表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

作者の頭は大丈夫です

本当は1話になるはずだったこの話

来週次回作とか宣言したから…宣言するから!


気を取り直して人物表

霞日(カスガ) エウナ

吸血鬼 屋敷の主人 日が霞むで霞日


霞日(カスガ) メリー

幽霊 料理担当とか屋敷の管理人 語呂が悪いとか言わない


(カナエ) (ユメ)

メイドさん 家事とか色々 雇われました~、ぱちぱちぱちー

「ですから、物の重さなんてその時々で変わるものです」


 そういうとユメは、足場に乗りながら背伸びして棚へと本を入れ始めた。


「…そういうものなのかしらね」

「そういうものなのです」


 私は何もすることがないので、棚に次々と本を入れていく彼女の背中をぼーっと見ている。その様子は、まるで小さな子供ががんばっているようで自然と頬が緩む。


 始まりはなんてことはない、ただの疑問。


 □ □ □ □


 いつもテラスに居るのも芸がないという言うことで、今日は寝室のベットで読書をしていた。別に起きるのがおっくうだった訳ではない…断じてない。

 ただ起きて隣の丸机を見ると、そこにはまるで私に読んでほしいかのごとく本が置いてあるではないか。

 それなら、もう読むしかないでしょう?つまり動くのがおっくうだった訳ではない、断じてない。

 何々…?死亡フラグのさしすせそ?へぇ…どこかで見たことあるような内容ね。

 私がしばらくの間、何処かで読んだことあるような内容の本を読んでいると、トビラが開いて部屋の中へと誰かが入ってきた。

 誰が入ってきたのか興味があったので顔をあげると、そこには小さい体をした黒髪黒目のメイド服姿の少女が、その両手に数十冊の本を抱えて入ってきた。

 ぎりぎりドアに通るように積み上げられた本は今にも崩れそうで、小さい彼女の体をさらに小さく見せていた。というより、あれ絶対前見えてないわよね…


「そんなに抱えてると落とすわよ?」


 あまりにもふらふらと動いて危なっかしいので声を掛ける。…そういえばこの子、両手が塞がってるのにどうやって扉を開けたのかしら。


「ジェンガは得意なので大丈夫です」


 私が目の前の体の本で隠されている未知なる生物に対して思いを馳せていると、本から感情の起伏のない舌っ足らずな声が返ってきた。いや、実際に出てるのは本の向こう側なのだけれど…


「そう、ならいいけど…」


 それにしても、この小さな体がどうやったらこれだけの本を運べるのかしらね?


「あなた随分力があるのね?」


 悩んだら聞くに限る。…ということで、ゆっくりと棚の近くの机に本を置いているユメに聞いてみる。


「なんてことはありません、物の重さなど状況次第で変わるものですから」

「…つまり?」


 私がそう聞くとユメは体をこちらへと向けた。それにしても無表情ね、みんなで仕込んでいつか笑わせてみよう。まずは…


「例えば、ある人が死ねば世界の危機が救われるとします」


 私がそんなことを考えているとユメが説明を始めた。いきなり壮大な話ね…自分で振っといてなんだけれど長くなるのかしら?


「そうすると、その人の命の重さは他の人よりも軽くなるということです」


 説明はそれでおしまいとばかりにこちらに背を向けるユメ。お、思ったより短かったわね…別にいいのだけれど、少しさびしい気も

「ですから、物の重さなんてその時々で変わるものです」


 そういうとユメは、足場に乗りながら背伸びして棚へと本を入れ始めた。


「…そういうものなのかしらね」

「そういうものなのです」


 私は何もすることがないので、棚に次々と本を入れていく彼女の背中をぼーっと見ている。その様子は、まるで小さな子供ががんばっているようで自然と頬が緩む。

 そうは言ったものの…なるほど、まったくわからん。…というより説明になってないわよね?なんだか上手くはぐらかされた気がする。

 はぐらかされてなんとなくむしゃくしゃしたので、ユメの後ろにすばやく近づくと抱きしめてみる。ちっちゃくてやわらかくてあったかいわね、抱き枕にちょうどよさそう。


「エウナさま、どうなさいましたか?」

「あなた、私の抱き枕にならない?」

「エウナさまがそう望むのでしたら」


 ユメは抵抗ひとつせずに抱かれている。ふむ…反応が薄いのね。


「そう、それじゃ今夜よろしくね」


 名残惜しいが、これ以上抱きついていると離れたくなくなりそうなので離れると読書に戻る。


 □ □ □ □


 あの後、本に書いてあった死亡フラグのあいうえおが本当に死亡フラグなのかどうか悩んでいると、食事になった。

 いつもと対して変わらない食事が済んだらお茶会になるらしく、いつものテラスへと向かっていた。

 テラスへと向かう通路の途中、目の前から巨大なイノシシが足をこちらへと向けてゆっくりとこちらにきているのが見えた。…たぶん誰かに抱えられてるんでしょう、大きすぎて体が見えないけれども。

 どんな怪力の持ち主がイノシシを運んでいるのか興味があったので見てみると…メイド服を着ていた。


「あんた何て物はこんでるのよ!」

「…?イノシシですが?」


 ユメに向かって思わず叫ぶ。お、落ち着くのよ私、今大切なのはイノシシではない。今大事なのは…


「…随分と力持ちなのね?」


 どうやって持ってるのかの方法である。だってこのイノシシ、私と同じくらいの大きさだし。


「なんてことはありません、物の重さなど状況次第で変わるものですから」


 そう…なんてこともないのね…


「いや、状況自体で変わるってレベルじゃないでしょう、コレは」


 納得できなかった。ちなみに普段のユメは洗濯物を持つのでさえよろよろとするほどである。こんなイノシシ持てるはずないのに…まさか、偽者!?


