睡眠薬
文が飲んでいるお薬について書きます。
睡眠時間を日記帳に書いていた。平均六時間睡眠だった。追加眠剤を飲んでも全く眠れない夜もあれば、十時間爆睡したりもしていた。
逆にうつ状態の時は、主治医の先生やカウンセリングの先生からは「冬眠ですね」と言われるほど、半日は寝るのだった。
主治医の先生から、「平均六時間眠れれば、大丈夫と思いなさい」と言われていたから、その言葉を信じて不安定な睡眠時間についてはあまり考えないようにしていたがやはり不安だったから、病院に電話をして、一週間後にまた予約を入れた。カウンセリングの予約も入れた。なんとか予約が取れてホッとした。無理に予約を入れてくださった、外来の看護師さんに感謝の気持ちで一杯になった。
病院には父が連れて行ってくれた。猫たちの世話を母に頼んだ。
主治医の先生から聞いた話では、数年前に厚生労働省の基準が変わり、睡眠薬は三種類までしか処方出来なくなったのだそうだ。その為に、私が躁転した時には、先生はパソコンの画面をじーっと見ながら、私に処方するお薬の調整に苦心なされておられた。
私は先生が仰るには、薬の反応が良くて効果がすぐに現れるらしく、また先生が処方してくださったお薬を飲むと本当に状態が改善されて、私にピッタリのお薬を出して下さるから、先生のお薬の判断を信頼していた。
診察中、このお薬を出して欲しい、と意見を述べる事もあった。
私は躁転した時には、睡眠薬よりも活発に働くようになっている脳の動きを穏やかにして欲しい気持ちが強かった。先生にお願いしたら、「あなたが睡眠薬を欲しがるなら、出しませんでしたが、私も同意見です。お薬にも詳しくなりましたね」と言われた。
また「今は何を読んでいますか」と本のことを尋ねられ、池波正太郎の読みかけの本をバックから出して先生にお見せしたら、「躁になっているわりには、よい本を選んで読んでいますね」と言われ面映かった。
先生が「躁のときと、うつ状態の時では生け花を教えるのは変わりますか?」と尋ねられた。「躁状態のときには、楽しく生けられますが、注意散漫になっているので、どこかしらおかしな所に後になって気付きます。うつ状態のときは気力があまりありませんから、頑張って集中して生けています。生徒さんへの指導は躁状態のときは、お喋りし過ぎないように心掛けて、うつ状態の時には頑張ってお喋りをして顔の表情も明るく見えるように必死です」と説明したら、「なるほど。素朴な疑問でした」と先生は仰った。私は先生の反応に笑いを堪えた。
心を穏やかにする効果があるお薬は、副作用で手の震えが出るので、お薬の血中濃度を調べる為に、採血をされる事になった。
私は血管が細いので、看護師さん泣かせで、看護師さんが三人変わってやっと採血が出来た。四ヶ所も針を刺され、血管を針で探られて痛かったけれど我慢した。。。
カウンセリングの先生とは、今月は誕生日が来るから、友達からの誘いがあること、来月には親友家族が泊まりに来ること、高校の女子会メンバーが泊まりにくること、お盆には妹家族と親戚の私が慕っている女性が帰省することで、私は興奮して躁状態が酷くならないか不安な気持ちを相談した。
先生は冷静に「いついらっしゃるの?」と私に聞いて来られたので、バックからスケジュール帳を出して、先生にお伝えした。
先生は「文さん、大丈夫よ。一週間や十日くらい間が空いているじゃない。お友達や妹さんご家族、ご親戚に会った夜は眠れなくても、次の日からは必ず眠れます」と微笑みながら断言してくださった。
「それから、お友達が来るからと言って、特別なことはしないでくださいね。疲れてしまうから。疲れると反動でまたうつになっちゃうの」と優しい口調で諭された。私は張り切って親友や友達を迎えるつもりでいたので、先生の助言は身にしみたのだった。
先生はお茶と生け花を習っておられるせいか、カウンセリングの度にその話題が出ていた。毎回私が生けた花のスマホの写真をご覧になられていた。先生の流派と私の流派は違ったが、年に一度県内の生け花の流派の合同花展が百貨店であっていたから、先生の流派について以前から知ってはいた。
私はお茶は習った事がなく、生け花の先生宅でご馳走になるくらいで、しきたりなどさっぱり分からなかったが、茶道への憧れの気持ちはあった。私の住む町には、違う流派の先生が二人おられて、どちらの先生に習うべきか、また私がうつ状態になった時にはお稽古に参加できるのか、という不安があって、自宅で自己流でお抹茶をたてて飲むだけだった。私立の女子中に進学した姪っ子は茶道部に入部していて、その事も茶道を習いたい気持ちにさせるのだった。
カウンセリングの先生のお人柄は優しくて明るくて暖かくて、話していると元気を貰えるし、安心感があるのだった。
主治医の先生は偉大過ぎて、緊張してしまうのだが、先生もお優しい頼れる方だった。
お会計を済ませて父が待つ車に行くと、父はまたパンを大量に買っていた。父は診察室やカウンセリングルームには入らず、車の中で寝て私を待つのが常だった。
私の両腕の採血跡を見て、「なんだ、それは」と驚いていたが、看護師さんが三人変わった、と話したら大笑いしていた。
帰りに父ととんかつ専門店に寄って、父はロースカツ定食を。私は海老カツとヒレカツのミックス定食を頼んだ。
父に食べながら、先生たちと話したことをゆっくり思い出しながら話した。
飲んでるお薬は多いです。
主治医の先生が害のないお薬を処方して下さっているおかげで、腎臓や肝臓などに異常は全くありません。
お読みくださり、ありがとうございましたm(__)m