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幻術主義と現実主義  作者: 優
2/4

俺は息子を窓の中に引っ込める。

「いやぁ見苦しい物をお見せしました」

ぺこぺこと平謝りをして、会話を続けることにした。

一度、深呼吸をしてキリッとした表情で相手に質問する。

「聞きたいことは山ほどあるんだがとりあえず、なんであんたには俺が見えて俺にはあんたが見えないんだ?」

気になることは他にもたくさんあるが目先の問題を解決したい。

「……そのことなんだけど私にもさっぱりわからないのよ」

女の口調からして嘘をついているようには感じない。本当にわかっていない様子が姿が見えなくてもなんとなく伝わってきた。

「なら次の質問だ。ここはいったいどこなんだ?」

姿が見えないのは後回しにして二つ目の質問をとばす。

「……あなた本気で言ってるの?」

逆にこいつこそ本気で言ってるのか?意味がわからなくなってきた。ここはどこだと質問したのにこんな答えが返ってくるなんて予想外にもほどがある。俺がおかしいみたいな感じになっている。だが本気も本気、超本気だ。

「ああ。本気だ。ここがどこだかさっぱりわからん。」

「本当にわかっていないようだから教えあげる。ここはミレン王国の東にある街デアイよ。そんでもってここは街の教会。」

おっと、こいつまた人をおちょくってんのか?ミレン王国?デアイ?教会?こんな真っ暗な教会があってたまるか。もしかして悪魔でも信仰してんのか?とにかくこんなわけのわからないとこにはいられない。一刻も早く立ち去らなければ。

「そうかいそうかい教えてくれてありがとよ。でも俺の知る教会ってとこはこんな真っ暗じゃないはずなんだけどな。早く電気でもつけてくれよ。暗すぎて出口もわからないじゃないか。」

「はっ?なに言ってんのよ?」

女は理解できないというような口調で俺に話しかけてくる。

「なに言ってんのよじゃなくて暗すぎるから電気つけてくれって言ってるんだよ。」

「……あんたこそなに言ってるのよ。今は昼間よ。」

「えっ?」




頭に雷をくらったような衝撃が走る。もしかして俺はこいつだけじゃなく何も見えないのか……。

いやそんなはずはない。さっきまでいつものように家で飯食って二度寝して気づいたらこんなとこにいて。起きたら何も見えなくて、なんとか王国とかいうとこにいて。

だめだ、考えが纏まらない。わけがわからない。

「ちょっと!あんた大丈夫!?」

「え?」

「え?じゃないわよ!すごい汗よ!それに呼吸も荒いし!」

確かに呼吸が苦しい。頭が痛い。……やばい意識がとびそうだ。

「ねぇ!大丈夫!?しっかりして!!」

その言葉を最後に俺は意識を失った。

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