友遠方より来る①
友達家族が、遠く海の町から来てくれました。
翌朝は早く目覚めたから、朝からシャワーを浴びた。母がくれた薄紫色の浴衣に着替えて、髪をドライヤーで乾かしながら、足元に戯れてくる猫たちの相手をした。髪をまとめて、蜻蛉玉の飾りがついた簪を刺した。
顔のお手入れをしてから、歯を磨いた。朝薬を飲んでから、コーヒー豆をミルから挽いて、コーヒーを入れた。アイスコーヒーは、オーガニックのパック式の水出しコーヒーだった。
食器棚から、マグカップを選んだ。黒地に中央部分に薔薇の絵が抽象的に描かれた物だった。コロリと丸い形のマグカップだった。病院のお母さんから貰ったものだった。
パンを一枚焼いて、継ぎ足し継ぎ足しして作っているヨーグルトを硝子の器によそった。もうすぐしたら、実家の桑の実の収穫が出来るな。またジャムを作ろう、と先の楽しみが一つ増えた。パンやヨーグルトに掛けるのは、友達のO先生が下さった、苺ジャムにした。苺がそのままの形でジャムにされていて、贅沢なジャムだった。とても美味しかった。
両親の朝ご飯を作ろうと、玉子焼きを作り、豆腐とワカメのお味噌汁を作った。めざしも焼いた。テーブルに皿を並べ、お椀やお茶碗も出した。母は朝は温かい緑茶を好んで飲むから、お湯も沸かした。お湯を沸かしたついでに茶碗に抹茶を入れて茶筅で立てて、お茶をいただいた。お抹茶を飲むと、心が引き締まる思いがした。
両親が起きて来た。「おはよう、文。早かったのね」と言いながら母は父に続いて顔を洗い歯を磨いて来た。ご飯とお味噌汁をお椀に注いでやり、両親に渡した。
両親に「今日からK家族が泊まりに来るけど、お父さん友達の旦那さんが気に入ってるよね。夜は田楽を皆で食べに行く?」と聞いたら、「彼女たちの都合もあるだろう」と言ったので、ラインで友達の家族の都合を聞いた。友達からは『田楽を食べたい』と返事が来た。父に伝えると、「どこも予約で一杯だぞ」と言うので、私の知り合いの田楽屋さんに電話して聞いてみたら、ご店主から「大丈夫だよー」と言われ、予約が取れた。「予約取れたよ」と父に言い、友達にもラインを送った。
両親に温かいお茶を淹れてやり、私は茶碗類を洗った。両親はお茶を飲んでから実家に帰って行った。
珍しくコンタクトレンズをはめて、化粧をちゃんとした。
猫たちに「今日、お客さんが来るよ!」と話しかけながら、一匹一匹ブラッシングした。シーツ類を洗って干した。お布団も干した。
掃除機もかけた。
いつの間にか昼になっていたから、昼薬を飲んでから、サラダを作り始めた。子どもも好きであろうマカロニサラダにした。
出来上がったら、外から友達の旦那さんの声が聞こえて来て、芝に面した居間から荷物を入れたのだった。物産館で買ったとおもわれる海苔や佃煮、練り物、お菓子、お酒、焼酎、ワインが箱にたくさん入っていた。
友達の小学四年生娘と二年生の息子と、五才の姪っ子連れて来ていた。
友達と唐揚げを買いに行った。二キロも買った。この店の唐揚げはニンニクが使ってない塩味だから、子どもたちも大好きだだった。お財布を出したら、中身が入っていなかったから、Kに出して貰った。恥ずかしかった。Kに頼んで、コンビニに連れて行って貰い、お金をおろしたのだった。Kに唐揚げ代を渡そうとしたが、彼女は受け取らなかった。Kが「一個食べようよ」とKが言うから、揚げたての唐揚げを車の中で食べた。熱々だった。ジューシーで美味しかった。
