終戦調停に来たアーサー国王
ローガンの初陣という事もあり、ギース達にも参加させたトートガ帝国との戦争。
まさか、開戦初日で圧勝した。 ギースの部隊だけで、数時間で半数以上の敵陣を殺したようだと暗部からの報告。 最後は、ヴォルが黒竜のまま登場して、速攻降伏したみたいだ。
僕、アーサーは、トートガ帝国の国境にある砦にいる。
終戦調停のためだ。
「ウルハ大将が、黒竜を使役していたとは」ってローガンだ。
「ああ、頭にいつもぬいぐるみのようにいただろ。 あれが小型化した黒竜だ。」って言った。
もう、大半が見てしまったから隠す必要もない。
「しかし、なぜ、我々に報告がなかったのか」
「ははは、過剰戦力になるからね。 人間同士の争いに黒竜を参加させたくなかったからだ。 まぁ、今回、多くの者に見られたから、黒竜の存在は知れ渡るだろうね。 って、それよりアルタ大将はしっかり捕縛してあるんだよね」って話変えた。
「はい、丁重に隔離してありますし、捕虜した兵たちも全てこの砦の外に急ぎ別の建屋を建てて武装解除の上、捕縛済みです。」
確か、捕虜が2万弱だったはず。 きっと、その建屋もギース達が建てたんだろうな。
ギース達は今、暴動とかおきないように、そっちの建屋の見張りを傭兵と共にさせている。
「わかった。 それで、トートガ帝国は、マルコム3世国王がくるんだよね」って聞いた。
「はい、数時間後にはここに到着予定です。」ってローガンだ。
「調停の内容はほぼ決まってるからいいけど、ローガン、なぜ5万の騎士団をここに連れてきてない」
「そ、それは、敵陣営が20万。 しかも、トートガ帝国の魔道具はわが国の上を行きます。 もし、撤退になった時の補充としておいていったんです」ってもっともらしい言い訳だな。
「まさか、ギース達の戦力をあてにしたって事はないよね」って突っ込んだ。
表情があからさまだ。 やっぱりな。 ギース1人で一騎当千以上だしね。 はぁ~、結局、ローガンの、いやギース達の戦力は僕の想像以上だった。 1部隊だけで、約12万を倒してる。 王都に戻った時、貴族たちが危険視しないといいが。
◇◇◇
トートガ帝国のマルコム3世がきて、終戦調停だ。
こっちは、僕とローガン、そして外務大臣のオズリーで出席。
ほぼ内容は決まってたので、その日のうちに調停は終わった。
内容は当面のあいだ休戦、そして、トートガ帝国の魔道具技術の一部開示だ。
マルコム3世は苦虫をかんだ顔してたけど、さすがに劣勢と思っていた我が国の圧勝だから文句も言えない。
まぁ、まさか黒竜使役している部隊がいるとはって、捕虜とアルタ大将を連れて帰る時に言われたけどね。
一応、戦争には参加させてないって言っておいたが、黒竜の存在は、トートガ帝国に対しては抑止力になった。
すべてギースのおかげか。
◇◇◇
その後、僕は王都に向かってローガン率いる部隊たちと帰国だ。
ギースの部隊の人間組も一緒に同行させた。 ギースと珍獣組は、ヴォルでいつでも帰国できるから、トートガの内情調査をしてもらっている。
「アーサー国王」って、暗部の長だ。
「どうした?」って聞いたら、手紙だ。
内容を確認した僕の手は怒りで震えた。
「これはどういう事だ! 今回の手柄が全てローガン、そしてマックレン侯爵家になってるのは! ギースの部隊だろ!」って怒鳴った。 長に怒鳴ったって仕方ない。
「テレサか?」
「はい、テレサ王妃とマッキナイト宰相、そして王都にいた貴族たちがさすがに平民のウルハ大将の部隊の活躍とは国民に言えないって事で、そうなったと。」
「ギースの事だ、武勲については文句は言わないだろう。 だが、これはなんだ。 勝手に婚約って」
「それが、ゴードンが、ギースの剣技に惚れたらしく、妹のレイナ嬢をすすめたみたいです。 ですが、どうも事前に、マッキナイト宰相と、マックレン侯爵家の中では話が進んでおり、ローガンにも」
「はぁ~、だから、ローガンが、ギースの部隊をゴードンのところにつけたのか。。」
「はい、しかし、もうすでに手続きが完了しており、破棄もできないかと」
「だろうね。 あの戦力を手元に置きたいって思う貴族は多いからね。 そうならないように、僕の直下にしたのに、まさかこうするとはね。 やられたよ」って溜息がでた。
ギースに何て言えばいいんだよ。
「レイナ嬢は、可愛らしい美女ですし、ウルハ大将もそれなら」っていう長。
「それは無いと思うよ。」っていうしかなかった。
その数か月後、戻ってきたギースにさんざん婚約について文句言われた。
お互いに会ったけど、レイナ嬢はギースに惚れたみたいだったけど、ギースは無関心。 やっぱりな。
一応、勝手に決めた婚約なのだがから、俺に何か求めるなってはっきり言っていた。
そうなるよね。 僕のあずかり知らずだから、今後どうするかは、とりあえず見守る事にした。




