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異世界無能者の観測記録  作者: ホムポム
第4章
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中級依頼

俺がこの街に来て、2週間がたとうとしていた

体の傷も癒え、街で迷子になることもなく


手伝いなどの簡単な仕事だけなら

こなせるように、なってきた頃



「クヌギ、そろそろこの街にも慣れてきて

稼ぎたくなってきたんじゃないか?」



ヴァネッサの言う通りだった

簡単な仕事は賃金が とにかく安い


1日中働けたとしても 宿代にも届かない


幸い俺は、ヴァネッサの家に居候をさせて

もらっているから、宿代の心配はない


俺みたいな初級の人は

とにかく中級者に付いていき

そのおこぼれに預からないと、生活すらできない



しかし足手まといになるのは

目に見えているので

その一歩がなかなか 踏み出せないでいた



「ああ………でも俺みたいな

やつを誘ってくれる人がいなくてさ」

自分で言ってて悲しくなる



「いいぞ。私と一緒に行こう

クヌギはまだ自分でできる事と

できない事を、把握出来ていないだけだ」




するとミカが


「私も一緒に行きた〜い

ヴァネッサちゃんいっつも

1人で仕事してるじゃん。私も連れてってよ」



確かにヴァネッサはいつも1人だ

斡旋所の人達に聞いてもここ数年

誰かと組んでいるのを、見たことがないらしい



「構わんが、邪魔はするなよ?

私はクヌギを1人前になる手助けをする

その手段として今回仕事を受ける。いいな?」



「もっちろん!

ミカ.レミナスはサポートに徹します!

3人一緒は初めてだねクヌギ君」



ミカはビシッと敬礼のポーズをとり

バッグを肩にかけ


「さぁさぁ、早く行こ〜よ善は急げだよ!」

俺とヴァネッサを急かし



俺も短剣を懐にしまい、準備を整える


ヴァネッサも鉄の棒を腰に、バッグを背にからい

家を後にする





「よし!私は待ってるから

好きな依頼を取ってこい。何でもいいぞ」

ヴァネッサの男前過ぎる発言と



「あ あのさ俺、中級者がどんな依頼か

わからないから、せめてミカと一緒に

選んでもいいかな?」


俺の女々しい発言



「それもそうだな………ミカ

クヌギに危険がなさそうな奴を選んでやれよ」



「まっかせて〜!クヌギ君早く行こ」

俺達は中級者ボードの前に立ち 依頼を見る




   積荷の護衛  シス町〜ミセス村 往復

   怪物の駆除  

   怪物の駆除  ☓

   秘薬採取   ☓

   怪物駆除   ☓☓☓☓  怪物の巣 確認済み



初級では見たこと無かったが

☓は依頼を失敗したら、つけられるらしい


一番下の依頼は4組が 断念している事になる

それだけ危険な事が多いということ



「秘薬採取とか、積荷護衛がいいんじゃないか?」

俺は安全そうに感じた2つを提案するが



「………1番下のやつで決まりだね!

前から気になってたんだよね。この依頼」




ミカは4☓のついた依頼を 剥がすと俺に渡し

「じゃヴァネッサちゃんに持ってこ

私達じゃ中級は 受けられないし」



ミカは基本、中級者について回って仕事をしている


ミシェルという女性と共に

依頼をこなす事が多いようだが

彼女とは危険な仕事は、あまりやらないとも言っていた




俺はヴァネッサに依頼書を渡すと

「早かったな ………怪物退治か

まぁ何事も経験だな。受付へ行くから付いてきてくれ」


特に4☓については触れないヴァネッサ



受付へ向かうヴァネッサに付いていく

俺とミカを見て周りが ざわつき始める




「ヴァネッサ.ラウが同行させてるって

どんだけヤバイ仕事(やま)なんだよ?」


「俺………赤髪の小さい女の子と仕事したけど

かなりの術士だったぜ

あの娘がいなかったらと、思うと………」


「となると、もう一人の男もかなりの手練………」


「いや、あの男は初級の仕事を

毎日こなしてる、普通のやつだったよ

この前迷子になってたし」


「奴は自分が満ち()りる 獲物だけを狩る為に

研いでやがったのさ………牙を 奴はやるぜ」


「いやでも、あの男は………」

など斡旋所内は、軽いお祭り騒ぎと化してしまった



………迷子の事は言うな




「ラウさんが行ってくれるなら助かります

もう4組も失敗していますので、これ以上は

斡旋所のプライドに関わリますので」



受付の女性に感謝されている

どれだけ信頼されているんだ。ヴァネッサは


俺が依頼書を持っていっても

感謝された事など一度も無いというのに



「感謝なら仕事を終えた後に

後ろの2人に言ってやってくれ

私は今回、付添いなんでな」




「ヴァネッサ.ラウ様 ミカ.レミナス様

クヌギ.イシノギ様………はい ではお気をつけて」

受付娘は俺たちにペコリと会釈し





「巣まで確認できているなら、直接向かう

場所は南西の洞窟だな。松明を買って行こうか」



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