Kと自宅に戻ってから、手を洗って大皿にレタスを敷いて唐揚げを上に置いて、「ご飯がいる人ー?」と聞いた。友達の旦那さんと息子さんだけだった。取り皿を居間の台に持って行きお箸も持って行った。「ジュース飲む人ー!」と聞いたら、旦那さんや子ども達は、冷蔵庫の中を見てそれぞれ好きなジュースを選んだ。私はノンアルにした。揚げ物を食べる時は炭酸が良いとO先生に教えられていて、それから飲むようにしているのだった。二キロの唐揚げは無くなってしまった。子どもの唐揚げ好きにビックリした。
食後にKの娘さんに頼まれて、浴衣を着付けてあげた。髪の毛も編み込みにしてあげた。姪っ子さんの髪型も可愛い髪型に変えてやった。喜んでくれて嬉しかった。二人ともに髪飾りのピンを付けてあげたら喜んでいた。あげるつもりで買っていたから、「プレゼントだよー」と言ったら、キャアキャアと喜んでいた。
お父さんてオセロをしていた息子くんには、二種類のピンパッチをあげたら、「今度は猫のピンパッチをちょうだいね」と言われた。
お客さんに驚いて隠れていた猫たちが出て来た。私よりよほど猫に詳しいKに任せた。
Kは幼い頃から猫を飼っていて、猫好きだった。子ども達はKに教えられて、そっと猫たちの身体を撫でていた。可愛がっていた。微笑ましかった。
片付けをしてから、昼薬を飲んでから、ジュースを飲んでいた。
近くにある、湧き水を使ったトンネル公園に皆で歩いて行った。トンネルの内部は約十七度しかなく涼しかった。中央部分に水路があった。約五百メートルの長さがあった。私は持って行っていた、二リットルのペットボトルに湧き水を汲んだ。Kと旦那さんにもそれぞれ空き容器を二本あげていたから、二人も汲んでいた。
トンネルから出ると、水辺の公園になっていて、様々な植物や水辺の花が植えてあった。
子ども達は水飲み場で水を飲んだり、遊んでいた。
Kと旦那さんと私は、ベンチに座って子ども達の様子を見ていた。一番上の高校生の娘さんは夏課外授業で来られなかったのだそうだ。
「進学校だもんね。大変そう」と私が言うと、Kから「文、高校生に戻るとしたら、地元の高校に行く?それとも市内の進学校に行く?」と聞かれて、「Kがいるところ」と言ったら、笑われてしまった。夫婦間でも長女の教育については意見が割れているところもあるみたいだった。
帰って来て、シーツ類とお布団を取り込んだ。
「温泉に行こうか。そしてそのまま田楽屋さんに行こう」と一旦、自宅に戻る事にした。夕薬を飲んだ。
トンネルの奥で汲んで来た湧き水は全部箱に入れて、持って帰るように言うと喜んでいた。
彼らは用意が良くて、タオルなどは持って来ていた。
私はタオルを大目に用意して、田楽に行って汚れても気にしない浴衣と帯を選んだ。大きめの姪っ子がくれたバレエの衣装のブランドの黒いお買い物バックに入れた。化粧直し用にお化粧ポーチも入れた。
「文、毎日浴衣なの」とKから聞かれて、「慣れたら楽なのよ」と答えた。
足元をぐるぐる回って甘えて来る猫たちには、ササミを蒸したものと餌を混ぜてあげた。「温泉に行って来るね」と話しかけた。
父に「これから温泉に行くね。お土産たくさん貰ったよ」と言うと、「Kさんも、そんな事しなくていいのに」と言っていた。「温泉から上がったら、また電話しなさい」と言って電話は切れた。
みなで見晴らしが良いと評判の立ち寄り湯に行った。旦那さんと息子くんは男風呂、私たちは女風呂に入り、まだ五才で自分一人では頭や身体を洗えない姪っ子ちゃんの身体を洗ってやった。
「私が洗うまで、横で待っていてね」と言ってから、私は身体だけ洗った。田楽だから、帰ってからまたお風呂に入らなくてはならないから、軽くしか洗わなかった。
二人で露天風呂に入って、彼女の生まれたばかりの弟の話を聞いた。彼女は誰に似たのか、お喋りが上手で明るい性格だった。私の事をなぜか大好き、と言って関東のある県に現在住んでいる彼女と私は文通しているのだった。イラストも描いて来たりして、可愛いのだった。それらは昔、姪っ子としていた文通を思い出させた。
