王子との契約
俺は糞王子との約束のため、1週間ほど読み書きや、おおまかな歴史、地理など牢屋で学んだ。
初めて本を読んだけど、面白い。 ちょっと、俺の知識欲がでたが、もういい加減牢屋から出て糞王子アーサーと契約を結べって事になった。
ケチだな。
再度、糞王子アーサーに会って契約書の内容を読んだ。 場所はこの前と同じ場所だ。
契約内容は、大まかにいうとこんな感じ。
・アルタイト王国の傭兵団に所属すること
・傭兵の軍規律を守ること
・アーサーの依頼にはなるべく応じること
この3つを守れば、俺は平民で、市民として自由で、軍にある傭兵の施設で衣食住が保証され見習いでも給料がもらえるとのこと。 3つ目が、ふざけんなって思ったが、俺の行く道はないから仕方ない。
そして、傭兵にもいろいろ階級があるらしい。 階級を上げるためには、階級試験や、試合があってそれに応じて階級がつくらしい。 傭兵は、平民の軍組織の事で、軍は、貴族の騎士たちらしい。 やる事は類似しているが貴族か平民かの違いだ。 訓練は、基本、傭兵と軍は別々だけど、傭兵の上位階級だけ軍との合同訓練や試合があるらしい。 そんな説明を聞きつつ、契約書にサインした。 これで晴れて、俺は釈放だ。 しかも、逮捕歴も消えるらしい。
「契約は完了だ。」って糞王子。
「あとは、グリトニーに連れていってもらうから」って隣のオッサンに言った。
「はい、畏まりました。」って返事したグリトニー。
「ガキ、準備していくぞ」って言われた。 俺は特に返事もしない。 なんせまだ、手錠に足枷付きだしな。
その時に、洋服と下着をいくつばかりか貰った。 そして同時に傭兵カードってのをもらった。 階級を見たら見習いってなっている。 施設内に魔石や素材の換金場所があって売ると現金もしくはこの傭兵カードに入金してくれるらしい。 市民は市民カードってのがあって、カードに入金できるらしい。
俺は、グリトニーに、俺のいた牢屋、幽閉塔にあった豪華な面会室で、傭兵の見習いの茶色の服に着替えさせられ、髪は一つに纏めてしばった。 その前に、前髪だけ切らせてもらった。
ようやく釈放だ。 俺は、グリトニーに連れてかれ、俺はやっと外に出た。 いままで、地下だったからな。
日差しがまぶしかった。 そしてようやく、手錠と足枷からも解放だ。 着替えた時に一時的に開放してもらったけど、幽閉塔を出るまではって事でまたつけられた。
外してもらう時に、「逃げるなよ」ってグリトニーに言われた。
俺を馬鹿にしてるのか? 一応契約したんだし、それを齟齬にするほど俺は腐っていない、はず。
逃げる気もないしな。 生活保障されていれればそれでいいしな。
俺は、グリトニーに連れられて移動を始めた。
◇◇◇
ここ、アルタイト王国の王都は水の都とも呼ばれていて、山肌を切り崩した感じで段層になっている。
1階層が市民が住む家や商店街、スラムもそこの奥にあった。 2階層が、軍、傭兵の施設、宿舎、商店街に酒場、夜の繁華街がここの層で、コロシアムもここにある。 3階層が貴族街、頂上に王城だ。 各層の間に人工的な川が流れていて、可動式のアーチ状の橋が四方にかかっていて、緊急時には橋があがる。
という事で、俺は今日から2階層の傭兵団の見習いとなる。