王子との会話 後編
糞王子に、俺は犯罪奴隷になるしかないと言われた。 犯罪奴隷がどういうものかなんて俺はまったく知らない。
「スラムで生きるのとかわらねぇーだろ。 まだ奴隷のほうが最低でも1日は食事貰えるって聞いた。 ガキの何人かは、スラムでスリできず数日、1週間飯食べれないなら、捕まったほうがいいって言って捕まったやつは山ほどいる。」って俺が言った。 真実だ。 スラムに居たガキ共で、仲間で活動していたやつの中には、8歳になる前にデスマッチに参加したくないって、捕まったやつもいる。
「え? 今回保護した子供はみな上納金出せなくてもなんとか食べていたっていっていたが」
「はぁあ。。 あそこにいたのはコソが面倒みてたガキ共だ。 それもあって、コソが、自分の分け前をガキ共に与えてたからだ。 あそこにいたのもごくわずかじゃねぇーか。 コソだって、自分の分け前が多くはないから、みえる範囲だ。 まぁ結局、コソ殺したのもお前らだし、あの業火で死んだのは逃げ場も行くところもない弱者だけで、仕切ってたやつらはお前らの中に内通者がいてとっくにあん時にはにげちまってたよ。」って言っておいた。 糞王子、コソを殺しやがって。
「では、あの中に子供いたのか。。」っていう王子のか細い声でいった。
「それは俺はしらねぇー。 5歳になるちょっと前から隔離されてたし。」
「どういうことだ!」って言われた。
「本当、スラムがどういう所かしらねぇーんだな。 知るわけないか。 女は子供も関係なく娼婦宿いき、男は目見がよきゃ8歳まで生きてたらどっかに売られる。 んで、売り残った男は、特殊能力以外はガキ同士での殺し合い。 逃れば、大人に殺される。 んで、俺は身体能力高いってんで、5歳になるちょっと前のその殺し合いにだされた。 生き残ったら今度は隔離だ。」
「なんでそんなことを?」
「はぁー、穴蔵通って市民街にでれるのが身体的に8歳がキリギリだ。 上納金を払えないやつに生きる意味ないだろ。 口減らしだよ。 あんな鉄格子で隔離された世界だ。」
「なぜ、君ぐらいだったらにげれただろ」
「じゃぁ、5歳や8歳のガキが逃げたとこで、誰が助けるんだ? 結局、浮浪者扱いでスラム戻りじゃねぇーか! 孤児院だって、行ったって寄付金ゼロのガキは受け付けてねぇーって聞いたぞ」
「確かに、いくらかの寄付金がなきゃ今の孤児院は受け付けていない。 だから、犯罪奴隷のほうがましか。。 だが、商家や市民街の襲撃は?」
「そんなの捕まえたやつらに聞けよ!」 俺が知るわけないだろ。
「それが、一掃後、尋問前に一般の牢屋で死んでいた。 それで君だけは、王宮の幽閉塔の牢屋に入れたんだ。」 ほう、俺だけ場所が違うのか。 って事は、あのカタとヒョロは死んだのか。 まぁ、あいつらに何かいう事はない。 憎んではいないが、殺してやろうかって思った事は何度もあった。 いちいち命令してきてうざかったからだ。
「ふーん、俺は知らないが、不定期だがボスに依頼がくる。 ボスの部屋から頑丈な鍵でかかってる扉を通って通路を渡ると市民街に出れた。 俺は、任務に行く時と帰る時は、同行者に目隠し、耳栓されて、まぁ最近だと今みたいに足枷、手錠かけられていくから隠し通路がどこへ繋がってたなんてしらねぇーよ。 コソは、ガキ逃すのに調べてたが、お前ら殺しちまったしな。」って言ってやった。 コソは、本気でお金貯めてガキ共を逃がすつもりでいた。 あーあ、本当に優しいやつだったよ。 俺も逃がすって言ってたな。 俺は、7歳未満のガキ共をどうやって養うんだよって何度も言い合いしてたな。
「殿下、我々は結局スラムの場所を更地にしただけなのか」
「ああ、そのようだ。 兵の中に内通者がいるのだけは明確だ。」って、王子とオッサンの会話。
お前らがやった事はどうだってもういいだろ。過去の話だしな。
「じゃぁ俺は、犯罪奴隷か死刑ってことだろ?」
「いや、君のその身体能力を生かしてほしい。 まだ7歳で、倫理感もない。 だから、傭兵団の見習いとして所属し、この国のために働いてほしい。 最近、隣国との小競り合い、それに魔物が活性化しつつある。 その為には戦力が必要なんだ。」って王子。
「ふーん、じゃぁ今度は国のために殺しをするってことか?」
「ズバリいうね。 まぁちゃんとした報酬込みで、犯罪にならない殺しだ。 その変わり、今までの事は見逃し、かつ平民として身元も保証される。 この条件はどうかな?」
「つまり取り引きってことか?」
「ああ、そうだ。 悪くないとおもうが。 これが契約書だ」って紙を渡された。
「はっきりいうが、俺は読み書きできないから、サインも書けないし、内容もわからん」って言ってやった。
「あはは、すまなかった。 じゃぁ、僕が読もう。」
「駄目だ。 俺が読み書き学んでからだ。 内容や解釈に違いがあったら困るのは俺だ。」
「その警戒心、感服するよ。 読み書き学んでから、釈放で、傭兵団へ見習いにいくってことでおおまかにはいいかな?」
「ああ、それでいい」
犯罪奴隷にもならず、死刑にもならずか。 俺の選択肢は傭兵になる事しかないのは分かったが、読み書きができない俺だ、その契約書ってのに何が書いてあるのか把握する必要がある。
そして、俺は、迎えにきた兵士達によってまた牢屋に戻った。