表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/35

25 Intermission ~あれからその後


「風見君も帰ったから、私ももう帰るねー」


 登呂川はスカートのお菓子くずをはらいながら立ち上がった。

 水無月はスマホから顔を上げると、咳払いをしてから登呂川に声をかける。


「あ、私、遅くなったからお母さんが車で迎えに来てくれるんだけど。登呂川も乗ってく?」

「いいの? でも私、自転車だけど」

「母さんの車大きいから乗せれるよ」

「やったー! よろこんでー!」


 登呂川は万歳すると、再びソファに腰を下ろす。


「拓馬君は穂乃果ちゃんを待つんでしょ?」


 にやにやと俺をからかう登呂川。

 蜂須賀先生が鳥海を連れて退室後、部長である穂乃果が事情の説明のために呼び出されたのだ。


「ああ。俺達は歩きだから、送ろうかと思って」


 時間は18時半を回り、外はすっかり暗くなっている。


「ねえそういえば。さっき言ってた菅原君って、花火ちゃんが振った男の子?」

「ああ、まあ」


 ちょっと言いにくそうにしながら。


「D組の菅原。知らないだろうけど」

「ひょっとしてバスケ部の菅原勇太君?」


 ズバッと身を乗り出す登呂川。


「待って。彼、ゲームが好きなんだ。中学の頃からバスケ部じゃなかったっけ」

「中学違うのに良く知ってるな。1年の頃から兼部してて。よく鳥海と3人で素材集めとか行ってた仲だけど」

「へえ、そんな有名人なんだ」


 俺は何気なく口をはさむ。


「中学時代はバスケ部のレギュラーで、かなりモテたらしいよ。告白されることも多かったらしいけど、好きな人がいるからって全員断ってたって」

「え、その好きな人って」


 二人の視線が集まり、さすがに照れたのか。水無月はフードを深く被り直す。


 それにしてもバスケ部の菅原君、なんて一途な奴なんだろう。それってすげえいい奴なんじゃないか。


「水無月、今からでも遅くない。こっちから告ろうぜ!」

「はあ? なにいってんだ、お前」

「あのな、お前にそんなまともな男が言い寄ってくるなんて二度とないぞ!」


 言い終わる否や、テレビのリモコンが額を直撃。俺は額を押さえてうずくまった。

 あれか。秋月家の男はリモコンをぶつけられる運命なのか。


「うぉぉ……。これ、マジで痛いぞ」

「だからぁ、私はいまのままでいいんだよ。私は割と青春してる」

「でもさ、ゲームで青春とかさみしいじゃん」


 水無月はジト目で俺に冷めた視線を送る。あれ、意外とリモコンより心に痛い。


「お前、デリカシーないな」

「まあ、拓馬君じゃねえ」


 登呂川は楽しそうに笑うと、さりげなく水無月の隣に席を移す。


「ね、花火ちゃん。じゃあ、菅原君を私に紹介する線で」


 振られた相手に女の子を紹介されるとか、それ何の拷問だ。


「つーか、登呂川。お前風見のことが好きなんじゃなかったか」

「ちっちっち。恋は戦争よ。第2候補、第3候補を用意しておくなんて当たり前でしょ」


 相変わらずこいつのドヤ顔はむかつくぜ。


「ま、今回は拓馬君も頑張ったし、二けた候補位には入れてあげてもいいかもね」

「秋月拓馬、気を付けろ。繰り上げ当選の可能性が濃厚だぞ」

「花火ちゃーん、それどういう意味かなー」


 登呂川は両手の指をワキワキしながら、水無月ににじり寄る。


「うわっ! やめろ、くすぐるなーっ!」


 登呂川のくすぐり攻撃に悶絶する水無月。


「ただいま。みんな、待っててくれたんだ」


 そこに戻ってくる穂乃果。表情を見る限り、話はうまいこと進んだらしい。


「あ、なんか楽しそうなことしてるね。私も混ぜてーっ!」


 浮かれ気分の穂乃果も参戦。いかん。見ているとなんだかもやもやした気分になるぞ。


「降参! 降参だって! ほら、母さんが校門に着いたから、行くぞ! 掛彬も車で送るから」

「え、いいの?」

「じゃあ、車で女子会の続きだ! 穂乃果ちゃんも行くよーっ! じゃあね、拓馬君」

「ああ、今日は世話になったな。また明日」

「じゃあ、お先にね」

「お、おう」


 勢いに押されっぱなしのまま、気が付けば部室に一人残された俺。



 さみしい。とりあえず、リモコンから落ちた電池を探すか……。


女の子がイチャイチャ楽しそうにしていると魂が洗われます。

汚れが全部落ちたら、残っているか不安です。


水無月受難編もこれで終わり。

もしよろしければブクマ、〝☆〟の評価を頂ければ泣くほど嬉しいです。

よろしくお願いします!

                      ☆彡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 女の子同士…わかります。 男の子同士もにやにやしますけど、洗われる感じではない…
[一言] 拓馬、結局一人だけ置いてかれちゃった…(´;ω;`)
[良い点] 拓馬さん、過去に失言でフラグ叩き折ったことありませんか? 無意識でしょうけど、幾度もピンポイントで地雷踏み抜いていますし。 [一言] あ、これ現在進行形でフラれている女子達が何らかの形で…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