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ファウスト(人魚姫)〜人魚仮面の幻視〜  作者: 語り部ファウスト


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7/11

第七幕:海辺の再会

【第七幕】

やあ、君。

人魚姫と魔女は望みをみせあった。

この後の光景を、君は見たいと願うかい?

もし君が見たいと言っても、

ーーあえて、ボクは語らないぜ。


交渉と脅迫を、誰が見たいと思う?

君は怖くなって、

ボクから離れてしまうんだーー。


ーーだけど、君には真相を話そう。

タコは模倣する生き物だ。

人魚姫の足は、タコの知識により、二本足に模倣された。


代償は人魚姫の声だ。

これは、魔女から丁寧に解析された。

そして魔女はキレイな声の独占のために、ーー人魚姫の喉を潰した。

ーーこれが、魔法だよ。


第七幕では、物語をデンマークの海岸から話を始める。

彼女が二本足でしゃがみ込んでいるところから。


ボクらは近くで見てた。

人魚姫は、砂浜でしゃがみ込む。

さざ波から海から陸に押されて、

また海の中に引き寄せられるの繰り返し。彼女は服を着ていない。

全裸だ。金髪は肩に垂れていた。

小ぶりのいい乳房は腕の中で、押し付けられ、形を変えてた。

肌は青白く、遠くから見たら、打ち上げられた水死体だ。

彼女は死にかけていた。

人間の手は貧弱で、弱くて、水かきすらない。髪に絡みついた真珠すら失った。足はもっと頼りにならない。

ここまで辿り着けたのは、魔女の情けだ。


彼女は人魚としての痕跡を奪われた。

表面的にはーーね。

このまま見ていたら、彼女の物語は終わるだろう。

遠くの方から、走ってくる男がいた。

さあ、物語が始まるぜ。

ーー耳を傾けよう。


「ああ!なんて事だ!」


男は黒い上着のコートを脱ぐと彼女の上に被せた。裸の彼女を憐れんだからだ。

短い金髪の下にある目尻に、彼の涙が光る。

気品あふれる横顔をしていた。

彼が、人魚姫に命を助けられた男だ。


「ーーよかった。生きている……早く医者に見せないとーーいや、それじゃ間に合わないかもーーひとまず、別荘にーー」


彼は混乱しながらも、彼女を抱えた。お姫さま抱っこってやつだ。

彼は、そのまま走り出す。

ボクらは、それを追った。

見失うわけにはいかないからね。


人魚姫は、助けた男に救われた。

彼の名前はジェームズ・ドリトン。

ドリトン家の嫡男で貴族だ。

一言で表すなら、貴公子さ。

貴公子が、なぜ海岸をぶらついていたのか説明しよう。

彼は自分を助けた女の人を探していた。

あの夜での出来事。

嵐での船の沈没の後、

彼も運良く海岸に辿り着けた。

その時に、自分が見た女性を彼は忘れなかった。

でも彼女の行方を探しても、痕跡が全くない。

彼がシンデレラの王子様なら、

城下町を探して、見つからなければ国中におふれを出せばよかった。

だけど、彼は貴族の一人でしかない。

女を探すのに、彼は何もできない。

だから、海岸を歩いていた。

あれから、ずっとだ。

そうして、彼は人魚姫を見つけた。

だけど、

彼には彼女がそうなのか分からない。

彼女はーー人魚姫は、

声を失っていたからだ。


海岸から別荘に連れ変えられた人魚姫は、そりゃあ......もうすごかった。

貴公子が用意させた食事を、

毎日、彼の目の前でガツガツ食べてた。手掴みで、口の中に頬ばり、

うなっておかわりを要求していた。

彼女は、貴公子以外に近寄らせなかった。

まるで、傷ついたケモノだった。

医者が近づくと、彼女は猛ったケモノとしての彼女を見せた。

その結果、医者は彼女に近寄らず、

ちょっとした施設に送るように貴公子に忠告した。


人魚姫の血色は良くなった。

色白だが、全身に血の気が通い、

唇は薄桃色。

やつれていた頬は、肉付きが良くなる。彼女は食べ終えては貴公子を見つめて、微笑んだ。

貴公子も微笑み返した。


(こうして第七幕は、貴公子の微笑みで幕を閉じる)

 

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