内風呂に入り、「友達にサウナに入って来る」と伝えてから、約十分間サウナに入って、汗がたくさん出た。
水風呂は入る勇気が無くて、温泉のシャワーを浴びた。Kや娘さん、姪っ子ちゃんを探したら、また露天風呂にいた。子ども達は大声を上げて息子くんとお喋りしていた。
「上がるよー!」と私が言うと「はーい」とやる気が無い返事が帰って来た。
父に電話した。「田楽屋さんにあと十五分くらいで着きます、と電話しなさい」と言われたが、これから着替えて、お化粧直しをしてからだから「こんにちはー。今日は急にすいません。あと二十分ほどで着きます」と電話した。
私は大慌てで浴衣を身に付け、化粧直しをした。
外のベンチには旦那さんと息子くんがジュースを飲んでいた。
私もお茶を買って飲んだ。
温泉の前のベンチに皆で座り、皆の写真をスマホで写真を撮った。お互い撮った写真をKとラインで交換した。
車に乗り込み、私の怪しいナビゲーションで行ったら、やはり道を間違えてしまった。。。
両親はまだ着いていなかった。母に電話したら、「先に食べていなさい」と言われたから、メニュー表を見て、田楽定食を二つと赤牛定食、地鶏定食を取り敢えず頼み、背越しも二人分頼んだ。
店主さんがイケスからヤマメを網で掬っている姿に子ども達は興奮していた。子どもたちの分は分けてあげるつもりだった。
お店の芝の広場には、複数の犬が飼われていて、大きなインコハウスが置いてあった。
六月に飼っていたインコが死んでから、子ども達をを落胆させまいと、こちらのご店主さんにもインコを下さいとお願いしたのだった。結局ミドリに似たインコはいなかった。
諦めて、正直に「ミドリは死んだの」と話したら、娘さんはお墓何処?と言ってくれて、ミドリに手を合わせてくれた。弟くんはスマホゲーム二夢中だった。
姪っ子ちゃんも手を合わせてくれた。
ヤマメの背越しを旦那さんとKに勧めた。驚いたのか、旦那さんはしきりにスマホで写真に撮っていた。「まだ動いてるんだけど」と興奮していた。背越しとはヤマメのお刺身で、頭がついたまま体が輪切りにされている料理だった。
両親が来た。父は旦那さんに「ん?背越し初めて?美味しいよ。早く食べて食べて」と言って私にメニュー表を取るように言った。
父は赤牛定食を頼み、母は田楽定食を頼んだ。
飲み物は子ども達はジュース、旦那さんはビール、父は焼酎の二十度、私は飲んでもいい?とKに断って地酒の冷酒を頼んだ。Kは運転があるからとノンアルコールビールを頼んだ。Kが母に帰り送りますよ、と言っていた。母は恐縮していた。母もビールを頼んだ。
田楽は焼けるまでに時間がかかるから、先に赤牛や地鶏をご店主さんが焼いて下さったのを食べた。野菜もたくさん皿に盛ってあって、野菜も焼いて食べた。
喫煙所で煙草を吸った。子ども達は、まだ生きているヤマメの串刺しが気になるようだった。時々ヤマメが動く!と騒いでいた。
賑やかだった。ご店主さんが煙草を吸いに来られて、「本当は今日はお店、お休みだったんじゃ無いですか?」と聞いたら、「そうやけど。よう分かったね。気にせんといて。文ちゃんのお友達?」とサラリと流された。「はい、高校一年の時に出会って一目惚れして、友達になる!と決めてひっつき回っていたのです。おかしいでしょ。今では家族ぐるみの付き合いになりました。あの一番小さい子は友達の姪っ子です。お母さんが赤ちゃんから手が離せず、お母さんと赤ちゃんは来られなかったんです」と説明した。「いい友達に恵まれたね」と言われて嬉しくなった。
長くなったので、分けました。それほど私のKへの想いは熱いのです!笑
お読みくださり、ありがとうございます^_^