閑話 王太子からみたスラムと黒猫
Side:王太子アーサー
ギースが出て行った応接室。 僕は、ふぅーと緊張をほどいた。
「僕は途中から7歳の子と会話していることを忘れたよ。 それに、魔力制御して君に襲いかかるとはね。」
「殿下、あれは油断して」っていうグリトニー。
「どうかな。 彼は一瞬で、強者から倒して隙があれば逃げようとしてたように見えたけどな。」
「7歳児、しかも学のない子が、そこまで考えてますかな」
「そうそこだ。 彼には違和感だらけだ。 いつ戦闘を学んだ。 さっきの交渉もそうだ。 あれはもう天武の才しか言えないね。 ウルダハーヴィ公爵も、すごい子を手放したものだ。 にしても、スラムがそんな場所だったなんて、王国の闇は深そうだ。」と両手を組みため息をついた。
ギースこと黒猫との会話でわかったのは少しだけ。
それでも、8歳の男児は、特殊能力がなければ殺し合いをしているって。。 なんていう環境だ。
いくら無法地帯といえども、あまりにも酷すぎる。 それをギースは、身体能力が高いからっていうので5歳ででている。 いくら倫理観にかけているいっても、子供が生きていける環境じゃなかった。
僕たち王国は、闇に蓋をしただけだ。 そんな事を考えていた。
「はい、ネズミの尻尾切りでしか。 魔法攻撃ではなく、兵を投入して捕縛するべきでした」ってグリトニー。
「スラムにいるものを人間として見ていない貴族が多い。 それ故、決議であの攻撃になった。 僕も悔しかったがね。 裏では繋がっていたものもいたんだろう。 燃やしてしまえば証拠隠滅だ。」
「殿下は、わかっていらっしゃったのですか?」
「可能性としてだ。 ギース君の話しを聞いて、そこまで過酷とは知らなかったがな。 でも確証はもてたな。」
あの日、やっぱりスラムと貴族の繋がりがあったな。 スラム一掃の日、僕たちはスラム内部の者達に気づかれないように転移して事前に調べた穴倉と言われている通路と、森へいく道をふさいだ。 そうすれば幹部たちも含めて一掃できるっていう計画だった。 僕としては、子供がいたらって話をしたが、もし一掃後、子供がどこかに隠れていたら保護するって話になった。 そして、保護できた子供は数十名のみ。
思っていたより、子供は少ないのかってその時は思ったけど、ギースの話じゃあれはもっといた。
僕たちは何をしたんだ。 今更だがやっぱり悔やむ。
◇◇◇
こうして、ギースのいたスラム街は更地となり、その後市民街の拡張用地、そして新たに王太子の命令で寄付金も必要としない孤児院や浮浪者の一時受け入れ施設が建設されるようなった。