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ファウスト(人魚姫)〜人魚仮面の幻視〜  作者: 語り部ファウスト


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4/11

第四幕:恋に恋する

【第四幕】

やあ、君。

ボクらの人魚姫は、恋をしたようだ。

ふん。恋なんて厄介だ。

 相手がどんな人なのか、判断せずに好きになる。人柄も容姿も、特別なモノとして捉える。あらゆる動作が意味ありげなものに見えてきて、残り香すら頭を痺れさせる。

どんなに遠く離れても、青空がつながり、同じ空気を吸い、同じ水を飲むことに歓喜する。

そしたら、もうーーその人しか考えられない。そうだね?

神よりも女を愛した最初の男のように。


第三幕では、嵐にあった船は海の藻屑となり、一人の男が人魚によって救われた。


 さてーー海の世界に戻ったセリーナは、水晶宮がなんだか明るくなった事に気づいた。


彼女は、建物の中に入った。

珊瑚の柱が天井を支えてた。

真珠のシャンデリアが、

柔らかな青白い光を放つ。

床は貝殻のモザイク、

海藻のカーテンが揺れた。


その部屋の中では、魚の群れが色とりどりに泳ぎまわっていた。

彼女は、その一匹を味わった。

バリバリと牙で噛み砕き、

骨ごと飲み込んだ。


「ああ、美味しい。

きっとワタシの心持ちが変わったせいね。何もかもがキレイに見える」

そして、また一匹と口にした。

彼女は空腹を感じていた。

やがて満たされると、

急に彼女は虚しさを感じた。


なぜかって?

男のことを思い出したからさ。

彼のことを考えると、特別な気持ちになってた。


「ああ、どうして、あんな所に置いたんだろう。もったいないことしたわ。もしも誰かが拾ってーー」と彼女は言葉を飲んだ。拾って、なんなんだろう?

彼女は、目をパチクリとさせた。


突然に水晶宮の下から、

地面から、湧き上がるような声がした。


【我が娘よ。汝に何があった?』


彼女は微笑むと、喉を使って意味を作った。


ああ、父よ。海の父よ。

私は地上の星を救い、

彼を救ってさしあげた


星は私に感謝をし、

「君が助けてくれたのか」と

応えてくれた。


私は地上へ誘われ、

再び物語の甘さを、

味わいたい。


指で触れ

匂いを嗅ぎ

舌先で突つき

唇で吸い


たしかめる。


それからーー


彼のほお肉をーー。


宮殿の下から、

震えるようにセリーナに囁く。


【恋を夢見し、我が娘よ。

汝の星は禍々しき。

地上は地獄。

汝を滅ぼす。


汝に、地上は禁忌。


すぐには奪われることはない。

得たものはーー】

彼女は弾けた。

海の父の言葉を悲鳴で遮った。

「ああ!父よ、海の父よ!

惑わさないでーー」


彼女の周りが歪み、水晶宮から急いで離れていく。


【止められぬ定めなのかーー】


泡と淡い赤が後に残ったーー。


(こうして第四幕は【海の父の定め】により幕を閉じる)

 

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