表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/9

あの頃は

本日2話目の更新です

 2年前のあの日。


 オリビアや俺、ほかの幼馴染で後のパーティメンバー全員で教会に居た。


 15歳の成人の儀だ。


 1年に1度その年に15歳になる子供が神様に祈りを捧げると自分に合った職業とスキルが与えられる。


「汝の名を述べよ」


 教会の神託の職業を持つ男がそう言ってくる。


「オリビア・A・シュトーレン」


 オリビアは男の前に跪いて名前を言うと目の前の十字架の後ろのステンドグラスから光が入って来る。


 まるでそれはオリビアを祝福するかのようで。


 実際、神はオリビアを祝福していた。


「オリビア・A・シュトーレン。汝の職は……せ、聖女である!」


 男がそう言った瞬間周りがざわめく。


 聖女は勇者の隣に立つべきとされる職だ。


 ただ、その日起こった事件はそれだけではなかった。


 次々に俺の幼馴染が賢者、剣聖と選ばれていく。


 後に知ったのだが俺たちの儀式の少し前にある1つの勇者パーティが壊滅したそうなのだ。勇者を残して全員。


 だから突然あのように勇者パーティの職が発現してもおかしくはないそうなのだ。


「アルク、前へ」


 俺の名前が呼ばれる。


 仲良くしてきた幼馴染、いつかは一緒に冒険しよう!なんて言ってきたみんながあんな豪華な職に選ばれてしまった。俺だって並び立てるような職……なんて考えてはいるがそんなの無理だろう。


 心が重いが何とか男の前へ行く。


「汝の名を述べよ」


「アルク・A・マイルーン」


 せめてみんなの事を手助けできる職を……


 そんなことを考えていたその時跪いていたから気が付きにくかった。男がいつまで経っても職を言わない。


 何故だろうかと顔を上げると目が焼かれるようなほど光が俺に差し込んでいた。


「あ、アルク。君の職は」


 もう汝って言えてない。それほど困惑していたのだろう。


 それにしても眩しいなぁ。


 そう思うと光が急に抑えられる。


「職は?」


 眩しさも収まったので男に続きを求める。


「職は……勇者である!!みなここに讃えよ!!新たな勇者、それも光の勇者だ!!」


 ……は?


 待て待て待て待て。


 ゆうしゃ?ユウシャ?ヒカリ?


 嘘だろ?ドッキリとかじゃないよな?


 体から急に汗を吹き出し、心臓はドクンドクンッと大きく鳴り響く。


 整理の付かないまま俺は立ち上がりとりあえず神託は次の人もあるためその場から離れる。


「アルク!!お前すげぇな!!」


 そう言って近付いて来たのは先程剣聖に選ばれていたカレンという幼馴染だ。


 男のような言葉だが容姿はかわいい女の子って感じの子だ。


 俺はまだその事を信じ切れてなかったからそれの返答に困っていると突然後ろから抱きつかれる。


「アルク!あなた、あの伝説の光の勇者になったのよ!もっと喜びなさいよ!」


「だからいつも言ってるでしょ。突然抱き着かないでよ、エマ」


 そう言うと離れてニコッと笑顔を俺に向けてくる。


「あはは。ごめんごめん」


「僕だって男なんだからね」


「え!アルクって男だったの?!」


「そうだよ!なんだと思ってたのさ!」


 といういつものお約束だ。それが終わると横から俺の服をちょっと掴んでクイクイっと引っ張ってくる少女が居た。


「オリビア、どうしたの?」


 先程聖女に選ばれていた少女だ。


「これでみんなで冒険に行けますね」


 そう言って来た。


 その時はこのメンバーならずっと仲良くしてきたし職も完璧。みんなで魔物の王を倒そう!ずっと一緒に冒険しよう!と思っていた。


 そう思っていたのにあんなことになるなんて……

次回は元の時間軸に戻ります。

更新は夜を予定


良ければ評価、ブックマークしていってください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