ギルド長と師匠
本日1話目です!
「で?話を聞かせてもらえるかしら」
ギルドの2階の一室に入り中の椅子に座り話を始める。
今日あったことを大まかに伝えナトレ村に行こうとしていることを言う。
「まさか、あなた1人で聖剣の祠に行こうとしてるんじゃないわよね」
少し怒ったような顔でこちらを見てくる。
そう、ナトレ村は英雄譚に出てくる光の勇者が使っていたとされる聖剣が封印されている祠を観光地として周りに出来た村のことなのだ。
「もちろん1人で行きますよ。俺が聖剣に認めてさえ貰えばパーティに戻れるかもしれない」
そう。俺が役立たずなのは聖剣が扱えないから。
聖剣さえ認めてくれれば、抜くことが出来たのなら俺を認め直してくれるかもしれない。
「何かあったらどうするのよ。あなたは勇者なのよ?強いけど1人なの。せめて1人連れて行きなさい。昼過ぎに一人信用できる子が帰ってくる予定だから」
ギルド長がそう言った瞬間、どこからか走ってくる音が聞こえてくる。
「あ、帰ってきたのかしら。会ったことあるでしょうし事情説明したら付いて行ってくれるだろうからちょっと待っときなさい」
誰のことだろう。この街の冒険者で信用出来る人が誰かと思い返していると
コンコンコン
「ギルド長、失礼するよ」
ノック音と女性の声が聞こえてくる。
あ、この声はあの人かな。
「入って」
ガチャッ
中に入って来たのは予想通りの人だった。
「サリーネさん!!」
「え?アルマじゃん。元気にしてた?」
それは俺と幼馴染達で冒険者になった時にお世話になった人で、俺に戦闘技術を教えてくれた師匠だった。
「サリーネ。久しぶりに会ったのは分かるけど先に報告ちょうだい」
ギルド長が少し真面目な雰囲気を出す。
何か重要なことでも頼んでいたのだろうか。
「特に大きな変化は無かったよ。ただ、いつも以上に魔物の数が増えてた気がする。まぁほんとその程度だね。前行った時は1日多くて20匹位だったのが今回は30匹位出てきたかな。強さに関しては変わってなかったよ。トライヘッドベアがそこらの主って感じだった」
「え?トライヘッドベアってA級中位の魔物じゃないですか!どこ行ってたんですか?」
A級中位というのは魔物の強さの区分だ。
上から
戦災級
S級の上位から下位
A級の上位から下位
というふうにそれがE級まである。
A級中位の言うのはA級冒険者が4~6人で対処するべきとされる魔物だ。
サリーネさんはA級だから強いけど1人で挑むようなものじゃない。というかそんなに強い魔物が簡単に出ていいものじゃないはず。
「あぁ、魔龍の森の序盤の方だよ。1組の冒険者が帰って来なくてね。探索ついでに調査して来たんだ」
あぁ……魔龍の森ならA級中位なんて弱い方なんだろうけど……
あの最奥地には戦災級の魔龍がうじゃうじゃ居るとされるあの魔龍の森なら。
「大丈夫なんですか?」
「あぁ、特に怪我も無いよ。戦った訳じゃなくて探索してきただけだからさ」
良かった……
「サリーネ。そこら辺の報告書はまた後でいいわ。特に異常はないのだしもう2日後とかでもいい。それより頼みたいことがあるのよ」
俺の事だろうか。確かにサリーネさんなら信用出来る。
「アルクのこと?」
俺がこんなにギルド長室に居た時点で予想はついていたようだ。
「そうよ。詳しくは行きながらアルク君に聞いてね。この子、1人でナトレ村、聖剣の祠に行こうとしてるの。1人じゃ何かあったら怖いからついて行ってあげてくれない?さっき調査から帰ってきたばかりで疲れてるかもだけど」
「……アルク?」
ギルド長の言葉を聞いてサリーネさんが睨んでくる。
怖ぇ……
「はぁ。分かりました。ナトレ村までの護衛依頼とかあるんですか?」
絶対これ後で怒られるやつだ……
周りに頼れっていつも言われてたもんな。
「そこら辺はアルクにやらせよう。ついでに教えてやってくれ」
「はいはい。じゃ、アルク。とりあえず依頼探しに行くよ」
「ぐえっ」
俺は首根っこを掴まれギルド長室から出る。
「ゆっくりきっちり教えてあげるからね」
ヒェッ
待って目が笑ってない!!
やっぱり怒ってるよね。ごめんなさい!!
次話は夕方更新予定です。
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