようとして、得た未来は僕に盲目だった。


僕の欠片を1つ、貴女が拾って、粉々に砕いて。


瞼の裏の安息、僕はもう要らない。


未来が僕に盲目なら、僕の世界以外は盲目でいい。


君がまた、その身体を要らないと捨てるなら僕はそれを拾い集める


君が云った

「きっと私は美化されているんでしょう?」


そうだね、そうかもしれない。


綺麗に作られた君は僕の瞳に汚く映った


穴の開いた僕の中から、少し君を覗いて、ガラスでできたビー玉と見比べて笑った。


どっちがどっちかわからないじゃないか、なんて。


この物語はきっとなにも前へ進んでいないんだろう


「残念だね、僕は神なんて信じていないんだ」


でも物語は後ろへは進めない、昔になんて戻れない


――i'mperfect.


僕は不完全で、完全さ、もう壊れるところなんてないよ


季節外れの花なんて、僕の手には届かない。


僕には夢の花以外はいらない。


僕には君の言葉以外いらない。


「お生憎様。僕は性格が悪いんだよ」


少しその花は大きすぎる。僕の部屋には入らないよ。


僕は君の部屋にも置ける花を咲かせた。


都合の悪い言葉は切って。


君の知らないうちに僕はそっと、隠れるようにアネモネを君の背中に飾った


僕は赤色が好きさ。


僕はひとりが好きで、ひとりが嫌いだ。

花に囲まれる世界はきっと、美しいんだろう?

人形なんかも飾って、僕はそっと1つまた、なにかを増やそうと願う。

都合の悪い言葉を切り捨てて、伝えたいものを伝わるように。




ただ、それだけ。

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