勇者が召喚されたらしい
王都に戻っても、結局国中で魔王領からの魔物の襲撃は日々発生が続く。
俺と珍獣組は手分けして大規模箇所中心に討伐に明け暮れる日々だ。
王都周辺は、テッド人間組に任せてある。
いろんな箇所巡るから1週間寝ないとかが当たり前だ。 討伐途中で寝落ちするヴォルを紐で縛っておんぶすることもある。
俺たちだって万能ではない。 救えない村や集落だってある。 傭兵団、騎士団も、動いているのはわかるが、討伐しながら「俺ら働きすぎじゃねぇー!」って絶叫してた。
ある日、手分けして討伐が終わり、俺は寝ているヴォルをおんぶして合流場所のトートガ帝国との国境近くにある砦に向かった。 もう1週間以上寝てない。
「ギースの兄貴、ヴォル坊またねちゃったんすか?」
「あー、さすがに1週間以上だからな。 移動して討伐だ、ヴォルはまだおこちゃまだしな。」
「はぁあ、俺も流石に限界だぜ。 フェンとラミは、砦についたみたいっす。」
そう言って、俺たちは走りながら砦に入った。
砦にいる門兵が「ウルハ大将、お疲れ様です。 あのお疲れの所、申し訳ないんですが、フォーガ第5騎士団長がお会いになりたいそうです」
「まじ、俺ら殺す気か! 明日にしてくれ! 寝かせろ!」って怒鳴った。
「は、はいぃ! そう伝えておきます」
俺たちにあてがわれた宿舎に到着。 フェンとラミはもう寝てるらしい。 グリと部屋の前でわかれて、俺はヴォルを下ろして、「ヴォル、一度おきろ。 シャワー浴びて、寝るぞ」っていってゆり起こす。
「うはぁー、兄貴、眠たいっす」って俺に寄っかかる。
仕方なく、服脱がして、俺も脱ぎながらシャワー浴びる。
風呂ないし、いや風呂はいったら寝落ちするな。 そう思いつつ、ほぼ半分寝てるヴォルを洗いつつ、自分も洗う。
ヴォルを寝巻きに着替えて、俺も着替えて、ようやくだとベットに入った。 ヴォルも同じベットだ。 俺の魔力食ってるからな。
ベットで眠れる!って思いつつ目を閉じた瞬間に、部屋のドアを激しくノックする無礼な奴。
「ウルハ大将、出てきたまえ!」って怒鳴ってるよ。
あー面倒、ってタバコの火をつけて一服しながらドア開けた。
「うるせぇーってんだ。 何のようだ!」って俺あからさまに機嫌が悪い。 これで機嫌いい奴なんていないな。
いるのはさっきの門兵と剣幕顔の騎士だ。
「このフォーガの呼び出しに応じんとは、貴様何様だ!」っていう騎士。
「あん、うるせーぞ。その門兵に眠いから明日にしろって伝えたが」っていうと、門兵は申し訳なさそうにしてる。門兵は傭兵だもんな、貴族に言われて仕方なしって感じだろう。 本当、この階級制度に苛立つ。
「ふん、平民が貴族の呼び出しがあったらすぐ来るのが当たり前だ。 まぁいい、今すぐ王都へ戻れとの事だ」って偉そうにいう。 俺のほうが軍でいうと階級上なんだけどな。 本当、貴族ってそういう所無視しやがる。
「はぁああ? 嫌だね。 俺、まじ眠いの。 誰の伝言だよ。」
「シレラ王女様だ。 この度召喚された勇者様が黒竜をご所望だ。 帰還し献上せよとの事だ。」って偉そうな騎士。
ヴォルを寄越せだと。
「いろいろ言いたいが全て断る。 てかよ、俺らはアーサー直轄。 で王都へ帰還は早くて1週間だ!」
「しかし」
「なぁ、お前さ、俺ら、ここに来るまで10日間寝ずに魔物討伐に明け暮れ、移動してんだ。 食事も討伐しながらだ。 いい加減寝させろ!」って言ってドアに鍵かけて閉めた。 まだ、激しくドアの叩いてる。うるさいから、耳栓して寝た。




