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魔王討伐直後

まだ勇者一行は戻ってない。

俺はアーサーに呼ばれて、執務室にいる。 いるのは暗部の長だけだ。


「ギース、この4年ちかく勇者一行の補助、魔物の氾濫、疫病やらいろいろ、そして悲劇の魔王の討伐ご苦労だったね。」っていうアーサー。 どことなく疲れていてやつれてる。 もう40代後半近いけど、それにしてもな。


「まぁ真実を知った時は、何とも言えなかったがな。 殺してくれっていう奴を殺すのは嫌だったよ。」って正直に言った。


「魔王を殺したのがギースだって、僕も暗部も上層部も知っている。 悲劇の魔王の事もね。 ただ、何処から情報つかんだのか僕達が秘匿にしてたギースがスラム出身ってことが貴族の間で広まっているんだ。」


「ようは、スラム出身者が、傭兵かつ今の立場、そんでもって魔王討伐したとなったら各国にも国民にも示しがつかないってことか?」


「いや、今の立場は僕が維持する、ただ魔王討伐したのはユウトになるかもしれない。本人が否定してくれればいいんだけど。」


「それはないな。 あの時、あいつら喜んでたし。 俺は理解できなかったがな。」


「そうか。 きっとこのまま行くと僕の死後、アルタイト王国の国王はユウトになる。 僕の死後は、僕との契約は終わりだ。 この国にいる必要はない。 トリマ町は、ちょうどアウドス国の近くで、この町の存在をしっているのは、僕と長だけだ。 もし今後なにかあれば、ギース、お前達はトリマ町へいくんだ。 そして、アウドス国で保護してもらうなり、自由に生きてほしい。 これぐらいしか君にできない僕を許してくれ。」そう言ったアーサー。


そしてアーサーから、もしもの時のアウドス国国王宛の手紙も預かった。


「平気だ。 いざとなったら、ヴォルでひと飛びだからな。 それに、俺はこの国嫌いじゃないしな。 まぁ魔王と吸血鬼貴族の最後の願い、残された魔族達が安住することを願うよ」って言っておいた。


「ああ、僕も同じだ。」そう言ったアーサーは苦笑いしつつ目は哀しそうだった。



…今思うと、アーサーと直接会話したのがこれが最後だった。

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