「そんなことはありません。吸血鬼でさえもが状況次第で人間一人を倒すために数秒でロードローラーを抱え、上空から落としたという話もあります」


 それができたのは吸血鬼だからだ、真面目な顔で何を他種族のことを語っている。


「あなたは人でしょう…」

「そんなことはありません、その吸血鬼はロードローラーを持ってきた挙句に敗北しましたから」


 何がどう、そんなこともないのだろうか?…というより、そこまでの努力をして負けたのかその吸血鬼は…


「窮鼠猫を噛む、というものですね。どんなに弱くても追い詰められると強者に打ち勝つこともあると。最強という言葉は絶対の勝利にはつながらないと言うことですね」


 ふむ、そういえば最強の吸血鬼とか言われてたあいつはどうしてるのかしらね?最近噂を聞かないのだけれど…まあ、あいつが簡単に死ぬとは思わないし何処かで生きてるでしょう。


「ところでエウナさま、窮鼠猫を噛むですが、窮鼠猫を甘噛みとすると…どこと無く卑猥な感じがしますね?」


 卑猥な感じがしますね?じゃないバカメイドどの辺が卑猥なのよ…私があきれている間にもバカは続ける。


「いったいネズミは猫に何をされてるのでしょうね…」


 ふむ、そう言われるとどこと無く…いやいや、待て、これ以上は私の精神が危ない。理論武装しなければ…


 ふぁーん


『そんな理論武装(そうび)で大丈夫か?』


 頭の中で黒いスーツを着たメリーが聞いてくる。


『大丈夫だ、問題ない』


 私はその問いに笑顔で答えると、意識を現実に戻しユメの話へと耳を傾けた。


※以下理論武装は装備とお読みください


「つまり窮地に瀕したネズミは甘噛みという一発逆転の手段に出たのですね」


 くっ…


「そのネズミの攻撃に対して猫は反応せざるを得ないのでしょうね、一発逆転の甘噛み、効果は抜群だったわけです。ですが猫もただでやられるわけには行きません、自身よりも早くネズミを落とそうと」


 ユメの一言一言で理論武装が砕かれていき、私の視界が桃色に染まっていく。私は武器として素数を数えていたのだが、1は素数に入らないという驚愕の事実に気づき、頼りにしていたそれも砕かれた。


 <神は言っている、これ以上は書けぬと>


 最後の理論武装が砕かれる瞬間、どこからかそのような声が聞こえたかと思うと、私はまた黒いスーツを着たメリーの前に立っていた。


 ふぁーん


『そんな理論武装(そうび)で大丈夫か?』


 私の目の前で黒いスーツを着たメリーが聞いてくるので笑顔で返す。


『一番いい理論「エウナさま、聞いてますか?」』


 私がそう答えようとした瞬間、目の前のユメがそう聞いてくる。


「ちゃんと聞いてなければダメですよ、では最初から…窮地に瀕したネズミは甘噛みという一発逆転の手段に出たのです」

「え?あ、はい」


 どうやら時間が巻き戻ったと思ったのは私の脳内だけだったようだ。そしてまただんだんと視界が桃色へと変わっていく。まずい!話題を変えねば!あ、あれは…チョコレート!?


「それでもやはりネズミの悪あがき、猫は「そ、そういえばユメはバレンタインチョコはどうするのかしら?」」


 桃色に変わっていく視界の中、時空を越えて乙女パワーが私へと降り注いだ。そう、そろそろバレンタインである。


「…ばれんたいんちょこ?」


 どうやら話題変えは成功したらしい、ありがとう!乙女パワー!


「知らないの?バレンタインデーといって好きなにチョコレートを渡す習慣があるのよ」


 本当はお世話になった人も含まれていた気がするがうろ覚えなので言わないで置いた。


「それは存じませんでした…ばれんたいんですか…」

「ええ、詳しくはメリーや柚香にでも聞いてみなさい、色々知ってるはずよ。特にメリーはこういうのに詳しそうね」


 …詳しいはずよね?毎年渡して来てたような気がするし。


「ふむ…ばれんたいんですか」

「どうするのかと思ったのだけれど、その様子じゃ決めてないのね?まぁ、深い意味はないから気にしないで頂戴。それじゃ私はお茶会に行って来るわ」


 うわ言の用にバレンタインと呟くユメにそう捲くし立てるとその場を去る。それにしてもこの子、バレンタインって上手く発音できないのね。

 …少しだけ期待してたのは口に出さないで置こう。

 そう心に誓うと私はイノシシを抱えて何かを考えているユメをおいて、テラスへと歩き出した。

作者の頭は平気です

本気出せば猫とネズミでつらつらと書けそうでしたがさすがに自重


平気ですってば!


私より前に同じ窮鼠猫を甘噛みで投稿している方が居ますが、同時期に同じネタで書いただけです

別にネタを盗んだりしてません。してませんってば!いや本当に


それでは、少しでも楽しんでいただけたら幸いです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