聖剣の祠へ
本日2話目です
魔物の最低等級をE級まで引き下げました。
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「まぁ、事情は分かったけど、もう!」
頬をむにーっと引っ張られる。
「護衛依頼なんかはやっぱり当日に募集してないからね」
先程護衛依頼などが集まる依頼ボードを見に行ったのだが今日にナトレ村に行くような依頼は無かった。
観光地ということもあり商人の護衛など色々あったのだが早くとも2日後だったので仕方なく俺たちは依頼を受けずに行くことになった。
「護衛依頼なんかがない時、特に今回みたいな急に行くことになった時は配達依頼なんかを探すといいよ。これは当日の依頼なことが多いからね」
そう言って手に持っていた依頼の紙を見せてくる。
「そういえば野宿の用意とかはしてるのかい?もう3時は過ぎてるんだ。今からどんなに早く行ったとしても着くのは夜中になるんだ。村には入れないと思うぞ」
……そんなこと考えてなかった。
「はぁ……馬なんか持ってたら別だろうし馬車で行くならまだしもそんなのも用意できてないでしょ?金額は高いが馬借りる?」
「いえ、野宿でもいいですか?今までオリビアにそこら辺用意してもらってて。色々教えて欲しいんです」
今思うと、戦力にならないのに雑用なんかも任せちゃってたんだなぁ。
戻れたにせよ戻れなかったにせよ、こういう知識は冒険者をやっていくには必要だろうと思い教えてもらうことにする。
それから1時間ほど野宿の間、必要なもの。金銭に余裕があるのであれば用意しておいた方がいいものなどを教えてもらう。
「よし、こんなもんかな。ま、私はいつ緊急依頼が入ってもいいようにこのアイテムバッグに全部入ってるから何かこれが必要とかあれば出すよ」
そう言って手元のバッグをポンポンと叩く。
「そのアイテムバッグっていくらくらいするんですか?」
絶対ひとつ持ってたら便利だよなぁ。
「部屋1室のもの入るから、まぁ大サイズくらいだから……値段は、分からないけどオークションで白金貨50枚位で売買されていたのを見た事あるかな」
白金貨50枚?!さっきの焼き鳥が銅貨2枚だから200ギル(※ギルは通貨の単位)。白金貨1枚が100万ギルだから……あの焼き鳥25万本分かよ……すげぇ。というよりも
「値段が分からないってことはまさか」
「あぁ、多分思っている通りこれは私が遺跡で見つけてきたものだよ」
遺跡かぁ……いいなぁ。
「いいなぁ。なんて顔しないの。君の方が将来有望で遺跡探索は出来るんだから。いつかは見つけられるよ。というか確か冒険者ランクB級に上がれたって聞いてたんだけど潜らなかったの?」
遺跡探索には強さの他に移籍を壊さないようにある程度の知識も必要になるため昇級試験に筆記も加わるB級からしか潜れないのだ。
「まぁ、明後日くらいにほかのパーティと合同で潜る予定だったんですけどね……」
「ごめん。触れちゃいけないところだったね……まぁ、元気出して。時間があったら遺跡に連れて行ってあげるから」
「本当ですか!!」
「うおっ。アルク、お前その言質とるために落ち込んだんじゃないわよね!」
「あ、バレました?てへ」
サリーネさんが掴みかかってくる。
辛気臭くなること言ってしまった。が、何とか笑える雰囲気にもどせたようだ。この人にはあんまり暗い顔で話したくないし話されたくないからな。
「よし、お仕置きはこれくらいにしてナトレ村にいこっか」
俺の頬はパンパンに膨れ上がって赤くなっている。
何この程度で済ませてやったぞ的な顔してるんですか。
「ふぁい、いきまひょー」
ほら、ちゃんと喋れないくらいになってるんですけど?!
そんな俺を無視してサリーネさんは歩いていく。
「ふふふっ」
無視してるわけじゃなかった。笑いが堪えれなくて反応しなかっただけなんだ。
ま、笑ってくれてるし回復薬なんか飲まなくていいや。
いざ行こう、聖剣の祠へ!
次話は夜更新予定です。